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「ひきこもったままでもいい。息子の人生は息子に任せる」と決めた私に訪れた出来事

 不登校・ひきこもりの息子を持つ後藤誠子さん。親子ともにさまざまな苦しみを経た末に、「たとえ一生ひきこもっていても、それが息子の選んだことなら、それでいい」とまで思えた後藤さん。そう思えたきっかけはなんだったのでしょうか。(連載「不登校は幸せへの道」第27回)※写真は後藤誠子さん

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 次男が多機能型事業所へ通い始めたころ、私も新しいことを始めた。居場所をつくったのだ。次男が元気になってきたのだから、家や事業所のほかに、もっといろいろなの人たちと関われるような居場所があれば社会に出るきっかけになるのではないか。そんな欲が湧いてきたのだ。次男が行ける居場所がほしい。ないなら私がつくってしまおう。そうして始めたのが、月に1度の居場所「ワラタネスクエア」だ。

 ワラタネスクエアには予定もプログラムもない。何をしてもしなくても、ただそこにいるだけでいい居場所だ。年齢や立場もいっさい制限しない。もしかしたら誰も来ないかもしれない。それでもいい、と思っていたのに、当日は10人を超える人がやってきた。しかもみんな口々に「こんな場所がほしかった、ありがとう」と感謝してくれる。ただ雑談をするだけの居場所なのに、どうしてこんなに人が来るんだろう。

 じつはワラタネスクエアを始めて1年以上、次男はまったく寄りつかなかった。

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