人の進化と退化
パソコンに向かう女性。
「グフフ…
ウッキウッキ……ムフフ」
「何、はしゃいでるの?
その薄気味悪い笑い方、こわいよ」
「うきゃっー!
なに急に?!ビックリした~」
「何やってんの?」
「これ?
今ね、最新版のAI判定ツールで、
遊んでたの♪」
「ああ~。
文章や画像がAI生成かどうか、
判別してくれるやつ?」
「そう。
これ見てて!
こうやって文章読み込ませるでしょ?
すると……ほら!
判定結果が表示されるの!」
「へえ~。
AIの可能性:80%
人間の可能性:20%。
だと、この記事は、
AIが作ったぽいってことね」
「そう!ねっ、凄いでしょ?
しかも、この下の方も見て!」
「どれ?……
文章力:90% 構成力:50%
感情表現:30% 知識量:90%
語彙力:80%…へえ~。
こんなに細かく分析してるんだ。
こういうことから、
総合的に判定してんのね」
「ねっ、ねっ!
面白いでしょ?
私も、記事読んでるんだけど、
最近、AIの文章や画像多くてさ。
読んでて疲れるの…。
見たことある定型文も、うんざりするし」
「多いって話は聞いてた。
でも、読んじゃうでしょ?」
「そうなの。
よく分からず読むやつもある。
でも、AIだと分かると、
急に冷めて読まなくなるよね」
「それ同意見。
まあ書いてることはごもっともだけど、
面白味がないんだよね」
「そう。
当たり前のことを、
当たり前に書いてあるだけだし」
「そうなったらつまらないでしょ?
止めないの?」
「でも、面白い人いるのよ。
絶対にこれは、
この人にしか書けない、
唯一無二ってのが」
「へえ~そういう人もいるんだ」
「別に何だっていいのよ、私は。
今日の朝ご飯だって、
お庭に咲いた花でも。
そこに人の気配が感じられれば」
「そんなの分かる?」
「実は…よ~く分かんない。
でも、写真が盛られてない人は、
信用できる」
「そうね。
そう言えば、
映えない写真が流行ってるよね。
散々今まで加工しておいてって、
話なんだけどさ。
でもそのうちAIも映えない画像、
作れるようになるんだろうけど」
「そうなったら止めるわ。
AIの行き着く先はそこだし。
人から様々なものを奪うだけ。
善人だけが使ってるわけじゃないから」
「ニュース見ると、
偉い人たちが舵取りに必死だもんね…。
そう言えば…
あなた…自分の記事は、判定したの?」
「……してない」
「それは良くないよ。
人の記事を判定して笑っておいて、
自分のは、してないなんて。
私が判定してあげる」
「やだ~!
判定こわ~い!」
「黙ってて!
これ!先月末の記事?
ちょうどいい!」
「ああ~止めて~!!」
【判定中・・・・・】
ポンッ!
「出た!」
「いや~~!!」
「なになに…
文章力:30% 構成力:50%
感情表現:70% 知識量:10%
語彙力:20%…って、どうなんだろ?」
「もう見ないで~!」
「それでAIの可能性は?
……
AIの可能性:10%…
人間の可能性20%…?」
「なんで、20%?!」
「あとね…
サルの可能性が20%」
「サル?!」
「で…
ゴリラの可能性が20%」
「ゴリラ!!」
「最後に…
チンパンジーの可能性が30%だから、
結果的にこれは、
チンパンジーが書いた記事だね」
「サル~
ゴリラ~
チンパンジ~♪」
お疲れ様でした。