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クソみたいな社会を、生涯あぐらをかかず、誰よりも貪欲に、徹底的に改革する~地域課題と社会課題に携わる仕事のご紹介~_原田岳/GAKU

あけましておめでとうございます。

2023年はアウトプットを意識して、より多くの方の意見を巻き込みながら視座や社会への理解を高めることが目標なので、初めは仕事の話を書こうと思う。

今回は自分が何を目的にどのようなことを考え仕事をしているのか、また具体的な仕事内容はどんなものか、を中心に書いた。

プロフィール

原田岳/GAKU
(株)taliki CCO 兼 インキュベーション事業責任者 / U35-KYOTO PM
起業関心層が集うシェアハウス「株式会社アオイエ」の共同創業。計18店舗展開。 コワーキングスペース「Impact Hub Kyoto」のマネージャーを経験した後、現在は株式会社talikiにてCCOとして社会起業家支援のインキュベーション事業の営業・開発・運用をしている。 その他、京都市の街づくり活動を支援するU35-KYOTOのPMも務める。公民連携含め、自治体さんと施策立ち上げや予算組みからご一緒することが多い。

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仕事の目的:何を叶えたいか

自分の人生の土台となる価値観から仕事の目的が形成されているので、もし気になる方がいたらこちらの記事を参考にしてほしい。

社会課題解決、地域課題解決がビジネスの基軸になる仕組みを作りたい。

「何を叶えたいか」という問いに対して、現時点で回答できるとすればこれに尽きる。

現代社会はまだまだクソだ。

社会課題解決でないにも関わらずそれっぽく魅せる通称「ウォッシュ」や、本質を忘れ、声高高と綺麗な建前を並べ、マジョリティを我関せずと遠ざけてきた。「いじめは悪いことだよね。解決しなきゃいけないよね。」と言いながら議論ばかり続ける大人たちの身勝手なスタンスと同じだ。そのスタンスは未だ変わらない。

そして自分もそのクソな社会を作る一員だ。そこに生きている大人だから。無自覚にそのような環境を作り上げてしまっているから、真の意味で、自覚あり、責任のある大人を増やすことが出来ていない社会の歯車の一部だから。

汚いところも人間らしくて良いよね。
それが社会だよね。
みたいな、構造的に改革が難しい環境を良い風に言い逃れするために言葉巧みに現実逃避する社会をやめにしたい。こんな、クソみたいな社会を、生涯あぐらをかかず、誰よりも貪欲に、徹底的に改革する

より多くの課題解決参与者の課題を乗り越えるために、課題解決がビジネスの基軸になる仕組みを作りたい。

それは、課題解決が当たり前で、より意味ある課題解決やインパクトのある課題解決が資本主義で評価される世界になることを意味している。

これを叶えるための手段として特に有効なのは「金融と政治」。この2つに特にアプローチしていこうとしている。あくまで、「社会課題解決はビジネスにできる」「ビジネスの評価指標が更新されつつある」という前提を持って、より課題解決がスタンダートになるために必要な加速手法がこの2つと考える。これらをより具体的にしたアクションが主な仕事内容になる。

金融

現在働いている(株)talikiで過ごしてきた中で金融の流れが消費を作ることの肌感を少し覚えた。投資家やVC、金融機関などからの巨額な投資が起業家を生み出し、市場を形成し、消費の流れを作る。ニーズが生まれ、流行が生まれ、金銭メリットが生まれ、市場の拡大が加速する。金融業界がソーシャルビジネスに着目すればより解決は加速される。

そして、お金の流れに色をつけることが出来るのも金融の強み。社会的インパクト評価などの評価指標と投資基準を掛け合わせることも、明確な数字が必要な資本主義での新しい価値となってきている。
インパクト評価などの参考記事:https://impactinvestment.jp/impact-investing/about.html

政治(政府・自治体のアクション)

一般的な政府の役割は、社会資本や公共サービスなどの「公共財」を供給する。 ※公共財:社会資本(インフラストラクチャー)・公共サービスのこと

その他、制度、規制、ルール、ナッジ、市場作りの後押し、課題解決など、さまざまな領域で民間の抜け漏れを補填し、かつ民間の行動(市場の拡大≒起業家支援など)も後押しする機関。

昨今は特に基礎自治体において人口減少や少子高齢化などの影響から、歳出の増加と歳入の低下が起き初めている。そんなことから、推進されている活動は公民連携。 自治体でカバーできない領域、特に社会や地域にとって必要であるが、市場性や経済性が無い又は少ない部分に投資し、民間と共に市場性を作り出すことが基礎自治体では近年よくみられる(昔からあったかも)。また、制度や規制を変更することで民間のアクションを変更することもできる。

それは地域課題解決や社会課題解決に市場性を持たせることにつながる。
参考文献等:シンプルな政府人口減少社会のデザイン 次世代ガバメント 

簡単に説明させてもらったが、これが十全な説明では無いことを理解してもらいたい。上記の業界や役割における専門家はごまんといるので分からなければもっと詳しい人に聞いてくれ。

つまり、言いたいのは2つ。
社会課題解決や地域課題解決を当たり前にする為には

1:課題解決に市場性や経済性は既に必然ということ。
2:それらを生み出す為には巨額資本からのアプローチや、仕組みから変える必要があるということ。

3つの仕事の話

それでは、自分がどのような仕事を通して叶えたい社会にアプローチをしているかお伝えしようと思う。

1つ目:社会起業家への初期フェーズ支援

(株)talikiでは様々なパートナー企業さんや、基礎自治体さんと共に事業を作り出し、主にU30世代の社会起業家を支援している。

特に初期フェーズは実績も何もないので、当たり前ながらリスクをとってお金を流す支援機関も少なく、社会課題解決の意味を理解されずに資本主義の権化たちと孤独に戦う社会起業家が多い。

また、このフェーズは特に正解がなさすぎるので伴走者が必要だ。なのにも関わらず、本人の意思を尊重しつつ、的確な情報提供と寄り添いと緊張感を兼ね合わせたメンターの数が圧倒的に少ないことも特徴。

※ 社会起業家=社会課題を解決することが第1目的としている起業家
※社会課題とは何かを理解したい人はこちらの記事を参考に。

事業内容は以下。

talikiの事業概要と対応する事業フェーズ
  • メディア事業
    社会起業家の方の取材を通して、広報支援や起業家同士のマッチングなどを行う。メディア取材をご縁に出資検討させていただくこともある。

  • インキュベーション事業(=社会起業家育成プログラム)
    事業アイディアから実際にユーザー検証をサポートし、事業立ち上げに伴走するプログラムを運営している(過去サポート実績220事業以上)。この卒業生に対して投資検討をすることもある。昨年度からは基礎自治体さんと共に地域課題解決の事業支援や起業家支援を中心に活動している。

  • ファンド事業
    社会課題領域に対して「解決しなくてはいけない」とアクションを強要するのではなく、ステークホルダーが経済的に成長するような仕組みや、消費者が「素敵だから購入する」と思えるようなサービスを開発し提供することで課題解決を行う企業に出資させて頂く。

また、ファンドへの出資者であるパートナー企業と共に、起業家の営業・販路拡大のサポートも行う。


2つ目:クリエイティブ・ブランディング支援

まだまだ地域課題や社会課題に対する解像度が低い、もしくは高いとしても事業性・市場性を掴むことが出来ない企業や自治体は多数いる。そんな方々のサポートが出来ればと思い立ち始まった。
また、1年ほど前に(株)talikiから独立しようと考えて動かし始めた事業でもある。結局はtaliki社にフルコミットすることになったので、現在ではいち事業部と言っても過言ではない。

顧客は主に2つに分かれる。
1つ目は人口約3万人前後の市区町村
(例:大阪府島本町、和歌山県有田川町など)
2つ目は社会課題解決にアプローチしている中小企業

2つの顧客に向けて、デザイナーチームを組みクリエイティブのサポートやブランディング・マーケティング、新規事業立ち上げ、経営サポートなど幅広く対応している。基本的にはアウトプット(ビジュアルブックなどを含む資料など)を前提とした事業サポート(コンサルティング)を行う。

今後はブランディング、マーケティング機能などアウトカム(効果・結果)がより明確な領域をより強化していく方針。また、シード~アーリー期の社会起業家のキャズムを乗り越える為の支援ができるように組織作りをしている最中。

3つ目:京都市の公民連携支援の活動

京都市にはU35-KYOTOという団体があり、そちらのプロジェクトマネージャーを勤めている。こちらでは、自治体システムへの理解度を高めることや、どのように政策から地域課題・社会課題にアプローチできるのかを学んでいる。

U35-KYOTOの目的は、市民のワンアクションの最大化課題解決に参与する母数を増やす、といった草の根活動を中心にしている。

アプローチしている課題は2つ。

1つ目:京都市の財政破綻の恐れ
= 京都市は財政破綻が解決されにくい社会構造になっている。
※京都市だけでなく他の基礎自治体も基本同じような構造が多い。

①社会課題の複雑化・多様化
社会課題が複雑化・多様化しており、従前の行政システムだけでは対処しきれない。

②人的・金銭的リソースの不足
社会全体で人口が減少しており、行政職員も年々減少している。また、仕事ではなく、分野に人を配置しているため、ノウハウが蓄積されない。さらに、多くの自治体では人的リソースだけでなく、金銭的なリソースも減少している。

③民主主義の理論
民間に社会課題の解決を委ねても課題が全てなくなるわけではなく、行政には説明責任がある。地方自治体が課題解決に取り組むことが市民に対する責任であるという考え方が一般的であるため、行政が担っていた社会課題の解決を民間に担ってもらうという説明が難しい。
上記引用部分は完全に知人の受け売り

2つ目:市民が理想とする街づくりに積極的に取り組める入り口がないこと

①市民一人一人が何をすると京都の課題解決につながるのか、わからない。
②京都の課題解決に対して議論・思考を深める場所がない。
③課題を把握したとしても、京都市民がアクションを起こした後のサポート環境がない。もしくは、支援機関までアクセスするためのハードルが高い。

これらの課題を解決するためには公民連携を進め、市民一人一人が積極的に課題解決に対して活動量を増やしていくことで全体的な解決に進む。

<課題に対するU35-KYOTOの解決策>
課題の啓蒙~ビジネスになる一歩手前までにアプローチする。

・メディアU35-KYOTOの入り口づくり。
U35で京都の地域活性化に貢献されている事例を紹介する。
・交流会  課題の周知、議論を深める場所、課題解決に対してプロジェクト起こしのキッカケ作り。
・プロジェクト相談会:課題解決の一歩目を推進していくサポート。特に行政サービスの代替や、アップデートとなるような施策をサポートする。
・出前授業:京都の高校生の将来の選択肢を増やす為に、京都で活躍しているU35の方々が授業を実施。

どのようにこの仕事をするまでに至ったか。

具体的な手法は省いて、何が今の環境構築の要因となったかを書く。

要素の一つには献身性思考し続ける特性が起因しているように思う。
自治体含む地域・社会課題解決など公共性の高いアクションは概ね経済性を兼ね備えていないので、関わる一歩目は一定のボランティア精神のようなものが必要になってくる。

また、盲目的にボランティアに勤しむことは根本の解決には至らない、あくまで入り口の手段としてボランティア的な活動は有効打になる

そこで地域課題や社会課題の現場感を掴み、社会構造の解像度を上げたのちに具体的にプロポーザルや補助金などを利用しつつ自治体と協働していく。逆でも良いかもしれない。

ただし、既存の事業も形骸化していたり、解決策を改善し続ける、より大きなインパクトを出し続けることを諦めている場合が多いので、思考し変化し続けることが重要だ。

あとは、どんな人と出会い、その人から何を学び、どこまでしつこく着いていくことが出来るのか。

今更感はあるが、地域課題や社会課題にアプローチする人たちはユーザーの痛みに寄り添うことを主としているので概ね人間性が良く、情にアツいことが多い。思えばタイミングを常に狙いながら、対象の企業や自治体と関わり続けていくことがキッカケを掴むには一番重要かもしれない。

今後の話

以上、現在取り組んでいる3つの仕事についてご紹介した。

あくまで、これらは社会課題、地域課題の解決に対するいち手段である。
より根幹の仕組みから解決していく手段は多数あるので、それはこれから挑戦していきたい。

今年度を含む目下取り組んでいきたいことは、地域課題と社会課題が重なる部分へのクリティカルな解決アプローチだ。

少々ここから話が飛んでしまう。

地域課題と社会課題はベン図のように重なり合っているし、内包もされている複雑な関係性がある。また、地域によっても取り組むべき優先順位は変わってくる。下記の経産省から出された図や自分が暇な時に作ったベン図を見てほしい。

https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sdgs/syakaikadai.html
地域課題と社会課題のベン図一例
(地域によって優先順位の高い社会課題項目は地域課題にもなりうる)

地域課題の解決が社会課題の解決になることもあるし、逆もありうる。ただし、社会課題であっても地域で取り組む優先順位が極端に低い事例が多数あるのは覚えていてほしい。

この前提を理解した上でどのように自治体と地域企業と共に意義を見出し、アプローチするのかが今後の日本社会において重要になってくると見ている。

ただ、依然課題としてあるのが、各地域で本質的に課題にアプローチが可能な人材はまだまだ少ない上に、解決事例も少ない。もしかしたら解決されているが情報が開かれていないだけなのかもしれない。

この領域で解像度高くエコシステムを構築し、社会実装していく人材がまだまだ必要だ

まだまだ自分もこの領域には明るいわけではないので、2023年を通して学び、アウトプットを繰り返し、意見交換を進めていきたい。

もし興味を持った方がいればご連絡お願いしたい。
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以上。2023年の第一稿でした。

2023.01.02 
原田 岳


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