見出し画像

経営を学び直したいと思った私がMFA(美大修士)を選んだワケ

日本ではまだ馴染みのないMFAについて、そしてMFAで学べることが何なのか、私のこれまでの社会人としての学びと美大修士での学びを関連づけながらこれから紹介していきたいと思います。本日は、十数年に渡り戦略コンサルティングファームで働いてきた私が、経営を学び直したいと思い立った際に、数多ある選択肢の中で、MBAではなくMFA(美大修士)を選んだ理由を紹介します。

学び直しのきっかけ

ビジネスの立ち上げや推進を支援するお仕事に携わるなかで、あらゆる局面で現状のアプローチのみに終始している点に不足を感じるようになりました。それは、クリエイティビティ、アートでした。2013年頃、軒並み日本企業よりコスト競争力に勝る韓国企業等が競り勝つようになり、一方でアメリカ企業は新しい顧客を創造して競争のルール自体が変わってしまった時代、これからの日本企業をサポートするコンサルタントとして何が一体欠けているのかと自分に問い直した結果、アートの領域、クリエイティビティの欠陥だと気づきました。その後、サイエンスのアプローチだけでなく、アートのアプローチでビジネスを考える態度を身につける必要があると考え、独学や社会での学びを増やしていきました。

しかし、社会人として働き続けている限り、やはりどうしてもアウトプットをし続ける時間が圧倒的に多く、インプットの時間はおざなりになってしまいます。また、アートの領域は一朝一夕に体得できる領域ではありません。沢山のクリエイターやデザイナーに囲まれても、沢山のアートやデザインの学術書を読んでも、アートの真髄は学び取れないのではと気づきました。今後50年続く経営戦略を誘うためには、本質的な理解が必要だと、そう考え、働きながら学び直しをすることを決意しました。

数多ある選択肢から美大を選んだワケ

学びの場所を探し始めた2018年頃、デザイン思考が拡大してきたこともあり、デザインスクールに通っていたという方の記事も多く見ました。多くのデザインスクール等の情報を収集しました。確か、参考にさせてもらったのが、Goodpatchさんのサイトです。

その情報収集の過程でも一際私の目に止まったのは、MFAという言葉でした。MFAとはMaster of Fine artsです。美術学修士。本noteでは美大修士と呼んでいます。経営を学ぶにあたって、MBAの需要がこれから徐々に下がり始め、MFAの需要が上がり始めると述べられていました。ダニエルピンク氏は15年前に、これからの時代はMFAだと語っています。

また、人工知能の発展に伴い、これからの人間の価値を再度見直した際に、重要となってくることがアートの領域であるとも言われています。山口周氏が語っている記事もご紹介します。

人生で大きな選択になるため非常に迷いましたが、MFAのど真ん中でこそ学びとれるものが大きいだろうと美大に決めました。ちょうどこの頃、国内で初めて美大が社会に開放されることを知ることになります。武蔵野美術大学大学院で造形構想研究科という新しい学科を新設する(2019年4月)という募集を見ます、そしてここに通ってみることにしました。

実際に修了してみてどうだったか

2年間の課程を修了して思うことは、美大で良かったなと、そして武蔵美の造形構想研究科で良かったな、ということです。私が学びたいことは、アートの真髄とは一体何なのか、であり、アートがビジネスにどのように融合されるのか、という点でした。

同様にビジネスの世界に生き、経営を学び直しされたいと考える方へ、少しでも参考になればと私見をまとめます。学び直しをされたい方は、その大学の出自と学びの方法が何かを見て頂くことをお勧めします。

出自、すなわち、大学の成り立ちですね、元々何を専門としてきた大学なのか、何を学んでもらいたいと思って創業した大学なのか、ということです。出自というものは、大学の方針、教授の言葉、授業の目的、キャンパスの雰囲気、学生のコミュニティすべてに反映されていて、やはり学内に文化として色が強く出ます。美大の出自は、美術、アートという造形教育であり、長年に渡り蓄積された美大だからこそ、核をついた学びを得られました。

そして、学びの方法としてtangible《触れられる・有形》な学びがそこにあるかどうかです。普段のビジネスの世界で経営戦略は、intangible《触れられない・無形》な領域に偏っています。新しい50年続く経営戦略を学び取るには、その逆のtangibleの学びが非常に重要だと感じました。この学びはtangibleという言葉でも象徴される通り、自身の身体を使って体験することでしか学べません。intangibleな物を取り扱うだけでは学び取れなかったと強く感じます。(tangibleの重要性はまた別途紹介します)

数多ある学び直しの選択肢を、出自としてのscienceとartという軸、そして学びの方法としてのtangibleとintangibleという軸で、マップしてみました。

画像1

なお、武蔵美をお勧めするためのご紹介ではありません。あくまでも私のこれまでの人生で得た課題、そしてこれからの学びの目的に照らし合わせると美大という選択肢、そしてtangibleな造形を学ぶことのできる武蔵美の造形構想研究科が合致していたということに過ぎません。皆様ご自身が学び目指すところと合致している場所を選ばれることをお勧めします。

日本ではまだ馴染みのない美大修士MFAについて少しでも多くの人に知って頂きたいと思い、経営を学び直したいと思った私がMFAを選んだ理由からご紹介させて頂きました。これから、MFAでの学びについて発信していきます。

追記

語弊がないように記しておきます。私が修了した武蔵野美術大学大学院造形構想研究科は、英語の正式名称ではMaster of Arts (Creative Thinking for Social Innovation)です。Fine Artsのみの専攻ではないため、Artsとなっています。本noteでの表記は、MBAと並列・対比させる意味で、MFAという言葉をあえて使っております。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?