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日記

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店主の日記
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2024.6.4 青い香りがしたら夏

今年もあじさいの季節がやってきた。店の最寄りからひと駅おとなり、白山駅からすぐの白山神社は、あじさいの名所で、毎年この季節か来るのがたのしみ。この時期はcafe gのお客さまも、「あじさい、観てきました」と満足そうな顔で店に入ってくる方、「このあとちょっと白山神社まで行ってきます」と言い残してお帰りになる方がたくさんいらっしゃるので、そのたびに訪れた時の光景を思い出して、なんだかこちらまで良い気分になる。 人ごみが苦手な私は、いつもあじさい祭りの開催期間前の平日を狙って訪れ

2024.5.7 ほそくながく、ぐるぐると

そんなに混まないだろうと踏んで開けたゴールデンウィーク後半、予想に反してたくさんの方にお越しいただいた。行楽日和のいいお天気のなかお運びいただき、ありがたい限りである。 木金はほとんどいつものみなさん、土日はほとんど初めましてのみなさん、という具合に、いらっしゃるお客さまの顔ぶれが前後で不思議とくっきり別れていたのが、なんだか面白かった。しかし、火水と旅に出たあと、休みなく次の日からいつものように木金土日と開け、さらにいつもよりも忙しなかったおかげでへろへろになり、己の体力

2024.4.21 小さい春と、あわてんぼうの夏

ここのところ、春の陽気に誘われて、というよりも、夏の暑さに渇きをおぼえて、と言いたくなるような暖かさ(いや、暑さか?)が続き、道々に咲いている小さな花たちも、少ししおれている。今からこんなに暑くて、夏はどうなっちゃうんだろう、とおそろしい。 cafe g では夏季はゼリーや水羊羹などのつるりとしたものがいつものおやつラインナップに加わるのだが、なんかもう暑いしいいか、と思って今年はひと足もふた足も早く、先週あたりからゼリーを始めてしまった。さすがに早すぎるかと思いきや、既に

2024.3.5 小さき花もまた

またしとしとと雨が降り、なんだか冷えますね。 先週、花屋さんで桜の枝を手に入れて、自宅でわくわくしながら日々眺めていたのですが、室内があたたかいからか、みるみるうちにつぼみの先がピンク色になり、なんともう花が開いてきました。小さな枝にぽんぽんと花が咲いてゆく様は、桜並木の迫力とはまた違ったかわいらしさがあり、少し早くきたお花見をうれしく思う反面、もう少しつぼみの状態で、開くのはいまかいまかと眺めたかったかも、という気持ちもあって、我ながらわがままだなあと思ったりしています。ナ

2024.2.22 冬へ、春へ

2月のカレンダーを見ていると、見慣れない29日が存在していて、あれ、そうか今年はうるう年だったのか、と今さら気がつきました。子どものころ、同級生がある時突然「私、実はまだ3歳なんだ」と言い、「え、どういうこと?」「私は2月29日生まれだから、4年に1回しか誕生日が来ないんだ」という会話をしたのを今でも覚えていて、4年ごとになんとなくその子のことを思い出します。今ごろ何をしているだろう、元気だといいな。 最近の東京は、春が来たかと思いきや、またコートとマフラーを身につける日々

2024.1.26 春へ向かって

びゅうびゅうと風の吹き荒ぶ日が続きます。最近なんだかくしゃみが出る時があり、これはもしや、花粉かも。花粉で春を予感するのってなんだかなあ、と思いながらも、確かに季節はうつろっているのだと少しだけ安心します。 cafe gでは、秋からお出ししていたマドレーヌセットが今週末でおしまいとなります。これは、季節の移ろい、というのもあるのですが、ひとりで全ての製造をやっていく中で、他の菓子類や焙煎との兼ね合い、また近頃のバターの値上がりがなかなかなものである、など、複数の事情が重なり、

2024.1.12 はみ出していく

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。cafe gは今年ものんびり開けております。 店での初仕事は、大量のゆずピールの仕込みでした。そのあとしばらく、手からふんわり柚子が香ってしあわせでした。新年一発目の焙煎では、なんだかひとつ挑戦したい気持ちになり、いつも中深煎りの範囲内を狙っている自分としてはかなりぎりぎりのところまで攻めた深煎りで、パプアニューギニアを焼きました。粉に挽いた時点で香りを確かめたときは、やっぱりさすがにやり過ぎたなという印象で、あちゃーと思った

2023.12.12 水仙月の四日

レジの見守り(?)として、ショップカードと会計のトレイの間にいつもなにかひとつ置くことにしていて、気分でたまに変えている。これを先日からシマエナガの小さなぬいぐるみにしたところ、わあ、かわいいですね、と帰り際にひと撫でしてから店を出る方が多くて、なんだか愉快だった。しかしあまりにみんなが撫でてゆくので、そのうちてっぺんだけ禿げてしまうかもしれない。ちょっとかわいそう。禿げる前に交代させてあげようと思う。 変える、といえば、cafe gの本棚の本も、季節によって思い出すものが

2023.12.7 奥山に

NHKでやっている100分で名著という番組を録画しておいて、たまにまとめて一気に見るのをたのしみにしている。この前の古今和歌集の回を見ていたら、解説をつとめている先生がここ最近のなかでも群を抜いてたのしそうにお話しされていて、こちらもわくわくして見られてなんだかよかった。和歌の解説を聞いていると、ああ、中高生のころ百人一首かるた大会があって、朝早く行って一生懸命練習したなとか、そんなことを思い出して懐かしくなった。学生時代に熱中したことというのは大人になった今でも心の芯の部分

2023.12.4 雑記

1 先日店内のBGMをくるみ割り人形にしていたら、うわ、何だかとっても、年末だ!という気分になった。実際にもう12月ではあるし、2023年も終わりに差し掛かっているので間違いではないのだけれど、年末だ、大変だ、とむやみに焦ってしまったので、一周聞き終えて、そのあとはいつものプレイリストに戻した。ああ、落ち着く。最近は、いつも店内でかけている音楽をどこか別の場所で耳にしても、なんだかものすごく落ち着く。身体の深くに染み込んでいる音楽と、その空間に流れている音楽とが渾然一体となる

2023.11.30 新聞を読みたい

配布している季節のお便りがまだ秋号のままなのですが、そろそろ冬号を書いて差し替えねばと思うくらいには冬らしくなってきました。いやはや、寒い。乾燥する。朝起きて、ポケモンスリープの「計測を終了する」を押して、またすぐに布団に潜って二度寝をしそうになる。無性に鍋が食べたくなる。 季節のお便りは、現状2023年春・夏・秋とすべてが手製本の小冊子なのですが、もっと気軽に手に取って読まれるようにしたく、冬号からは新聞のようにするのもいいかも、と思っています。4コマ漫画もあることだし。店

2023.11.25 たまの森林浴、のように

随分と冷えるようになりました。ここのところnoteも告知や宣伝ばかりになってしまっていたのですが、今日は久しぶりに日記らしい日記です。土日も海の底のようにぱたりと暇な日が続いてどうしたものかと途方に暮れたり、かと思えば海外からのお客さまがあったり、身に余るほどのお褒めの言葉をいただくことがあったりで、なんだか日々の波にのまれかけている店主です。様々な波を観測しながら、これからこの店をどのような方向に進めていったら良いだろうか、と頭の中をいろんなことがぐるぐると巡っています。下

2023.10.31 岡山へ/もうすぐ1周年

先日、岡山の親族のところへ数年ぶりに行ってきた。なんだかこの頃、ふとした瞬間に(山に行きたい……)と繰り返し思う時があり、自然に飢えているような感じだったのだが、岡山に行って帰ってきたらその気持ちはある程度おさまった。実際に山に登ったわけではないので、山に行きたいという気持ちを宥めるのに必要なのは、別の何かだったらしい。田舎の空気に触れることなのか、東京からある程度離れた土地に行くことなのか、いつもと違う場所で過ごすことなのか。なんだったのかはっきりとはわからないけれど、自分

2023.9.7 poco a poco.

秋になったら出したい、と思ってあたためていたあれこれがやっと出せるようになって、それはたいへんにうれしいのだけれど、なんだか仕込みが山盛りで、あわあわしそうになっている店主です。しそうになっている、というのは、今のところあわあわせずに出来ている、と思うからです。ひとりでやっていると、急いてしまっている時に「あわてないで!」とか「落ち着いて!」と言って鎮めてくれる人がいません。店内にお客さまがいらっしゃるときにあわててしまうことはないのですが、ひとりで淡々と仕込みをしていると、