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[考察] どんぐりころころ



この間、ふと、どんぐりころころの歌詞が頭をよぎった。


なんてことない、幼少期によく歌い、よく聴いた歌。
皆も一度は、いや、幾度となく耳にしただろう。
童謡を聴くと、童心に帰れる。




しかし、大人になって、その歌詞を意味もなく深く考えてしまう。
全く、いやな歳の重ね方をしたもんだ。


ふとよぎった懐かしの歌、[どんぐりころころ]とは、一体どんな歌なのだろうか。


語彙力を多少身につけた今、少し向き合ってみることにした。


ここではひとまず、本題に出てくる「どんぐり」を、主人公として扱う事とする。




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Episode 1
 主人公の冒険、そして出会い


まずは歌詞をご覧いただきたい。

1
どんぐりころころ ドンブリコ
お池にはまって さあ大変
どじょうが出て来て 今日は
坊ちゃん一緒に 遊びましょう

2
どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に 遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた

(歌詞参照:Wikipedia)



ほとんどの方がメロディ付きで脳内再生されているだろう。


どんぐりころころ ドンブリコ
お池にはまって さあ大変


まず一言、「どんぐり」に言いたい。


「なにをしているんだ」と。


「どんぐりころころ」と言っている(歌っている)時点で、恐らく主人公は、散歩なり用事なりで、現在地が外出先であることは想像しやすい。


ただ、早速「お池にはまって」しまっているではないか。


様々なサイトで音楽を再生できるが、筆者が聴いた「どんぐりころころ」でいくと、「ころころ」と主人公が出かけて、「お池にはまって」しまうまで、わずか10秒の出来事である。


はっきり言う、マヌケすぎやしないか。

なんとも頼りがたい主人公だ。



そして、なにが「さあ大変」だ。
自分では何も出来ないくせに、文字通り手も足も出ない、命の危機に瀕しているのに、「さあ大変」などとは、まるで他人事ではないか。


もっと、歌われている、主人公なのだという自覚を持って、「ころころ」して欲しいものだ。





はてさて、意気揚々と出かけたは良いものの、前奏を除けばわずか8秒で命を失いかけている我らが主人公「どんぐり」。


彼は一体、どうなってしまうのだろうか、、、


(まだ1番の半分しかいってないけどこんな感じでいきますよ)






Episode 2
 どじょうとの出会い、そして双方の心境とは

「お池にはまって」しまった主人公の元に、まるで救世主のような存在が登場する。


どじょう だ。


しかしこのどじょう、個人的な見解としては、どうもサイコパスな気がしてならない。

歌詞を見てみよう。


どじょうが出て来て 今日は
坊ちゃん一緒に 遊びましょう


幼少期は、優しいどじょうだな、くらいにしか思わなかったが、よくよく考えてみてほしい。



仮に自分がどじょうだとする。

いつもの様に池を泳いでいると、どうやら転がり落ちてしまった「どんぐり」がいるではないか。

もちろん手も足も無い、自分のように泳げるわけでもない。

どこからどう見ても、「どんぐり」は絶体絶命のピンチ。「さあ大変」な状況である。


見て見ぬふり出来ない、緊迫した状況で、どじょうが出した決断とは………





坊ちゃん一緒に 遊びましょう


サイコだ。

この期に及んで、「遊びましょう」である。

怖い。いくらなんでもおかしいではないか。

こいつはどんな心境なんだ。


せめて、せめて助けた後に一段落して、
「坊ちゃん一緒に遊びましょう」なら分かる。


助けた描写が無いのだ。


それはつまるところ、「お池にはまって」しまった、身動きできない「坊ちゃん」に対し、「お池」が自分の土俵であることをいいことに詰め寄り、「遊びましょう」と近づく、サイコパス野郎なのだ。


恐怖。あまりにも慈悲が無い。


皆も「ころころ」してお出かけする際は、池にはまらない様に留意する事と、知らないどじょうには着いていかない様に、細心の注意を払っていただきたい。



そんなことはさておき、きっと助かると思っていただろう「どんぐり」は、一転、サイコパス野郎との、非情な出会いを果たしてしまう。


この時の主人公の心境は、もう聴き手が慮ることしか出来ないのか。

できる事なら助けてやりたい、代わってやりたいと、この歌を聴いたことがある誰もが、そう強く願っているだろう。



「どんぐり」の運命や如何に………






Episode 3
 即座に出した主人公の答えの真意とは。


1番(わずか21秒)で、お出かけ→命の危機→サイコパスとの出会い、と、類を見ない波瀾万丈な人生、いや、どんぐり生を送っていることが判明した主人公。


2番ではどうなってしまうのだろうか。


助かってほしい。

どうにかどじょうから逃げ出してほしい。


心配である。


歌詞を見てみよう。


どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に 遊んだが




は?


なぜだ?


どういう状況なのか?


なぜ、「よろこんで」「しばらく一緒に」遊んでいるのか。



こいつもサイコパスなのか???


気が狂い散らかしているのか???






いや、待てよ。

もしかすると、主人公はこう思ったのかもしれない。


『今ここで、こんなサイコパス野郎に歯向かったら、殺されるのは時間の問題だ
ならばここで大人しく同調し、時間はかかるがタイミングを伺い、「一緒に遊ぶ」などして、隙を見てここを脱する方が、生きて帰れる確率は高いだろう』と。





素晴らしい。
さすが主人公。
まるでどんぐりの考える事とは思えない。

この仮説通りに物語(歌詞)が進んでいるのならば、この主人公はただの「どんぐり」の「坊ちゃん」ではない。




策士だ。


しかも、相当な手練れである。

できれば敵に回したくない、黒田官兵衛レベルの頭脳の持ち主だろう。


「どんぐり」、恐るべし。





さて、非情などじょうから、咄嗟に出した判断でピンチを切り抜けた主人公。




彼のストーリーは、いよいよ佳境を迎える…





Episode 4
 策士、涙、そして君は何処へ…


なんとか生き永らえてはいるが、依然として状況は最悪な主人公「どんぐり」。


彼は無事、故郷へ帰ることは叶うのだろうか。


歌詞を見てみよう。


やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた



この歌詞をどう捉えるだろう。
人それぞれ、感じ方が違うと思う。


筆者は、
「さすがだ」と思った。



咄嗟の判断で、ひとまず直近のピンチは回避出来たものの、油断は許せぬ緊迫した攻防。

どうにかこの状況を打破できないかと、手も足もない「どんぐり」が、

考え、考え抜いて、持てる全てを出した答えが…






泣き落とし、である。



この歌詞は、泣き落としで状況を打破しようとしている歌詞なのだ。


思い出して欲しい。


いくら主人公と言えども、彼は「坊ちゃん」なのだ。


正確な年齢こそ分かりかねるが、きっと幼いに違いない。

それこそ、この歌を聴いていた頃の自分たちの年齢くらいだろう。


そんな幼な子に「やっぱりお山が恋しい」と目の前で泣かれてるのだ。


ほんの少しでも慈悲があるなら、
「こんな幼い子が1人山から降りてきて、それは寂しいに違いない。おお、可哀想に。」
そう思うのが世の常だろう。


自然界はこんな幼な子を泣かせてしまうくらい、淋しい世界なのか。


非情だ。


図らずともうるっときてしまった。




しかし、これが功を奏した。




「どじょうを困らせた」のだ。


あのサイコパスどじょうを困らせることに成功したのだ。



これは幼い主人公の作戦とも知らずに、「お池」にはまらず「策」にはまった、哀れなどじょうめ。

ふん、二度と同じ過ちを繰り返さぬよう、頭に刻み込んでおけ。





そして今ここに新たに、幼い勇者が誕生した。



見よ、いや、聴け。
この幼い「どんぐり」の、勇敢で壮大な冒険の全てを。


我々人間も、「どんぐり」の「坊ちゃん」から学ぶことがあるかもしれない。





ありがとう、「どんぐり」






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いやはや、改めて向き合ってみると、結構な感動する歌でしたな。


たまには童謡を聴いてみるのも、いいかもしれませんな。









ここで終わらないのだ。

調べていて目にしたのだが、どうやら「後付けされた3番」が存在するらしい。

全く知らなかった。


せっかくなので、追加で考察することにした。



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Episode 4.5
 友情 〜困った時はお互い様さ〜


もしかすると知っている方もいるかもしれないが、恐らくあまり知られていないだろう。


歌詞がどんなものか気になるところだが、と同時に、結局のところ無事に、恋しかった「お山」に帰れたかどうかも気になる。


歌詞はこうだ。

どんぐりころころ 泣いてたら
仲良しこりすが とんできて
落ち葉にくるんで おんぶして
急いでお山に 連れてった

(歌詞参照:Wikipedia)



完全に "友情" だ。

感動友情巨編の映画かと思った。
「どんぐり」がレッドカーペットを「ころころ」している姿が想像できる。

どうかその先に「お池」はあってほしくない。




一般的にリスはどんぐりを食すイメージだ。
普通に考えれば、リスに来てもらっては災難だろう。




が、この世界線では「仲良し」なのだ。

人間には分かり得ぬ[友情]が、そこにはあるのだ。




困った友を見つけた「こりす」が「とんできて」、全ての状況を察したのだろう。




『友は…おれが助けねば…!!!』



きっと、その俊敏な動きでどじょうを翻弄し、急いで「落ち葉にくるんでおんぶして」「急いでお山に連れてった」のだろう。



素晴らしいではないか。

「どんぐり」の「坊ちゃん」よ、いい友を持ったな。

このリスは命の恩人、いや、恩リスだ。


「どんぐり」、「仲良しこりす」、君たちは天晴れだ。


ずっとお互いを大切にしてほしい。

君がいつか、大きく、どんぐりの木になったとしても、君が体験したこの冒険は、きっと忘れないでほしい。



そして今回ヒール役を務めた「どじょう」も、どうか更生して生まれ変わってほしい。


どじょうも、「泣いて」る「どんぐり」を見て困ってしまったその気持ちを、どうか忘れないでほしい。




そして我々人間も忘れない。



その為に人は、詩を書き、曲をつけ、歌にして後世に残すのだ。




どんぐりころころ



いま一度、童心に帰って聴いて欲しい。


そして聞き終わってもう一度、成長した自分の解釈で考えてみていただきたい。




さて、次はどの童謡を聴いてみようか。



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