シェア
ふたしき
2021年11月15日 21:32
「それにしても、随分と遅い到着じゃないか。ウーフィ」 燭台公は腰に手をあて、宿題を忘れた生徒を咎める教師のように狼を見下す。骸骨少年は恐る恐る、目の前の燭台頭に声をかけた。「あの、あなたが燭台公ですか? ぼく、風船みたいな女の人にあなたに会うように言われて。ぼく、道に——」 「なんだって? 君が少年を連れてきたわけじゃないのか」「道に迷ったんです。ここに来れば……貴方に会えばどうすればいい
2021年10月31日 22:28
幼き骸骨少年は物憂げにため息をついた。 身にまとうのは布切れひとつ。頭上に広がる曇り空のように、煤けたボロ切れただひとつ。 今はひとり、沼のほとり。切り株に腰掛けている。 沼を満たすのは錆色の泥水。聞こえるのは、ときおり水面に浮き出た空気がたてる、ぼこぼこという音だけ。沼をぐるりと取り囲む立ち枯れた木々も今は、耳を澄まし、口をつぐんでいる。 骸骨少年が沼にたどり着いてから、すでに一昼夜が