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がつんと頭を殴られたような甘さで

ゴディバ。その誇り高いブランド名をほとんどの人は聞いたことがあるだろう。バレンタインになれば我先にと人々が駆け付け、プレゼント用として買っていく。最近は自分へのご褒美用にと買っていく人も多いという、超有名チョコレートブランドだ。


ある日、母が「近所の人にこの前おすそ分けしたお礼にもらったの」と紙袋を差し出してきた。中にあったのは小袋がふたつ。手に取ってみるとそこには紙で包まれたチョコレートが入っていた。

ざっと見てみるとミルクチョコレート、ダークチョコレート、ヘーゼルナッツなどいくつか種類があるようだ。包みを裏返してみるとGODIVAと印字がされていた。

「ちょっとこれ、ゴディバだよ」
「すごいわね」
「私あまり食べたことない」
「じゃあ早速食べてみなさいよ」
「うん」

私は特に何も考えずにぽいとそのチョコレートを口に放り込んだ。






何これ!?中がトロっと溶ける!
うっっっま!!!!!!

この贅沢かつ品のある甘さ!


そして私は一瞬であの日のことを思い出した。






それはとある用で都会に行った時のこと。私は身も心も疲れ切っていた。何故かというとそれまで会っていた人と話すことがとても緊張するものだったからで、帰宅途中のその時でさえ息も絶え絶えのような状態だった。

(もうだめだ…どこかのカフェで一呼吸置いてから帰ろう)


私は駅の改札側への道から逸れて駅ビルへと向かった。すると駅の構内にジューススタンドのような場所を見つけた。そこにあったのがあのお店だった。足を止めた私に天使のような笑顔を向けてくる店員さん。

甘いものを飲んだら少しは元気が出るかもしれない。そう思った私はそこにあったショコリキサーという飲み物を頼むことにした。

出てきたのはスタバのフラペチーノのような容器に入ったチョコレート色の飲み物。甘いカカオの香りが食欲をそそる。疲れていたのと、若干暑い日だったということで私はすぐに飲み始めた。


そこにはスタバのモカシロップ入りとは全く違う、まるでチョコレートでがつんと思いっきり頭を殴られたかのような天国が待っていた。







一瞬で脳裏によぎった記憶に私ははっと我に返った。

あの時の感動をチョコレート一粒で再現していることに心から驚いた。いや、むしろ元々がこのチョコレートの味を再現しているのがあのショコリキサーだったのだ。

そんなよくわからないことを考えるくらいに私は感動していた。


「お母さん…これは…これは…!」
「おいしい?」
「全部私に下さい」
「…え?」




かくしてゴディバを独占することに成功した私だったが、昨日適当に見ていたテレビでさらに恐ろしい事実を知ってしまった。

「ミスタードーナツ♪」

菅田くんの声だと気付いたのでそのまま画面を見ていると、今年のチョコレートのコラボはゴディバだということがわかった。

え?去年のヴィタメールも神コラボだったのに今年はあのゴディバ?




行くしかない。



ショコリキサーもまた飲みたいと思う今日この頃です。
少し遅れてしまいましたが、今年もどうかよろしくお願いします。

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