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Photo by
shinya_chanpuru
天秤
どんな風景を想い
どんな世界に傷ついて
やがてそれが
憎しみに変わってしまうのだろう
少年は思った
道端で転んだ傷のように
どんな悲しみも
消えてくれたら
いいのに
正義と正しさが
あやふやな境界線で
戦闘していた
敵は
異なる正義だった
この世界に
勧善懲悪の物語のような
すっきりした
コントラストは存在しない
それぞれの立場
それぞれの正義
心は如何様にも熱くなり
時に暴走して
サイレンが鳴り響く
『すばらしい新世界』では
感情は必要のない悪だと
切り捨てられていた
少年は思った
感情のない世界に
愛は生まれない
けれど
争いごとの火種になる
憎しみの連鎖は
古代ローマ時代から
あらゆる文明を経て
今もなお続いている
沈みゆくタイタニック
最後の最後まで
演奏を止めなかった
8人の楽団員
天秤に乗せられた
善と悪
ただ一切は
その愛のために
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