シェア
ふたしき
2023年8月6日 22:51
それは風に乗る蒲公英の綿毛のように、ふわりふわりと舞い降りて、無色の世界に私を宿した。 目の前を覆っていた霧が形や色を成して、遥か遠い現世を模る。 気がつけば私は、草原に膝をついた状態で前方をぼんやりと見ていた。 柔らかな草が腿をなでる。くすぐったい。立ちあがりながら自分の体を見やると、なにも身に着けていないことがわかった。 深呼吸をする。青い匂い。風が最後の仕上げとばかりに、生まれた