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异常的世界への扉①~彼女との出逢い編~

彼女との出会いはちょっぴり運命的だったと思う。
会社内で不祥事が起き、その人物が解雇され、中途半端な時期であったが小規模の配置転換が起き、その余波で私にも異動辞令が降りた。
『なかなかこんな日付の辞令を受けるのは無いな…』なんて笑いながら、辞令交付を受けるために重役室前で待っていると、同じく余波で同じ部署にもう一人配属となった女性が不安そうに現れた。
『もしかして…異動になった○○さん…?』
おそらく、さほど社交的でないであろう彼女が、自分の不安を取り除くべく、同じく異動してきた仲間に話しかけて来たのだと思う。
辞令公表で名前は知っていたが、初対面だった。年齢は同じくらいで、瞬間二人とも好印象を持ったな…と直感した。

彼女は、少し癖のあるセミロングの髪を巻き髪にし、前髪を気にして直すのが癖だった。
私と話している時も、しきりに恥ずかしそうに前髪を気にして直していた。
社風にそぐわない胸元の空いたブラウスと、短めのフレアスカートを常に履いているようだった。スレンダーな脚がそこから覗き、嫌でも男の目線を惹き付けた。割にガードが低い仕草で、男好きのするタイプだと思われた。
そんな彼女が、純朴そうな目線で私を頼ってきた感じに、何か異性を感じ、これからの仕事に楽しみが沸いてきた。二人とも薬指には指輪をしていたのだが…

その日からの仕事ではなにかと彼女に頼られて、一緒に新しい仕事をこなしているうちに、彼女の目線が私を見ている毎に気がつくことが有った。

職場の歓迎会では隣に座らされた。すぐに体に触ってきたり、人懐こそうな笑顔や、少し鼻にかけた甘い声も男心をくすぐった。
彼女は学年は違うが同い年生まれで有ったが、既に3人の子がいることには驚いた。
子持ちでこんなにスレンダーな体型を保っている人が、リアルでいるんだと感心した。彼女も私の見た目から年下だと思っていたらしく(性格には10カ月年下)、同い年生まれであることに驚いていた。
何か彼女とは、変則的な部署異動の犠牲者となったシンパシー以外にも、お互いに惹かれ合うものがその時から有ったと思う。

この部署で必要な資格取得研修のため、長期出張が有った。さすがに彼女とは同じ部署で、同じ時期には行けず、残念に思っていた。すると、研修中に彼女から仕事の質問でショートメールが入ってきた。
『そうか!ショートメールか!』
まだまだラインなどは無い時代で、社会人は携帯を持ち始めた頃で、携帯メールが普及して、この頃から社会に不倫が劇的に増えたのだと思う。
私は嬉しくなって、仕事の質問の回答の後に、携帯のメールアドレスを送ると、すぐに彼女からメールが送られてきた。
研修中も彼女とのメール交換が楽しみになった。そこから、プライベートの話が始まった。

本当は彼女とこの研修に来たかったと彼女に伝えると、驚きと嬉しさを表した文面で返事がきた。私が異性として彼女を気にかけていたのが嬉しかったようだが、さすがに戸惑いは有ったようだ。

研修から帰ってから、対面に座っている彼女の目線に少し熱が入っているのを感じた。
ほどなくして、部署で休日に総動員のイベントが行われることがわかり、これはチャンス!とばかりに彼女にメールでお誘いをしてみた。
もちろん返事はOK!でもバレるのは危ないので、デートは慎重を期して…となった。

イベント後に待ち合わせて、二人で初めての『秘密のデート』が始まった。
イベント後に解散となり一旦散会したが、私は車に乗り込むと、すぐにメールで待ち合わせした場所に向かう。すると、先にそこで隠れていた彼女が出できて車の後部座席に乗り込んだ。
外から見られないように体を倒して身を隠し、私は車を発進させた。
『どこにする?』
まるで拾った子犬のように怯えている彼女は、身を隠しながらも人里離れたとあるホテルを指定してきた。
とにかく知り合いに見られないようにと…

彼女との初会瀬は、若い男女があまり使わないような古いホテルとなった。
部屋に入るとようやく彼女は安心したように私に寄り添ってきた。

つづく

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