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眠れない夜に ちょっとだけ怖い話

ちょっとだけ怖い話です。今まで話した感触としてはお化け得意な人にとっては何一つ怖くなく、苦手だなって人もそこまでではない言ってしまえば、辛そうで辛くない少し辛いラー油みたいなもんですね、アレうまい。

でも読めないのは寂しいわって方の為に目次で飛べるようにしておきましょう。先輩とのドライブからは飛ばしてね!。1ミクロンも面白くはないと思いますがまとめまで飛んでね!

大学の同級生のA君

大学の同級生でいつもつるんでる二人がいた。F君とA君だ。F君はバリバリの津軽弁を話せるのにほぼ訛りが出なかった。俺に新しい音楽を教えてくれたのは彼だった。そのうち彼の話もしよう。

今回の主役はA君だ。彼は山形県の庄内地方の出身でかなりぶっ飛んでいた。語尾には「○○だのぉ」とついていて完全に庄内弁であったのだが「俺は標準語だからのぉ」と言い切っていた。答え合わせがいらないくらいダッシュで訛っているよA君。

彼は大学入学時「花の慶次」になぜかはまっていて、先輩に

「ウヌは…」とか呼びかけたり、飲みに誘われても一回は「断る!」と時代劇のような返事を普通にするようなファンキーボーイだった。

でも見た目はシュッとしていて、魅力的な友達だった。
そんな彼らと入学してすぐ仲良くなったのだが、季節外れの芋煮会をしてやろうと馬見ヶ崎川らで親睦会を企んだ際の話である。

季節外れの芋煮会

なぜそんな話になったのかは思い出せないが、俺とF君、A君は深夜の河原にいた。場所取りで徹夜するぞと意気込んでいたのである。繰り返し言うが、季節外れである。当然誰も来るわけがない。これがシーズンにもなると違うのだろうが(今はコロナ禍だろうからないんだろうねえ)、とにかく勢いだ。やる必要のない場所取りにやる気を見せる男3人。まさに若さだ。

正確な季節は覚えていないのだが、夜は寒かった。それは覚えている。山形は芋煮会にかける意気込みが半端ないところなので、シーズンになると近くのコンビニやスーパーでも薪が売っていたり、鍋一式貸し出していたりしたものだ。

季節外れ、そう。そんなものはない。一体翌日どうしたんだろう。ほかの友達が来た頃には3人寝ていた記憶しかない。間抜けである。時を戻す。

ビニールシートの上で凍えながら話をする3人。近くのコンビニで暖かいものを買ってきてはくだらない話で笑い転げていた。バイトがどうだ。女の子がどうだ。授業がどうだ。ありがちな話だ。

するとA君がこんな話をし始めた

先輩とのドライブ

A「なんかのー。俺が山形あんまり詳しくねえって言ったら先輩がドライブに連れて行ってくれての」(方言は相当怪しいです、雰囲気で)

M「おー。優しいね。先輩の車?」

A「んだの。3人でぇ、車出してくれてぇ、市内ぐるぐる回った後、○○って方に行ったんだよ」

○○というのはちょっと山の方で夜になると星がきれいな所。

A「なんか女の子とドライブするときはオススメな場所があるとかの、言ってたの」

二人「へー、ちょっと詳しく」

そんな感じでそれまでのバカ話と同じテンションでA君は話していて、俺たちもそのつもりで聞いていた。

A「そしたらの、通りすぎる車(対向車)がみんなパッシングしていくんだの」

繰り返される不可解なパッシング

パッシングとは車が走行中にヘッドライトを素早く点滅させてさまざまな合図を対向車や先行車に送る事。 周りの車との大切なコミュニケーション方法で、パッシングによってドライバー同士が自主的に事故などのトラブルを回避しているともいえる。

M「へー、その先で規制とかあったのかね」

A「俺たちもそう思って走ってたんだけどなんもねえし、あんまり続くからこっちのライト切れてんのかなって一回止まったりしてみたけど、そんなことなくてな」

M「こっちのライト切れてるとき教えてくれることあるもんな。でもそんな連続はないよな。連続でパッシングされたの?」

A「もともと通ってる車少ねえんだけど、3台くらい連続で3台とも」

F「全部だね」

A「んだの、全部」

後ろから迫るタクシー

A「そしたらよ、今度は後ろからチカチカしてきて」

M「車が?」

A「んだんだ、タクシー」

M「なんで?」

A「すぐはわからなかったんだけど、ずっとついてきてずっとパッシングするから怖くなっての。先行かせようと思ってハザードだして道に寄せて停めたんだ」

M「そうよねえ、煽られてたの?」

A「いや、スピードは一緒だったんだ。遅かったし。そしたらよ」

F「そしたら?」

A「ぶおんって横を通り過ぎてからよ、俺たちの車の前の方に停車して降りてくんのよ」

M「おお!こわ!因縁つけられたの?」

A「いや、なんかよ。『あぶねえからやめろ!』って怒ってんのよ。」

M「え?運転が?スピード出してなかったんだよね」

A「おお、遅いくらいだ」

F「じゃあ、なんで?」

A「いや、ちょっとよくわかんねえんだけどよ。『お前ら学生だろ!?若い頃は無茶するもんだろうけど、あぶねえからやめとけ!』って怒ってんだよ」

M「何が?逆走とか?いや、んなわけないしな」

A「先輩もの。『すいません、遅すぎました?』なんて聞いてたくらいだの」

M「実際なんで運転手さん怒ってたの?」

A「運転手さんが言うにはの、『お前ら無茶もほどほどにしろよ』





車の上から振り落とされたらケガじゃ済まねえんだぞ!


って言っててよ。」


二人「…ん?」

A「なんかその直後に俺たちの顔見て『あれ?人数たんねえな』って言った後、慌てて『気を付けろよ!』ってそのまま帰っていったな」


そうなんです。A君はお化けが見えるとは一度も言ったことはなかったのですが、子供のころからお墓には半透明の人がいたり、壁から人の顔が出てきたりするのをおばあちゃんが「うるさい!」って叫んでひっぱたいているのを目撃したり(それで引っ込んだらしい)、なんていうのが日常にあったらしく、エピソードとして普通の話と並ぶのです。

昨日牛丼食べたあとさ、家に透明な人いた。みたいな感じで話し出すのです。この時もそうでした。彼は別に俺たちを怖がらせよう、驚かせようなんて気持ちは皆無なのです。ドライブエピソードとしてこの感じなのです。ちなみにF君は心霊系怖い話が苦手で孤独なウサギくらい震えていました。

A君は満足したようで次の話題に移ろうとしていたけど、俺には気になりすぎることがあったので聞くことにした。

M「車の上にさ…、何人いたの?」

A「先輩もきいてたな!何人乗ってたように見えました?って」

M「運転手さんなんて?」

A「4人くらい座ってたように見えたらしい!

F「めっちゃこわい!」

M「先輩もこわがってなかった?」

A「そんなに俺の車の上にのれねえって笑ってた!」

心の底から類は友を呼ぶだなと思いながら、寒さと怖さでこの短時間に5歳は年を取ったF君を介抱しながら朝を待つのであった。

おわり

まとめ

・ドライブでちょっと不思議な現象。対向車みんなパッシング。
・後続車のタクシーからもパッシング、怖くて停車。
・降りてきて運転手さん「危ないからやめろ!」
・何一つ危なくないのになぜ?
・どうやら自分たちの車の上に何人かいるように見えた。


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