【声劇台本】なでしこの君へ 第一話
《あらすじ》
舞台は昭和初期の田舎町。夏の暑い日。
いつものように勇がキミの家に配達に訪れると、キミからラムネを勧められる。
勇は思い切って夏祭りにキミを誘い、二人は夏祭りに出かける。
二人の初めてのデート、
そして恋の行方は…?
(全三話)
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『第一話 ラムネの恋』
ー風鈴の音ー
勇 「ごめんくださーい」
キミ「はぁーい」
勇「郵便です」
キミ「ありがとうございます。今日も暑いですねぇ」
勇 「ほんとですねぇ。たまには雨でも降って涼しくなればいいんですが」
キミ 「あの…少し休憩していきませんか? 珍しいものをいただいたんですよ」
勇「いや、仕事中ですから…」
キミ「私が飲みたいんですよ。 でもどうやって開けるのかわからなくて…手伝ってもらえませんか?」
勇 「わかりました…では、少しだけ…」
キミ 「ちょっと待っててくださいね」
(勇は縁側に座ってキミを待つ)
ー風鈴の音ー
勇 「風鈴って良いですよね」
(ラムネを持ってキミが戻ってくる)
キミ 「良い音ですよね。風鈴の音を聴くと、夏って感じしますよね。あの、これ…」
勇 「ラムネですね!」
キミ 「これ、どうやって開けるんですか?」
勇 「貸して下さい」
キミ 「はい」
勇 「こうやって、ビー玉を押して… おっと…!」
キミ (男性のおっと、とほぼ同時に)「きゃっ!」
勇 「すみません、溢れちゃいましたね」
キミ 「いえ、こちらこそ、ごめんなさい。服、大丈夫でしたか? これで、手、拭いて下さい」
勇 「ありがとうございます。グラスに開けますか?」
キミ 「はい。お願いします。(グラスに注ぐ)
わぁ〜、ぱちぱちしてる!」
勇 (微笑みながら)「キミさんから、どうぞ」
キミ 「はい…いただきます。
きゃっ!(初めての刺激に驚く)
喉がピリピリします…」
キミ 「あはは。びっくりしますよね。
では、僕もいただきます。ぷはぁー」
キミ 「ちょっと痛いけど、おいしいです!
さっぱりして、甘くて、シュワシュワして… 不思議な飲み物!」
勇 「そうですね。スッキリしますね」
勇「あ、そうだ! 明日、夏祭りがあるでしょう?良かったら、一緒に行きませんか?」
キミ 「え…? あの… 私なんかで良いんですか?」
勇 「キミさんが良いんですよ」
キミ 「ありがとうございます。では、ぜひ、お願いします!」
勇 「じゃ、明日、6時に迎えに来ますね」
キミ 「はい!楽しみにしてますね。
あの… ニ人で出かけるの、初めてですね」(照れながら)
勇 「いや… あの… そ、そうですよね! 心配なら断って良いですからね」
キミ 「いえ、そんな… いやじゃないです」
勇 (慌てて)「それじゃ、ごちそうさまでした。また明日!」
キミ (何着ていこう… ドキドキする…。はじめてのお誘い…)
ー二話へ続くー
表紙イラスト:山浦大福(Twitter@daih033)
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