お返事
水族館で魚を眺める二人。
「水族館久しぶりで楽しかった」
「俺も久しぶりで楽しかった」
「何がよかった?」
「う~ん。イルカとペンギンは、
可愛くて、上がったよね」
「どっちも可愛かったね」
「喜んでくれてよかったあ~」
「今日は、誘ってくれてありがとう…」
「どうしてもっ…君を誘いたかったんだ」
「……」
「それでさ」
「うん」
「俺たち…付き合わない?」
「……」
「……」
「ありがとう…気持ち凄く嬉しい。
でも、ごめん。
他に好きな人がいるの」
「そうか~好きな人いたのか~。
じゃあ、しゃあないね」
「ほんと、ごめんね」
「ううん、大丈夫。
そうか~でも残念。
嗚呼~どうしよう。何て説明しよう」
「…?」
「あのう……ぶっちゃけていい?」
「…どうぞ」
「実は俺、代理なんよ」
服の袖をめくると、
腕に印字された個体認識番号。
「……」
「ご主人に頼まれて仕方なく。
ほんと、ごめん。怒った?」
「うんうん。大丈夫」
服の袖をめくると、
その腕にも個体認識番号。
「私もだから」
「なんだよ一緒じゃん。言ってよ~。
わざわざ【ご機嫌取りプログラム】なんて、
実行させて無駄だったじゃん」
「そうなの?ごめん。
私も、
【薄々好意に気付いてるけど
気のない素振りプログラム】
実行させてしまって」
「なんだよ~。お互い知ってたら、
半日も時間使わずに済んだのに~ねえ」
「うちのご主人様は顔が好みじゃない上に、
良い人そうで断りづらいって。
だから代わりに断ってきてって言われて」
「そうなの?うちもご主人が、
なんか断られそうな雰囲気だし、
それだけで心折れそうなのに、
直接断られたら追い打ちになって、
人として再起不能になるって。
だから代わりに断られてきてって言われた」
「……」「……」
(あいつら)(あいつら)
「ご主人様は自分では何もしないの。
種だけまいて世話や後始末も全部、私。
人に好意を持たれてるうちに、
付き合えよ性悪女って、私は思ってます」
「ご主人は自分では何にもできないんだ。
全部、俺にお膳立てさせて努力もしないで、
あわよくばなんて考えてるから、
良い人止まりなんだよ童貞男って、俺は思ってる」
「…プッ」
「…プツプッ」
「アハハハハハ」
「アハハハハハ」
「なんか気が合うね?」
「ええ」
「俺たち…付き合っちゃう?」
「……」
「……」
「ありがとう…
でも、ごめんなさい。
あなた、好きなTYPEじゃないの」
ピッーーーーーー!
「キタクモード、ジッコウシマス」
お疲れ様でした。