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頂き武士
2024年5月27日 22:10
恩田はなんでもない男だと、めるろは思う。とりわけうつくしい顔だちでもなければ、逞しい肉体を持ちあわせているわけでも、ない。なんでもない男だ。細くて角ばった肩は、科学博物館に展示された恐竜のレプリカに似ているし、白くて尖った耳は、なんだか夜行性の動物を思わせる。めるろちゃん、おれ、いいこと思いついちゃった。いつだって恩田は、めるろの耳に口を付けてきて、そう誘うのだった。キャンプに行くのはどうかな。
2024年5月25日 17:50
道は定められていると、あたしは思う。神様著作地球大辞典、島国の章、日本編の2024ページに収納された、ちっぽけなあたしの人生。その文章をゆっくりと読み進めていくことで、人は年老いていくんだと、あたしは思う。 だから、「あのとき、ああしていれば」という考え方を、あたしは基本的に信じない。並行世界なんて絶対にありえない。本のページは戻すことができない。もう決まりきっていることなんだ。だからナオと会
2024年5月4日 05:44
みのりがわたっちょを好きだって言ったとき、あたしはそんなに驚かなかった。だってこれまでもみのりの会話のふしぶしには、わたっちょの話題が出ていたのだもの。それに遠目で観察していても、彼女が向ける視線は特別なものに見えたから、「ああ、好きなんだなあ」って、ずっと思っていた。 正直なところ、わたっちょのどこがいいんだか、あたしにはさっぱりわからない。たしかに背は高いかもしれないけど、でも、でも、それ