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北の旅人 2022蝦夷梅雨 炭鉄港を巡る①上砂川・歌志内・北の国から

炭鉄港

旧室蘭駅舎の展示に感動して、早速空知まで足を伸ばしてしまいました。
「炭鉄港」とはいえ、「炭」の存在感は一際大きいものがあります。
北海道を隈なく巡っている自分にとっても、初めて訪れる街が今回はいくつもありました。

ものすごく久しぶりに旭川方面の道央道で北上し、奈井江砂川ICで下道に合流。今回一番のお目当てだった赤平のガイドツアーが10時スタートだったので、行きは高速でした。
赤平の最寄りは滝川ICですが、今回のテーマは「炭鉄港」。
炭鉱が栄えた上砂川~歌志内~赤平と山間を経由することにしました。

上砂川・歌志内

高速を降りて15分ほど移動すると上砂川の街。
山間の静かな街ですが、旧立杭櫓が炭鉱で栄えた頃を偲ばせてくれます。
この櫓、閉山後は廃坑を利用した地下無重力実験センター(JAMIC)の落下塔として再利用されていたそうですが、現在は廃止されています。

上砂川の街並み。左奥には三井砂川炭鉱中央立坑櫓跡。
旧上砂川駅

街の中心部には旧上砂川駅の跡。砂川~上砂川間を函館本線の支線として運行されていました。
上砂川に限らないのですが、炭鉱からの石炭を運搬するためかつては空知地方一帯に網の目のように鉄道が敷かれていました。

ドラマ「北の国から」フリークの自分としては、上砂川は「シュウの実家」として登場する街、というイメージです笑
純がシュウの父親に連れて行かれたカラオケなどはもう残っていないけれど…。

歌志内

上砂川を抜けると10分ほどで歌志内市に入りました。
かつては炭鉱で栄え4万人を超す人口でしたが閉山後は人口減少が進み、
2022年5月時点現在では3000人を切っています。
街の雰囲気としては渓谷沿いの小さな山村といった感じの「日本一小さな市」です。

この後に訪れる赤平や三笠が炭鉱閉山後も独自の魅力を発掘して新たな価値を生み出している様子に比べると、産業がもたらす栄枯盛衰を如実に感じてしまう場所でした。
「閉山のその後」も街によって様々なのです。

せっかく歌志内に来た!ということで「悲別ロマン座」を見てきました。
内部は休業していて、外観だけです。
1984年に倉本聰脚本のドラマ「昨日、悲別で」の中心的なロケ地として
使用された場所。
とはいえ、全く世代じゃないので詳しくはないのですが…笑

悲別ロマン座

ロマン座近くのトンネルを抜けるとそこはもう赤平。
上砂川~歌志内~赤平は山を挟んで目と鼻の先の距離といった感じです。
この山の一つ一つに炭鉱があって、それぞれの物語があったのでしょう。

北の国から

赤平編はかなり盛り沢山なので次回へ。
上砂川も出てきたことだし、せっかくなので「北の国から」について余談を書いてみようと思います!
お付き合いください…笑

北海道富良野を主な舞台に、大自然に生きる小さな家族の大きな愛の物語を描いた、北の国から。1981年に連ドラとして放送が開始され、「2002 遺言」で完結しているので僕は全く世代ではないのですが、親の影響や再放送などで好きになっていった作品です。初めて見たのは中学生の時で、正直退屈だなーという初見の感想でしたが、北海道のリアルな厳しさだったり人間のいろいろな部分だったりを描いている作品であり、人生経験が深くなればなるほど良さが分かってくるわけで。

好きなシーンを挙げるとしたら
①蛍の結婚式(’98 時代)
②笠松杵次の葬式(’81 連ドラ)
が真っ先に思い浮かびます。

①で草太の録音テープが流れて、今までの黒板家の歩みがテーマ曲と共に流れるシーンは何度見ても感動できます。

個人的に最近は②のシーンがお気に入りです。
正吉の祖父である杵次(大友柳太郎)が川に落ちて亡くなり、偏屈扱いされていた杵次の通夜の席で彼を悪く言うだけの息子たちに、清吉(大滝秀治)が酒を呑みながら語る圧巻のシーンです。
えーっと、北の国からに馴染みがない読者の方にとっては何だそれ?だと思いますが…笑

清吉(大滝秀治)は、彼がかつては仏の杵次と呼ばれた村の功労者であることを知っていました。長年、杵次と共に暮らしてきた愛馬も彼の苦労を知っており、その愛馬を手放した時、杵次がどんな思いをしたか、清吉は絶句してこらえ切れなくなった涙をあふれさせます。馬だけが杵次を本当にわかっていたのだという清吉の言葉は、空知の炭鉱だったり室蘭での街歩きだったりと郷土史に触れる機会が増えていて、ひいては結果的に地元で過ごしている今の自分にとても響くものがあります。

「お前らだけじゃない・・・みんな忘れとる・・・あの時代の功績者を・・・ 功績者の気持ちを忘れとる。
確かにとっつぁんは評判が悪かった。けど昔はみんなあの人のことを「仏の杵次」そう呼んどったよ!

そういう時代も昔はあったんだ!それが、どーして今みたいになったか、 みんなとっつぁんの苦労を
忘れちまったからだ!

忘れなかったのは、あの馬だけだ。 あの馬だけがとっつぁんをわかっとった。その馬を手放したとき・・・
その馬を売ったとき・・・」

僕の場合は母方の家系が農家をしていたので、馬と一緒に暮らす杵次のような生き方や感覚を祖父母くらいまでは当たり前に持っていたことを考えると、「北の国から」の登場人物には親戚を見ているような親近感を覚えます。

地元ですらも、いや地元だからこそ、知っているつもりの過去の出来事を自分は何も知らなかったんだな…と痛感することが地域の活動をしていると最近は多くあります。
遠回りかもしれないけれど、過去を理解し受けとめた上で未来を考えていきたい。過去から学ばなくては、本質的な選択はできないのだと僕は信じています。

来月は十勝岳方面に遠征する予定なので、ロケ地となった麓郷の森も久しぶりに訪ねてみたいです。

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