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お互いの街なのに

久しぶりに晴れた朝
あなたは私の住む街へ
私はあなたの住む街へ
お互いすれ違いで
職場に向かう毎日

電車の窓に映る私
冴えない自分に目を逸らす

見慣れた街並みは
前に比べてなんとなく
セピア色に感じてしまう

私たちはいつか
あの日々のように
同じ場所で
一緒に悩んだり笑ったり
できる日は来るのだろうか

職場が変わってお互いが住んでいる街で
仕事をすることになった二人
まだ完全に縁が切れたとは思えない

思いたくない

あなたの職場の近くに行く時は
つい会えることを期待してしまう

時々思う
スマホの画面のあなたの名前
この指が画面にふれることができたら
すぐにあなたの声が聞けるのに

色々な思いに瞼を閉じる

あなたに思いを告げる勇気もないし
誇れるものなんて一つもなくて
自信がなくて
ものすごく平凡な私

だから頑張っていれば
いつか幸せになれると信じてた
頑張れば自信もついて
あなたとの距離も近づいて
いつか結ばれると思っていた

でも、どうやら違うみたい

ただ笑顔が可愛くて
何も頑張っていなくても
愛されている友達が羨ましい

どうしたら、あなたへの想いが
伝わるのだろう

何もかもが分からなくなってきた

晴れた空は残酷なくらい
澄んだ青

「なんだか疲れちゃった」

涙が頬をつたった

電車のドアが開く
人の波に押されて改札を出る

今日もまた
ぎこちない一日が始まる


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