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穴の空いた靴下

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小説。完結済。あるミュージシャンの追悼式へ参列する主人公とそこで出会った男との会話がメインなのか?
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2018年11月の記事一覧

穴の空いた靴下(10話)

柴田の空になったグラスに、倉石がビールを注ぐ。

「あ、すみません。ありがとうございます」
「そんな恐縮しなくて良いよ。まったり飲もう」

そのまま自分のグラスにも注ごうとしていたので、柴田は「僕にもやらせてください」と瓶ビールを受け取り、倉石のグラスへ丁寧に注いだ。

「二人とも何食べる?」と店長はお通しのポテトサラダを出しながら聞いた。倉石はそれを受け取る。

「開店前ですけど大丈夫ですか?」

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穴の空いた靴下(最終話)

左耳に鳴り響く何度目かのコール音の後に「留守番電話サービスに接続します。発信音の後に三分以内に伝言をどうぞ」というメッセージが聞こえてきた。

「もしもし、俺だけど。もう一回ちゃんと話したい。うやむやなのも嫌だから。伝言聞いたら連絡下さい。待ってます」

柴田は電話を切って、スマートフォンにイヤホンを繋ぐ。lochの一番好きなアルバムを再生してポケットにしまう。柴田の顔をライトで照らしながらホーム

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穴の空いた靴下(あとがき)

生まれて初めて自分が書いた(ブログ以外の)ものを公開しました。
読んでくれた方が一人でもいればいいなと思って、あとがき的なものを書きます。

元々は6年くらい前に、当時通っていた専門学校の課題として提出したのが「穴の空いた靴下」という作品(と呼べるものかはさておき)です。

その時は脚本として書いたんですけど、小説として書き直すのはすごく大変でした。なにせ脚本は読み物として書いてるわけじゃないし、

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