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怪談

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これが何になるかより、ただアウトプットしたくて始めた実話怪談。
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2022年5月の記事一覧

怪談17  石

怪談17 石

石が好きだ。世の中には色々な石との付き合い方があるけれど、地中から出た神秘の雫として鉱物が好きな人間として、あまり危険なものを除けるために使いたくはない。

けれど、時には起こることから守ってくれるチカラがあるもの…それもまた、真実だと思っている。

ある日のこと。その日は山の怪について調べていました。間で怪談を聞きつつ、日本の山々で起こる奇妙な出来事や事件に思いを馳せるなか

ふと、日本各地にい

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怪談14  死霊と子ダヌキ

怪談14 死霊と子ダヌキ

死霊に生霊、呪いにモノノケ。

怪談と言っても、色んなものに因んだ話があります。

私には、死霊の顔は見えません。生霊は、頭の中で感じたものがホログラムのような色で見えます。やたら神経が立ったような夜に、瞼を閉じて変な人形の顔が浮かんでは消えてを繰り返すようなときは、呪いの類だと思っていて。モノノケは…今のところ肉眼で遭遇したことはありません。

ただ一度、夜中に目が覚めたと思ったら、白黒の写真の

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怪談13 囲炉裏

怪談13 囲炉裏

その日は、知人に誘われて、あるアート系のイベントに参加していました。

ほんの少し山を登ったところ。いわゆる自然派嗜好の人たちの集まりで、大きな会場で火を焚き、最後にとある民族の儀式を模して、神に祈りを捧げるというものでした。

イベントと言っても、その地域の人や身内の人の手伝いも多く、やることもなかった私は、ただプラプラと参加者との会話を楽しみました。

そして、そろそろ陽が傾きだすかなという頃

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怪談12  海

怪談12 海

ある日の夕暮れ。友人と浜辺を歩いていました。

落ちている流木を拾ったり。鳥の羽を探したり。

少しずつ暗くなる浜辺で、のんびりと話をしながら過ごしていました。

夕日が段々と沈み、海の向こうに落ちていく。そして、プツッと小さな陽が姿を消した瞬間、海の向こうから何かがやってくるのを感じ始めます。

姿は見えません。波の音だけが当たりを包んでいます。しかし、真っ暗になりきる海の向こうから波の上を進み

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怪談11  島

怪談11 島

山を登っていました。

それは、徒歩30分ほどで登れる小さな山で、石英や長石の塊を探しながらシダ茂る道を歩いていました。

途中までは何とか普通に登れるものの、山頂付近になると途端に道はなくなり、張られたロープだけを頼りに落ち葉の滑る道をなんとか進むようなところでした。

山頂に着くと、そこには古いお城の跡と、小さなお社があります。手を合わせてふと横に目をやると、そこからは海と、海岸に続く茂った森

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怪談10  人神

怪談10 人神

優秀な行いをした人物を祀るため、または、怨みより祟りをなす人物を鎮めるため、神として信仰するようになったもの。これを人神(ひとがみ)と言う。

昔々、まだ20代だったころ。一人の女性がおりました。溌剌とした、私より一回りほど年上の方でした。

もともと不思議なものが好きな方で、初めはいろいろな神社を巡りながら御朱印を集めるのが趣味というほどの穏やかなものでしたが、ある時期を境に言動がおかしくなって

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怪談09  女子高生

怪談09 女子高生

ある日の夕方。

妊娠していた私は眠気に耐えられず、昼寝をしていました。主人が帰ってくる時間が近づき、そろそろ夕飯を作らなければと起きあがろうとしたときのこと。

ふとベッド横のドアに目をやると、一人の女の子が立っていました。

薄暗い部屋の中に、特徴的なリボンをした、ブレザー姿の女子高生。陰っているような、心ばかり透けたような色合いで、顔は見えない。

それまでも、気配を感じたり、頭の中の映像を

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怪談08  かんの虫

怪談08 かんの虫

昔々、まだテレビがブラウン管だった頃、樋屋奇応丸のCMが流れていた。

赤ちゃんの夜泣きや「かん=疳の虫」を穏やかにする玉薬だそうで、ひやひやっひやのひやーきおうがん♪というキャッチーなメロディーと共に紹介されていたのを今でも覚えている。

時が経ち、私が二十歳を超えたときだった。

若い親戚の女性と、そもそもあの疳の虫ってなんのことやろね?という話になった。なまじオカルト好きだった私は、中国の三

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