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このカオスを越えるには、エンジニアこそがデザインを身につける|田川 欣哉さん

5月22日、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第6回の授業内にて、Takramの田川 欣哉さんのお話を聴講しました。

RCAご出身でデザインシンキングという考え方が流行る前から多くのビジネスをされてきた方だけあって、本質的な問いに答え、最先端なエンジニアリングのケイパビリティを活かし、消費者としてワクワクするような考え方・アイデアで、様々な実践例をお示ししてくださり、ワクワクしながら聴講することができました。

LEDEXという日本企業の経済エコシステム・外部ネットワークの強さを可視化したシステムのデモを拝見させていただき、昔未来を描くときのイメージ動画であったようなデモで、それがこの世に実現されたということに対する感動と尊敬を覚えました。

https://ja.takram.com/projects/ledix/

私自身、社会人になる前の大学院では人工知能の研究をしていたので、重要性はよく理解できます。決してエンジニアリングが嫌いという訳ではないのですが、ツールを使いこなすスキルよりも人間と向き合うことに焦点を充ててきました。その考え方をひっくり返したくなるくらい、デザインエンジニアリングの重要性とかっこよさを改めて実感しました。

本日別のフォーラムで登壇されたAIに関する有識者である東京大学の松尾教授が紹介してくださったDCONについて脳内でSyncさせながら聞いておりました。DCONとは、全国高等専門学校ディープラーニングコンテストという本年4月末に初開催されたもので、ハードウェア知識に優れている高専学生が新たなビジネスを発表し、名だたる方達が事業性評価し、その1割が資金として与えられるというもの。一位は4億の評価がつき、4000万円のファンドが得られたという結果で、全ての高専の技術スキルの差分はほとんどなく、全てはどのような課題を解決するアイデアなのか?という所の着眼点で結果に開きが出たということでした。

https://www.jdla.org/news/detail/20190410001/

エンジニアがデザインという新しいスキルを身につけ、何かを解決する、もしくは意味を作り出す構想力を身につけた先の世界がいかに輝いているのかということを認識しました。今まで以上に、エンジニアリングに私も向き合う気持ちを持とうと思います。

また、イノベーションを興すための組織のあり方についてのお話についても考えさせられました。カオスな状態で役割分担や業務をシーケンシャルに設計せずに実施することが重要だということ。一方で、大企業の組織運営において、カオスな状態の運営が許容されるはずがなく、許されたとしても、ちょっとした遊び心を本気の製品に入れる心の余裕を持つことが非常に重要だと思いました。この辺りは解決案がないのですが、今限りあるリソースの中でカオス実験を試しながら要諦を今後捉えていければと思っています。

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