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空はまるで




まず初めに、ハッキリ言って、
この場において好感度なるものは一旦忘れる事にした。

あらかじめ言っておくが、本当に気が向いたら読んでいただければいいと思っています。
なんなら読まなくてもいいとも思っています。
覚悟がある勇者の方だけ、先へ進んでください。






今日も青い空だった。暑くも寒くもなく、いい1日だったなあ。






時にあなたは、💩をトイレに詰まらせたことがあるだろうか。


答えなくてもいい。思い出したくもない過去もあるだろう。皆それぞれ、人生の轍は違うものだ。

時に楽しく、時に悲しく、時間とは過ぎていくもの。

人の数だけ、出来事はあるものだ。



本題に戻ろう。


私はある。






いまも忘れない。

あれは2019年、冬の寒い日だった。

まだ会社員だった私。

事務所の目の前にある片側3車線の明治通りは、やけに帰りを急いでいる車で多い様だった。
街はホワイトデー。3月14日に特段の用が無い私は、やはり残業していた。

寒いからか眠いからか、ホットコーヒーをブラックですすりながら、誰もいない事務所で1人、パソコンとにらめっこする夜。



時計の針は午後9時を通り過ぎた。
「もうこんな時間か、さすがに帰りたいな。…よし、もうひと踏ん張りや」
立ち上がり背伸びをし、少し前からソワソワしていたお腹が気になった。



「うんこしてスッキリしよ」


この行動がのちに悲劇を生んだ。

しかし、この判断は間違っていなかったはずだ。


後悔いつも先に立たず。

誰しもこういったタイミングがあるはずだ。
虫だってうんこをする。アイドルだってうんこするはず。
おれだってうんこするよ、そりゃ。


一応断っておくが、この意味での『もうひと踏ん張り』は、そういう『もうひと踏ん張り』ではない。




一旦止めた作業を机に残して、パソコンに背を向ける。
おれの足は確実にトイレに向かっていた。



着座。
冬の寒い日に便座の保温機能が優しい。
TO○Oに感謝しつつ目的を果たした。

2枚重ねタイプのペーパーを使い終わり、立ち上がり、コックを[大]の方に傾ける。
あばよ と言わんばかりにトイレを後にし、手を洗った。







…聞こえなかった?
な、流れきった音が…


あの、完全に流れきった時に聞こえる、あの「ヴォッ」みたいな音が…聞こえなかったぞ…!

バ、バカな、、、!



まさかね…
恐る恐る戻った。


そのまさかだった。





''それ''は確かにそこに居た。

驚いた。こんなことになろうとは。
急いであの「トイレ詰まったときガポガポするやつ」を探したが、




ない



詰んだ。


どこにもない、設備していなかった。
時間はゆうに21時を過ぎている。
こんな街中に都合よくガポガポするやつが売っている店なんてない。


そうだ…!近くにコンビニがある!



急いで階段を降りる。
期待と不安を抱えながら前へ前へと体は走る。

入店音を聞いている暇なんてないのだ。
探す。探す。探す。

勝手知ったる通路を何度も往復した。



しかしいくら、あなたとコンビに、がコンセプトのあの店も、この緊急事態には対応できていなかった。




朝までこれなのか…?


クソっ!クソーォォォ!!!
(悔しいという意味のクソである、オゲレツな意味ではない)



しかし、仕方がない。
とっさに取った行動は、「張り紙をする」


懺悔の紙


なにも解ケツ…失礼、解決はしていないが、突然ドアを開けるよりはいいだろう。


人間とはこんな時にふと冷静になることがある。

よくよく考えたらこの張り紙がめちゃくちゃ面白いなと思って、友達に送った。


めちゃくちゃ笑われた。






明くる日、普通通り現場に出勤。
大方想像はしていたが、齢20を超えて ウンコマン と呼ばれるのはやはり心にくるものがあった。
上司にも後輩にもめっちゃ笑われた。


後輩が、
「面白すぎるんで詳しく聞かせてください」
と言うが、

詳しくも何も、うんこしたら詰まったのよ
と返した。事務所で転がって笑ってた。

うんこもきっと、詰まりたくて詰まったんじゃないはずなのに、こんなに言われて、何故か少し同情した。




朝礼終わりすぐに問屋に連絡して、ガポガポのやつをゲットし、とりあえず事なきを得た。

私は意図せず、会社の金で自分のうんこを流したのだ。

果たしてこの時上司が放った「すべて水に流そう」の一言は、皮肉だったのか、はたまた高度なジョークだったのか。真相は排水溝の中だ。


やっとサヨナラできて、供養した気分になった。

仕事そっちのけでめちゃくちゃトイレ掃除したね。




今でもたまに頭によぎる。

この"身から出たサビ"が、今日は流れるのか、と。


ビクビクしながら、今日も便座に座る。








ちなみに数ヶ月後、また私のうんこで、トイレが詰まりました。







そしてこの日から4年以上が経った、今日。


「おっ、おなかの様子が…」

もう27年近く連れ添った体だ。
『その時』が来たのは容易に分かる。


着座。
スッキリ。


さて、と。




おや…?

無い…?


ロール状に巻かれた紙が…


ハッ!と察する。
後ろの棚を見やる。無い。

予備も。

クッ、万事休す、か…



ーーーーーーッ!!!


ある!否、知っている!


昔ギャグ漫画で見た知識が!この頭にある!



役目を終えたはずの芯棒を開き、身代わりと称して、南無三。
よかった、ひとまず『人間』をまだ生きていけそうだ。



さらばだ、身から出たサビ。
流れるまで見送る。


闘いを終えた私は、それは堂々と部屋を後にしたのだった。


勇者は、いつも心の中に。


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