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第6回【投球術】① – 球速が遅くても抑えられる。ピッチトンネル編

前回の記事では、パフォーマンスを最大化するためのコンディショニング法について話しました。

今回は、【投球術】についてお話していきます。

まず、前提として知っていただきたいのが、私はもともとチーム内でも球速は遅く、決して才能に恵まれているわけでもありませんでした。

実際、立命館大時代、秋にメンバー入りした投手5人の平均最高球速が147km/hの中、

私はマックスで132km/hしか出ませんでした。

そのような私が、

「どのように打者を抑え続け、結果を出すことができたのか」

この要因についてお話ししていきます。

周りと差をつけた4つの要素
 

まず、私が大切にしていた考えが4つあります。それが下記の4つです。

1.ピッチトンネル

2.コントロール

3.配球

4.ブルペンでの意識付け

この記事では、上記の1と2についてまずお話します。

1.ピッチトンネル

まず、1つ目はピッチトンネルです。

ピッチトンネルに関して、野球評論家&アドバイザーとして活躍されているお股ニキさんのご説明が非常に分かりやすいので、引用させていただいてます。

ピッチトンネルとは、ピッチャーが投げたボールが途中までストレートと同じ軌道を描き、そこから右・左・下へと変化させる投球術のことです。このピッチトンネルを通したピッチングがなぜ有効かというと、打者の球種の判別が遅れるためです。打者は、ボールを打ちに行く時に途中ま同じ軌道でボールがくるとなると、直前まで球種の判別が困難になります。例えば、ストレートを狙い撃ちして打ちに行ったら直前でボールが変化し打ち損じた、という状態になるわけです。


上記を参考にし、球速がそれほど早くない私は、

いかにこのピッチトンネルを活かして打者の目を惑わすかを考えました。

次にそのピッチトンネルを実践するための私の「持ち球」と、その「用途」について紹介します。

・ストレート(126~132km/h)
これは基本の軌道となり、打者を惑わす上で、ストレートの軌道を意識させるのは非常に重要となります。

・カットボール・スラッター(116~123km/h)
ストレートの軌道から小さく右にスライドする球で、

基本的にストレートと球速は近いが、変化量や球速は目的や状況によって変化させる。

用途としては大きく以下の3つがあります。

・ボールゾーンから小さく曲げてストライクゾーンでカウントを取る
・ストライクゾーンから少し変化を大きくしてボールゾーンに投げ、空振りを狙う
・真ん中の低めにほんの少しだけ曲げてゴロを打たせる

・シュート(126~129km/h)
ストレートの軌道からカットボールと逆に変化する球で、

球速帯はストレートとほぼ同じ、打者にストレートと錯覚させ打ち損じを狙う。

・チェンジアップ(115~119km/h)
シュートと同じ軌道、同じフォーム、同じ腕の振りで球速が遅い球で、

主に用途は以下の2つです。

・ストライクゾーンに投げてタイミングを外し、打ち損じ・見逃しを狙う。
・低めにストレート・シュートと似た軌道から落とし、空振りを狙う。

・カーブ(105~112km/h)
ピッチトンネルを通さず打者の目線を変える球
で、

球速も比較的に遅いため打者のタイミングもずらしたい時に使用。

基本的には打者が速い球(ストレート・シュート・カットボールなど)を待っているときにストライクゾーンに投げてストライクを取る、もしくは打ち損じを狙う。

これまで話したことをまとめると、以下のようになります。

・カット、シュートは「ストレートの軌道からピッチトンネルを通して散っていく」イメージ

※カットの速度や変化量はゴロを狙うのか・空振りを狙うのかでコントロールする

・カーブは「ピッチトンネルの軌道を外す」イメージ

・チェンジアップは「シュートと同じ軌道でピッチトンネルを通すが球が来ない」イメージ

私は以上の球種を駆使して打者の目を錯覚させ、

決して速くない球を『なんだか打ちづらい球』に変えていました。

2.コントロール

次に重要なのが、狙ったところに投げるコントロールです。

ピッチトンネルを用いて打者を思ったように打ち取るのにも、思ったところに投げることができなければいけません。

そのため、私が練習中に意識していた基準があるのですが、それがこちらです。

・狙ったところ所に全球種7~8割投げる(ストライクも)
・バッター右左、球種問わず、内外の投げ分けができる(バッターボックスのライン)


かなり高いハードルですが、球速がないピッチャーの場合、このくらいの基準を満たせるようにブルペンでは取り組むべきです。

内外の投げ分けに関して、左ピッチャーで左打者にインコースを投げない、もしくは投げるのが苦手なピッチャーは多いです。しかし、私は球が速くない投手として、インコースぎりぎりに投げる技術は必須でした。

なぜなら、アウトコースばかりに投げていると打者のタイミングはアウトコースを打つタイミングに適応してしまうからです。最も打者を詰まらせることができ、恐怖心にも繋がるインコースという選択肢を捨ててしまうと、打者が狙って外に踏み込みやすくなってしまいます。

また、インコースで勝負するために技術を磨くことも重要ですが、

「インコースを意識させるため」という考え方もとても重要です。

また、狙ったところに7~8割と書きましたが、基準としては

『ボール球を投げられない状況で全球種を選択肢として持てる』

くらいまでになれるとベストだと思います。

私は一つの球種だけで勝負という投手ではないので、常々それは意識をしていました。

また、どうすればコントロールを改善できるのか?というところですが、それは、

・ブルペンで数値として意識
・フォームの再現性
・コンディションを整える

の3つに尽きます。

この辺りは前回のコンディショニング編でも述べているのでぜひそちらをご覧ください。

次回の記事では、今回の続き【配球】【ブルペンでの意識付け】についてお話しします。

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