走れ、青春。
中学生になった私はなんの迷いもなく陸上部に入部した。塾の先生からは進学校を目指す条件として 運動部には入るな!という指令があった。朝練、放課後と部活に時間をとられるからだった。 案の定、私はこっぴどくお叱りを受けた。
どうしても陸上部に入りたい理由があった。
学年1つ上、野球部に好きな先輩がいました。
片思いです。同じ校庭で先輩の勇姿を見ていたかった。 先輩はサードを守る内野手。 レギュラーに入ったり入らなかったり。足が速くてカッコよかった♡
私は陸上部では中距離、砲丸投げ。シュッと可憐にバーを越える高跳び選手に憧れたが おチビだったので断念。
🏃🏻♂️
毎日 熱い視線と応援を送る。 同じ校庭で部活をするのが楽しみで幸せ。 ただ、誤算があった 。 うちの学校の校庭は狭かった。 100m.200mのタイムをとる時は野球部に校庭を譲ってもらい目の前で走らなければならなかった。野球部の男子が休憩してみている。他の人はどうでもいいが 大好きな先輩が私達を見ている。
恥ずかしい。。。
一生懸命に走る。胸が揺れる、鼓動が小刻みに鳴る。 早く通り過ぎたい。 目をつぶってゴールまで一気に走り去りたい 。逆に見られるなんてとんでもない!
しかし、気持ちの高まりもあってかタイムは伸びた(笑)
🏃🏻♂️
たまに帰りが一緒になることもあった。私と友人は離れて後ろを歩いた。 当時、流行りのポカリスエットを天を仰ぎ グビっと飲む姿に男らしさを感じたものだ。
体育祭で借り物競争に出る。よ〜いドン!走る。 紙に書かれている物は何?? ハチマキだ!
(ハチマキ、ハチマキ……)
手前のクラスをわざとスルーする。先輩のクラスへ一直線に向かって大声で叫ぶ。
『ハチマキ 貸してくださーい!』
学級委員だった先輩がサッとハチマキの結び目を解き手渡してくれた。わあ!もしかしたら、、が現実になった。こんな優しさが たまらなく素敵。ギュッと手に握り全力で走った。嬉しすぎて一瞬羽が付いて空を飛んでいたかもしれない。
借りたら返す。千倍の喜び。役得だ〜!
「ありがとうございました…」
「よかった、、、1位。」言葉少なく返事をくれた。
風の噂で、彼女がいることを知りました。(カッコイイもの…) 当時、私は 想っているだけでよかった。それ以上は望んでいませんでした。
🏃🏻♂️
とうとう卒業式の日。制服の第2ボタンが欲しくて待っていた。現れた先輩の制服には既にボタンはもうなかった。初めて書いたラブレターを下駄箱に入れました。オープンな下駄箱、本人が手に取るまで影からみていた。手に取った!
あなたのことが ずっと好きでした。
駆け抜けた 2年間が 終わった。
あぁ、これでサヨナラ。涙いっぱいに先輩の背中を見送った。
校内には「贈る言葉♪」の歌が繰り返し流れていた。
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