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Photo by
kenb1111
打ち上げ花火
重たい時計を背負った小人と
軽い時計をポケットに仕舞い込んだカンガルー
それは気まぐれに
季節ごと
代わる代わる
この街にやってきて
時の長さを
自在に錯覚させた
この街の指揮者は
それぞれの心の育みにあわせて
毎日かかさず
タクトを振っていた
永遠に終わらない旅だと
嘆いていた
亀の親子は
沈みゆく夕日を見つめて
この世の定めを知った
スピードが増しているのは
人間の住む社会で
ムクドリや渡り鳥
キツツキの
飛行スピードは
今も昔も
変わらなかった
夏になると
ほんの束の間
蝉はあちらこちら
地上に姿を現し
ひと夏の青春のごとく
命を燃やした
未来志向の窃盗犯が狙っているのは
人々の時間だった
ミヒャエル・エンデの『モモ』は
実話だったのだ
心が美しいハイビスカスは
いつも誰かの歩く背中を
気にかけていた
わだかまりの小石をかき集めて
できた積雷雲は
刹那の悲しみで雷を落とした
もうじき夏が終わる
はじまりは
やがていつか終わりを迎える
誰もが皆
それを承知していて
名残惜しむように
最後の打ち上げ花火を
見つめていた
耳を澄ますと
リンリンリン
リリリリン と
鈴虫が鳴いていた
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