君の好きなとこ
動物園。
デート中の二人。
「可愛いね~」
「ほんと」
「あの抱っこされてる、赤ちゃん!
見て見て!
ちっちゃくて、可愛い~!」
「ほんとだね」
「ねえ?
レンくん…。
ほんとに、そう思ってる?」
「お、思ってるよ。
どうしたの、急に」
「レンくんってさ、
あんまり、ほめないよね?」
「そ、そんなことないよ!」
「じゃあ、私は?」
「そ、そりゃあ…
か、か、可愛いよ…」
「何か…あやしい。
すっと出てこないし」
「そんなことないって!
急に言われたから、
ちょっと戸惑っただけで…」
「それに今の言い方、
取って付けたみたいに言わなかった?」
「それは誤解だよ!
落ち着けばちゃんと、
レイナの良いところ、
たくさん言えるよ!」
「じゃあ、言ってみて…。
ただ可愛いとかダメね」
「だ、大丈夫!
まずね……」
「ちょっと待って!
せっかく動物園に来たんだし、
私の良いところを動物に例えて、
言ってみて」
「それハードル高くない?!」
「言えないの?」
「い、言えるよ…
ちょっと考えさせて…
まとめるから……
……………
……よし!行くよ!
じゃあ、まず…
顔がコアラみたいに可愛い!」
「ふんふん」
「笑顔が縁側の猫みたいで和む!」
「ふんふん」
「泣き顔がクシャクシャで、
お猿さんみたいで可愛い!」
「ふんふ…ん?」
「怒ると目が真っ赤になって、
ウサギみたいで可愛い!」
「んん?」
「お菓子を必ず両手で持って、
リスみたいにかじるのが可愛い!」
「ふんふん…ん~?!」
「出かける時に、
必ず床に荷物が落ちてるのが、
トカゲみたいで可愛い!」
「んん~?!」
「歩く歩幅が小さくて、
ペンギンみたいで抱きしめたくなる!」
「ふんふん」
「手足も首もスラーっとしてて、
キリンみたいでとっても素敵!」
「ふんふん」
「これぐらいでどう?」
「まあ途中、変なのもあったけど…
うれしい!」
「良かったあ~。
じゃあさ、今度は、
僕のこともほめて!」
「え~レンくん?
…いいよ」
「やったー!」
「え~とね…
ん~と…
それでね……
…………
…そうだ!
…………
おならがスカンク!」
「ほめてない!!」
「じゃあ、カメムシ!!」
「もう動物でもない!!」
「じゃあ、わかんな~い」
「かわいい~♪」