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「選択」するということ

人生は選択の連続です。

選択できることが幸せか、選択する悩みを極力減らし、決まったレールを行くほうが幸せか、情熱にまかせて選択をすべきか、合理的な選択が正しいのか、

どれを選んでも、結局は選ばなかった方の人生を歩むことはできません。

選択肢は多い方がいいのか、少ないほうが良いのか、それをどのように感じるかは生まれた環境や文化、性格によっても変わります。

40歳の「選択」

コロンビア大学ビジネススクール教授であるシーナ・アイエンガーの著書「選択の科学」はそうした「選択」に関わる身体反応やバイアスなどを科学的に論じた本ですが、

本書で紹介されているインドの心理学者ウシャ・グプタらによる50組の夫婦を対象とした、取り決め婚と恋愛結婚の幸せの尺度を比較した研究では、結婚1年以内の夫婦では恋愛結婚で恋愛感情のスコアが平均70点、取り決め婚で58点だったのに対し、10年を超えると恋愛婚が40点と低下し、取り決め婚が68点と上昇を見せたと報告しています。

これは恋愛結婚のような情熱や愛情といった感情はエネルギーの消耗が激しく、長期間維持することが困難ということを表しており、脳科学的な研究においても証明されています。

取り決め婚は両家の釣り合いや価値観や目標などの相性が良い二人が引き合わされます。情熱よりも合理的な相性が優先されるために、二人の土台が安定しており、その後の愛を育みやすい環境にあるのかもしれません。

若いときに「情熱」や「勢い」まかせて選択し、たとえそれが失敗だったとしてもそれを取り返す時間は十分にあると思います。
それを一つの教訓として学び、次の選択に生かすこともできるでしょう。

しかし、40歳という年齢においてはどうでしょうか。

微妙なところですが、やはり20代、30代のように燃え上がる感情に任せて選択することはリスクが大きいように思います。

冷静にリスクやメリット、相性、経験などを考慮し、合理的に選択する方が後悔の少ない「選択」ができるのかもしれません。

自己決定権と健康

自分で「選択」できる環境、つまり自己決定権がどのぐらいあるか、その度合いは健康リスクとも大きく関連しており、動物園の動物は野生のそれより寿命が短いこともよく知られています。

ヒトにおいても職業階層と自己決定権は相関関係にあり、自己決定権が低いほど階層にいるほど心臓病で死亡するリスクが3倍高いと言われています。
会社の利益責任を負う大きなストレスよりも、仕事上の裁量が度合いが低ければ低いほど、勤務時間中の血圧は高くなるのです。

さらに選択における自己決定権は幸福感とも相関関係にあるとされています。自分の人生を自分でコントロールすることができるという強い信念を持つ人ほど幸福度が高く、自分の人生に対する自己決定権は本能的に必要とされる欲求なのです。

良い「選択」とは

良い選択とは、自分が後悔しない「選択」をすることだと思います。では逆説的に「後悔する選択」とは何でしょうか?

もし、あの時、あっちを選んでいたら? 
私世代の方は知っている方もいると思いますが、以前、世にも奇妙な物語のオムニバスのような「if もしも」というテレビドラマがありました。

このドラマは選択によりどのように未来が変わるかを選択の道筋に沿って観せてくれ、視聴者は選択しなかった方の未来も観ることができます。

しかし、現実にはドラマのように選択しなかった方の未来を見ることは出来ません。
つまり、選んだ未来と選ばなかった未来の比較は出来ないので「もしもあの時ああしていれば」はという後悔は想像の産物でしかありません。

だから選択には自分の意思が必要であり、目の前にある「今」を大事にすることが大切なんだと思います。

直感を鍛える

「自分の意思による選択」は直感の働きも重要となります。直感は大脳基底核から生まれます。 

大脳基底核は無意識に自動的に計算するコンピューターのような存在です。
つまり「なんとなくそっち」というのは無意識のようで、過去の経験や知識、記憶を基にものすごい計算を無意識にした結果(パターン認識)と言われています。

そして直感は反復練習によって精度を高めていくができるため、多くの選択経験から失敗も成功もきちんとフィードバックしていくことで、無意識のうちに直感は鍛えられているのです。

また、「選択の科学」の著者シイナ・アイエンガーは直感を「情報と経験に基づいた直感」と言い、それには知識も重要であると言っています。

つまり直感による選択は自身の経験と知識に基づいた「自分らしい選択」をもたらしてくれ、それは自分にとって「良い選択」を導いてくれるものとなります。

これまで主観的な「良い選択」について述べてきましたが、最後に客観的に見た良い選択について、ジェリー・ミンチントンの著書「うまくいっている人の考え方」から引用したいと思います。

良い選択とは

①気分がよくなる
②他の人が変わる必要がない
③自分の幸せが優先されている
④他の人が責任をとる必要がない
⑤自分を含めても誰も被害を受けない

ものであると述べられています。
自分の選択によって、影響を受ける人達は少なからずいると思います。
そうした人たちにとっても「良い選択」となるように40歳の「選択」は少し配慮できればと思います。

まとめ

選択は情熱や感情よりも合理性を優先する方がリスクは少ない。

選択できること自体は幸せなことである。

選択は主観的には自分らしい選択をすることが後悔の少ない、幸せな選択である。

ときには直感も大事である。

直感は自身の情報に基づいており、経験や知識を蓄え、自分らしさを形成していくことが直感を鍛えることにもなる。

選択は廻りの迷惑も考慮することが大事だが自分の幸せを優先することも大事である。

私達が「選択」と呼んでいるものは、自分自身や自分の置かれた環境を、自分の力で変える能力である
シーナ・アイエンガー「選択の科学」より

良い「選択」で良き人生を。

最後までお読みいただきありがとうございました。

「選択」の参考になる図書
シーナ・アイエンガー著 「選択の科学」

ジェリー・ミンチントン著「うまくいっている人の考え方」


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