野球の神様⑬

バットくんのもとに憑き始めてから4年の歳月が経った。彼はその後も毎日練習を欠かすことなく誰よりも何十倍も何百倍も努力を積み重ねていた。彼の才能はみるみるうちに開花していき、その才能を買われて6年生になったバットくんは4番ピッチャーという、大役を任されることとなった。


だいぶ彼の顔もたくましくなってきたのぉ。

野球の神様も彼の才能に惚れ込んだだけあってご満悦の様子である。

さて、今日も地元のリーグ戦が繰り広げられている。

マウンドに上がるのはエースのバットくん。

ビュン!!

「ストライーク!」

ビュン!!

「ストライーク」

ビュン!!

「ストライーク!!」

相手チームはボールがバットにかすりもしない。

それもそのはず、バットくんは小学生にして球速110キロの速球をひたすら難しいコースに投げ続けているのである。

「ストライーク!バッターアウト!!」

この日バットくんは6イニングで17個の三振を奪い取った。

うむうむ、わしの見込んだだけあってやはり素晴らしい才能の持ち主じゃ。


打つ方でも光っていた。

初回ノーアウト満塁で回ってきたいきなりのチャンス。軽々と振り抜いた打球は河川敷のグラウンドの外野の奥深くまで大飛球でフェアゾーンを飛んでいき、そのまま川へとボチャン!!


なんという破壊力じゃ。これはにやけがとまらんのぉ。これはもう彼にあの秘密兵器を授ける準備をしておかねばな。

この試合を通じて神様は何かを決したようである。



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