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【声劇台本】なでしこの君へ〜第三話

《あらすじ》
勇に誘われ、また二人で出かけることに。
道すがら、先日の夏祭りの話で盛り上がる二人。
そして、勇が見せたかったものとは…?

シリーズ完結編。

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《前回のお話》

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『第三話〜恋蛍』

勇 「今夜、見せたいものがあるので、つきあってもらってもいいですか?」


キミ 「 (不思議そうに)見せたいもの…?」


勇 「見てのお楽しみです! じゃ、また6時に迎えに来ますね!」


ーここまで回想ー


勇 「そう遠くないので、安心してください」


キミ 「はい。勇さんを信頼してますから」

(間)

キミ 「あの…この前はありがとうございました。楽しかったです」


勇 「それなら良かった! こちらこそ、ありがとうございました」


キミ 「あの…猿回し、初めて観ました!」


勇 「僕もですよ! 一緒に観れて良かった!」


キミ 「お猿さん、かわいかったです。
ふふ。あのお猿さん、なんだか勇さんに似てませんでした?」


勇 「えぇ?! 似てましたか? なんだか恥ずかしいなぁ」


勇・キミ  (二人で笑う)


(間)


勇 「もうすぐ着きますよ。川のそばなので、足元、気をつけてくださいね」


キミ 「川…? はい…」


(間)


勇 「着きました! この辺で見れるはず…」

勇 「ふっ(ちょうちんの火を吹き消す)あ!いた!あそこ…!」


キミ 「え…?」


勇 「ほら、あそこをよく見て。」


キミ 「あ…! 蛍?  光った! わぁ〜、すごい!」

キミ 「あ! 見て! こっちにも! 綺麗!」


勇 「今日はたくさん出てますね。運が良い」


キミ 「え…?」

勇 「天候によっては見れないんですよ。蛍は蒸し暑くて風のない日に飛ぶんです。それも月の出ていない闇夜に。昼間は風があったから心配でしたが、止んで良かった」


キミ 「そうなんですね! 勇さん、物知り!」


勇 「蛍ってどうして光るか知ってますか?」


キミ 「いえ… どうしてなんですか?」

勇 「オスが点灯しながら飛ぶのは、メスへの求愛なんですよ。メスは葉の上で光って居場所を知らせているんです」


キミ 「すごい! 神秘的!」


勇 「ですよね!短い命だから、必死なのかもしれませんね」


キミ 「そうかもしれませんね。
あ…そういえば、この前、神様に、何をお願いしたんですか?」


勇 「あ…いや… その… キミさんは?」


キミ 「私は秘密です」


勇 「ずるいな〜」


キミ 「うふふ」


勇 「あの… 今日ここに誘ったのは、実は伝えたいことがあって…」


キミ 「え…?」


い 「実は先日の願い事は… あの… 良かったら僕と… おつきあいしていただけませんか?」


キミ 「(ちょっと驚きながら)え?!(間)はい…。私なんかでよろしければ、よろしくお願いします」


勇 「良かった! キミさんじゃなきゃ誘ってません」


キミ 「ありがとうございます。あの… びっくりして、心臓が止まりそうです」


い 「手、繋いでますから、安心してください」


キミ 「はい…。あの… 私もずっと前から、勇さんのこと… 好きでした…」


勇 「ありがとうございます。来年もまた、蛍、見に来ましょうね。再来年も、その次の年も」


キミ 「はい…!」


勇N  蛍の光が、2人を優しく包んでいた


ー完結ー

表紙イラスト:山浦大福(Twitter@daih033)

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《第一話はこちら》

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