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#1 顔が好きと言われた

恋のきっかけは、彼の一目惚れだった。

もともと同じ職場で、違う部署の彼。仕事上の関わりはなく、私のほうは彼のことを認識していなかったが、廊下ですれ違ったことがあるらしい。

ある時、ラインのIDと「ラインを交換してください」と書かれたメモが職場の私の机に置いておった。

誰だ??
名前を見たところで、さっぱり誰だかわからない。そりゃそうだ、会ったことすらない。
こんな人いるのかな?と、社員名簿を確認したら、確かに名前はある。

直接声をかけてくれたらいいのに…?
と思いつつ、恐る恐るラインを交換した。
しばらく、やり取りは続いた。お互いの自己紹介だったり何だったり。それから、何度か会ううちに付き合うようになった。

付き合う前の何度目かのデートで、お昼にオムライスを食べていた。2人、同じサイズのオムライスを注文し、彼のほうが食べ終わるのが早く、待っててもらう間。

めっちゃガン見してくるじゃん…!
ふと、口をついて出た。

「私のどこが気に入ったの?」

しゃべったこともないのに声をかけてきたのは、私の見た目がタイプだったりして?
いやいや、まさか。顔は晒したくないので想像してもらいたいが、男受けする顔ではない。目が一重で小さめなので、見た目キツそうに思われるし、実際そう。心の端っこでは、二重のくりくりなお目めに憧れる。生まれた時から愛嬌は持ち合わせてなくて、つーんと澄ました感じの子。

しかも、某ウイルスの影響でマスクのご時世。出会いは職場なら、必ずマスクをつけていた。顔なんてちゃんと見ていないはず。

どこに好意を寄せる要素があったの?

この日は答えをもらえなかったけれど、改めて付き合うことになった日に教えてくれた。

「(私を好きになったのは)何度かすれ違う度にだんだん目で追ってるなって気付いて。顔とか雰囲気とか見た目から入った。一目惚れだと思う」

まだ何も知らない私はそんな感じか、とだけ思った。


初めて2人で会ったのは、どちらから誘ったのか忘れたが、ラインを交換してから2週間後の金曜の夜だった。

彼が焼肉店を予約してくれた。その日はお互いのことを全部話そうとなり、お互いに質問し合ったり、焼肉食べたり。会話が途切れてきて、2時間ほどで解散した。

私は人見知りが激しいタイプで、割と直感的にこの人とは仲良くなれる、なれないと判断して、そういう付き合い方をしてしまう。

彼のことは、なんとなく、いいなと感じた。
この人は大丈夫だと不思議な安心感があった。

あぁ、思い返せば、この時から恋は始まっていたんだ。


*この物語には続きがあります。


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