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細麺皿うどんを食べると何故かいつも頭痛がする男が太麺皿うどんの魅力をただ語るだけの話

皿うどん。
それは魅惑の食べ物。
トロッとした餡が麺に絡み、シャキッと炒めたキャベツやもやしや玉ねぎが食感のアクセントを加える。豚バラやエビ、コーンといった具材もいい仕事をしている。
幾つもの食感のアクセント、様々な具と餡と麺のハーモニー。
お皿の上の、内山田洋とクールファイブやあ~
長崎は今日も雨だった。
冗談はさておき、私は皿うどんがこの世の麺類の中で一番好きだ。

ただし、太麺に限る。


小さい頃から細麺(油で揚げてあるパリパリ麺)の皿うどんを食べると何故か頭が痛くなるという奇病に悩まされていた私にとって、皿うどんは嫌いではないが嫌な食べ物だった。
まずあのパリパリ麺が嫌だった。
私としてはスナック菓子感覚でパリパリ食べてしまいたいのだが、それだと餡が余ってしまう。
更にパリパリ麺自体は味がついていないので食べてる最中に飽きてしまう。
かと言って餡に浸して食べたら食べたで、パリパリ感の無くなったクタっとした麺はどこか頼りなく見える。
餡の中に取り残された短い奴を見ると何だか空しい気分になる。掬い取って食べようにも摘まみにくい。テンションダダ下がりである。

そして食べ終わった後に何故かいつも頭痛がする。


世界のどこかには私と同じようにパリパリ皿うどんを食べると頭痛を起こす奇病を患っている人がいると信じている。もし出会えたら太麺皿うどんで乾杯したい。


そんな私が中3の修学旅行の最中に出会ったのが太麺皿うどんである。
小6の時は広島、中3の時は長崎という平和教育の一環なのか、荒れてる中学のヤンキー達を大人しくさせるためかどうか分からないがとにかく修学旅行先が長崎に決まった私達は二日目に自由行動の時間があった。そこで班の2人と一緒に入った中華料理屋さんで初めて太麺皿うどんに出会った。

・・・やっと、会えたね。


他の2人は太麺皿うどんの他に豚角煮丼を頼む中、金欠の私(そもそもそんなにお金を持ってきてなかった)は太麺皿うどんだけ頼んだ。3人共それを頼もうという空気に流された。
ご想像願おう。

それまで会話もしたことなかった、クラスも違う2人と班を組まされ修学旅行先で一緒に取ることになる食事を。


ちょっとした拷問である。
その2人は同じ小学校出身・同じクラスで仲良しなのに私だけ異物だ。何故こんな事になったのかというと、修学旅行の班分けは自由行動で行きたい所で分けられたので、マイナーな場所を選んだ3人が固められたという訳である。決して私がぼっちだったという訳ではない。いやぼっちだったな。ぼっちだったか。
何の因果か私はこういうシチュエーションに巻き込まれやすくおかげで見ず知らずの人や、周りが全員女子というシチュエーションでも臆しないようになった。メンタルはパリパリの皿うどん並に強い。時間が経つとクタっとなるが。
まあそんなこんなで注文した太麺皿うどんが到着。
2人には角煮丼も到着。そうか、これが格差社会か…
皿うどんを食べると頭痛になる病という奇特な病を患っていた私にとって、この時点での皿うどんは逆頭痛薬である。「太麺? どうせまた食べたら頭痛になるんでしょ?」という気分だ。何が悲しくて頭痛になると分かっていて食べなければならないのだ。
そんなネガティブな気持ちで太麺皿うどんを一口すすった私は、目をクワっと見開いた。

・・・めっちゃうまいやん。


太めのちゃんぽん麺に具と餡がしっかり絡みONE TEAMになっている。
これと比べたら細麺皿うどんなんてFA選手ばかり集めたバラバラの金持ち球団だ。どことは言わないが。
私は初めて食べた太麺皿うどんの味の虜になった。
餡をしっかりと纏ったちゃんぽん麺は、炒めてあるため香ばしくいくらでも食べられる。
キャベツやもやしなどの野菜はシャキシャキと、豚バラやかまぼこは柔らかく食感にアクセントを加える。
色とりどりの様々な具材が味に変化をつけ、色々な味を楽しめる。
もう頭痛になってもいい。私は無我夢中で太麺皿うどんを食べた。
そして食べ終わった後、ある事に気が付いた。

・・・あれ? 頭が痛くない。


「皿うどんを食べると頭痛になる病」は太麺皿うどんでは発症しないようである。
そんなもので病院に行ったら病院に行くよう勧められるという珍回答が返って来た事があるので行くのはおススメしない。
素晴らしい、素晴らしすぎるぞ太麺皿うどん!
美味しい上に食べた後に頭が痛くならないなんて、何て素晴らしい食べ物なんだ!
以来私は、太麺皿うどんの大ファンである。
リ○ガーハットでも必ず太麺の皿うどんを頼む。
忙しくない時間帯であれば余裕があるので太麺にしっかり焼き目がついた最高の太麺皿うどんが出て来るので是非食べてもらいたい。

ああ、太麺皿うどん。
これを書いている今も食べたくなった。
そして世界のどこかにきっといる「パリパリ麺の皿うどんを食べると何故か頭が痛くなる病」の同士よ。
いつかどこかで出会えたら太麺皿うどんで乾杯しよう。
「ルネッサーンス!」と高らかに声を上げながら。

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