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遥か彼方の海へ

 夏といえば海。海といえば夏。
 とは言っても、海なんてもう数年行っていない。本当に、最後に行ったのがいつなのか思い出せないレベルだ。泳ぐのは得意ではないし、そもそも公衆の面前で半裸になるのが恥ずかしい。プールや温泉もめったに行かない。
 しかし、私と海は切っても切れない関係にある。私が望んでなった関係ではない。もちろん多分海も望んでいなかったはずだ。

 私の本名は、あるビーチの名前が元になっている。どこのビーチかは伏せさせていただく。プライバシーの保護というやつだ。
 ちなみに詳しい名前の由来は知らない。しいて言うなら両親の出会いは海だったとかなんとか。ただそのビーチで出会ったわけではないし、名前の由来とはあまり関係ないと思う。小学生の時の授業の一環で、生い立ちとともに尋ねたことがあるような気がするが、忘れてしまった。多分、綺麗だったとかそんな感じだったと思う。
 そして、実際にそのビーチを訪れたことはない。今のところ訪れる予定もない。スマートフォンを手に入れてから写真では見たことがある。確かに誰もが想像するようなビーチではあったが、特別有名だとかそういう感じではなかった。語感で付けたのではないかと疑ってしまった。
 

 
 地球の70%は海だと学校で習った記憶がある。うろ覚えだが。そして、海の大部分が未開拓であるらしい。まだ発見されていない海の生物もたくさんいるという話も、一度は聞いたことがあるだろう。とにかく海はまだ不思議でいっぱいなわけだ。自分は海が怖い。先ほど恥ずかしいとかなんとか言っていたが、海に行かない一番の理由は至ってシンプル、未知な世界が怖いのだ。うっかり未確認生物と出会ってしまったらと思うとブルブルしてしまう。
 
 ここまで約700字を使って私が伝えたかったのは、「私って、海が名前の由来なのに、海嫌いなんだよね~」ということである。それがすべてだ。
 海と私は意図せず関係づけられてしまい、この関係はずっと続いていく。不本意にも海は私の特別になり、それが余計に私を海から遠ざける。
 これから先、私が海を大好きになることはないだろう。自分の名前の由来の地を訪ねることもない。訪ねてみたい気持ちがないわけではないが、行ってどうすればいいのか分からない。それでもどうしようもなく、海は私にとって特別な存在だ。見たことのない砂浜に思いを馳せ続ける。いつか行く勇気が出たら、この目で見てみたい。だが、死ぬ間際に行けばよかったと後悔するのも、人生なのかもしれない。

これが私と海の関係性であり、海に対する私の思いだ。


 余談だが、少し前に「海堺」という言葉を知った。「うなさか」と読む。「海上遠くにあるとされる海神の国と地上の人の国との境界。 海の果て。」という意味らしい(Weblio辞書より抜粋)。なんか素敵な言葉だな~と思った。それだけだ。


※みんなのフォトギャラリーより、画像をお借りしました。ありがとうございます。

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