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漫画の作話について語りたい〜構成について〜

「脚本術」「ストーリー術」とか書いてある本はつい買ってしまう。
有名どころは一通り読んだ…はず。
そんな技法書オタクな私だが、圧倒的にアウトプットが足りない。
作品数もこなせていないし、読んでわかった気になりがちだ。
なので、せめて文章の形でアウトプットして学びの理解を深めたい。
今回は『構成』について。
ただのアマチュアの技法書オタクの語りですが、何かのお役に立てれば。

そもそも構成とは?

色々技法書を読みましたが、構成は割と定義が同じ気がします。
ざっくり言うと、

「物語を読みやすく整理する」

…ということかなぁと。
浮かんだアイデアやらエピソードやらシーンやら…
それらをそのまま書きなぐっても、よく分からないものになりがちです。
実体験として、そういったものは持ち込みで「わからない」と言われたり、意図通りに話が伝わらなかったりしました。

なので、自分の構想を他人にも伝わるように分かりやすく整理する。
それが「構成」という作業かと。
他にも定義あるかと思いますが、今回はこれで進めますね。

そして、この上で必要になるのが「型」というやつです。
脳内にある不定形のイマジネーションを型にはめて形にする感じです。
少し話が逸れますが、「8つ勉」という絵のセミナーで、

クリエイティブは無限に拡大していく
ルールは絞ることで形づいていく
ルールによりクリエイティブが形づいていく

ということを教わりました。
この場合は絵なので、ルールとはパースやデッサンのことを指します。

ストーリーも同じことが言えます。
そしてそのストーリーにおけるルールが「型」です。

型の種類と得意分野

ストーリーの型…俗に言う起承転結のようなものなのですが、これがまあ沢山あります。どれを使えばいいか、というと正直ケースバイケースかと。
また型にも種類があるので、その辺も含め有名どころを解説していきます。

起承転結

一番有名なやつですね。
国語の授業で習った記憶もあります。
概要としては

起→物語の始まり
承→物語が進んでいく
転→物語が盛り上がる
結→物語の結末

という構成です。
日本では一番メジャーな型ですが、実は東アジア以外ではメジャーじゃないとか。
最近の技法書では日本でも「実は起承転結より…」みたいに別のストーリーの型を紹介することも多い気がします。

その理由として、起承転結は自由度が高いのが特徴だからということが挙げられます。
概要を見てもらうとわかる通り、起承転結って非常にざっくりしてます。
なので初めてストーリーを書く時に「起承転結に当てはめて…」と言われても「こんなざっくりじゃわからん!」となるのかなぁと。
実際、導入のどこまでが起なのか、クライマックスは転なのか結なのか…など曖昧なことも多いです。
なのでストーリーの型としては、抽象的過ぎるのは確かです。

しかし、その抽象的である、というのは起承転結のメリットでもあります。
どういうことかというと、アイデアが具体的な際に当てはめやすいんですね。
ストーリーの型は、特定のアイデアには向かないものもあります。
けど、起承転結は大まかな型なのでどのアイデアでも大体当てはめられる。
ショートの漫画になったりすると、これくらい大まかな型でないとアイデアを当てはめることすら困難だったりします。

また色々な技法の前提知識だったりもします。
応用も多い型なので、色々学ぶと面白いです。

三幕構成

ハリウッドで一番メジャーな型ですね。
最近はこちらを教える技法書も多いイメージです。
概要としては

1幕→問題のある日常
プロットポイント1→非日常に入る
2幕前半→非日常でもがき徐々に成功へ
ミッドポイント→転換点
2幕後半→成功から一転、ピンチになっていく
プロットポイント2→再び立ち上がる
3幕→クライマックスからの問題の解決した日常

…といった認識です。私は。
(三幕構成はハリウッドでメジャーな型なので応用や色んな説明がありますので…)
三幕構成のメリットはズバリ、ある程度具体的なところ。
この型にはめると緩急のちゃんとついた構成になります。
長めでドラマのしっかりある話を作る時にとても有用な型です。

反面、短いストーリーには不向きな印象です。
短いストーリーだと「真ん中で盛り上がる」「オチがある」くらいしか書けないので。
特に漫画で短いものは本当に書ける量が少ないです。
そういう場合に無理にこれに当てはめるのは難しいです。

これの応用で「ヒーローズジャーニーのステージ」というものもありますが、こちらは更に具体的です。
こちらも長い場合には有用ですが、短いものには向きません。

「SAVE THE CAT」のストーリージャンル

「型には種類がある」と言いましたが、ここからはジャンルの型について。
というのも、ストーリーの型はだいたい今の2つの応用です。
そしてジャンルの型は大体これの応用です。
概要…というか、これがなんなのかの説明をさせて頂くと、

「全てのストーリーが大体分類できる10のグルーピング」

…です。
これに関しては詳細がとても長くなるので、元となる「SAVE THE CATの法則」を読んで頂きたいのですが、そもそもジャンルの型ってどういうものか説明させてください。
ジャンルの型というのは「そのジャンルのお約束」のことです。
こういう話だったら、こういうところが書かれてないと面白くないよね、というものです。
これはSAVE THE CATに書いてあるものに限らずあると思います。
なので、そのジャンルを書く上で外せないポイントを踏まえる。
そのために類似作品のインプットをする。そういったことをするのが「ジャンルの型を守る」ということかなぁと。
なので、これは自分で類似作品を分析することでもわかる型かと思います。
ちなみに「SAVE THE CATの法則」には三幕構成の応用のストーリーの型も載ってますが今回は割愛。

はじめてのおつかい

最後に個人的に一番大事だと思っている型を。
型…というよりこれは全ての大前提かと思います。

これは、さそうあきら先生の書いた「マンガ脚本概論」という本に書かれています。概要としては、

問題提起→ハードル→解決

というシンプルな型です。
本ではこの例として絵本の「はじめてのおつかい」が挙げられています。

この型は、全てのストーリーの基礎です。
どんな型を使うにしても、最初に問題が提起され、それがハードルを超えて解決する。それを忘れてはいけない。そういう型です。

この型は本の中で「物語の最小単位」と言われているのですが、まさにそうだと思います。色々わからなくなったら立ち返って欲しい原点です。

どうやって構成をしていくのか

さて、ここまで型を色々あげてきましたが、実際それをどう使うのか。
これは正直「人による」としか言いようがないのですが、それだとアレなので私の実例を。ご参考になれば幸いです。

まず、私はぼんやりアイデアを考えます。
そして「このアイデアはどこのどういったものだろう?」と考えます。

例えば、失恋した女子が友人の男子に「俺じゃダメかな?」と言われる、というシーンがアイデアとして出てきたとします。

この場合、女子が失恋した経緯や友人の男子との関係性、二人の人柄などを先に見せる必要があります。また、告白シーンで盛り上がることからも、これはクライマックスに持っていくシーンだろうと。

その後、もしくはその前にページ数を決めます。
これは賞の規定や締切までのスケジュールを元に考えます。
そしてページ数とアイデアで使えそうな型を考え、それに当てはめていきます。

このアイデアの場合は起承転結が最適かと思います。
恋愛漫画なので、サービスシーンを多く取りたいからです。
そうなると柔軟性の高い起承転結が一番良いかと。

アイデアを型に当てはめると告白シーンが転、結ばれた余韻が結でしょうか。
そして、関係性や人柄を起で書きたいところ。
そして転の少し前に主人公が失恋したのを男子が知るシーンが必要です。

こうして当てはめると「空白」ができます。
今回の場合は「承」ですね。
男子が告白することを考えると、女子を好きだと匂わせるシーン。
あとは恋愛漫画なので、男子のサービスシーン。
女子があまりに受動的にならないように、女子の見せ場も少し欲しいところ。

このあとはエピソードを練っていきます。
ここからは根気です。パズルがピタッとハマるようになるまで考えます。
ハマったら完成です。

……最後雑ですね。はい。
ただ、正直ここはもうアイデア発想の域なので…今回はこれで許してください…。

こんな感じで思いついたところを型に当てはめ、足りないところを足していくのが良いかと思います。

ちなみに、浮かんだアイデアがキャラやセリフなどシーンでなかった場合。
これはシーンになるまで考えます。
どうしてもシーンにならない場合はお題を出して、出来事を先に考え、その出来事とアイデアを組み合わせたりします。

まとめ

  • 構成はアイデアを伝えるために行うよ!

  • 型はいっぱいあるけどケースバイケースだよ!色々探そう!

  • 実際の構成はアイデアを考えて型にはめ、足りないところを足す感じでやってるよ!

…なんか凄い抽象的なまとめになってしまいましたがそういうことです!
分からなかったりしたらコメントで質問ください!また記事にします!
あと、作話で語って欲しいことがあったらコメントくださると嬉しいです!
アマチュアなりに精一杯語らせて頂きます!

参考&おすすめ書籍とか

最後に、今回参考にした本や、紹介しきれなかった色々が載っている本を紹介させて頂きます。

「はじめてのおつかい」の話が書いてある本です。
他にもストーリーの型についての詳しい解説や、キャラやテーマなど漫画の作話に関する色々なことが載っています。

ジャンルの型について詳しく書いてあります。
他にも物語の型や、物語を面白くするテクニックなども。

起承転結の説明がたぶん一番わかりやすいです。
他にもキャラクター、情景描写、アイデアの出し方など色々。児童文学とあなどることなかれです。

起承転結を使いこなしたい方はこちら。
単体でももちろん優秀ですが、色々な技法書を読んでから読むと全てを繋げてくれるような感覚があります。

エッセイの書き方の本ですが、こちらの起承転結がショート漫画にとても向いているのでオススメです。他にも文章の役割の話などは漫画でも応用が効きます。

漫画に特化した型が紹介されています。
色んな視点から漫画家として必要なことが書いてあります。

他にも色々ありますが今回はこの辺で!ではでは!

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