世界で一番すきなもの

ママは、〇〇ちゃんが世界で一番大好きだよ。

そう息子に言うと、彼はさも当然という風に「ふぅん」と言った。

ドラッグストアに車を停め、シートベルトを外す彼の、まだふくふくとした横顔をながめていたときのことだ。

じゃあさ。

息子がやや考えて言う。

じゃあ、ママが世界で一番好きなものはなに?

息子が私を見上げる。これは、どういう意図なんだろう。

〇〇ちゃんだよ。

私がそう言うと、彼は苦笑いした。

世界で一番好きなものだよ。僕は『モノ』じゃないよ。

なるほど答えは人では駄目らしい。そうするとこれはなかなか難しい質問である。真剣に考えてみたが、パッとは浮かばない。なんだろうと悩み始めた私を見かねて息子は選択肢を与えてくれた。

じゃあさ、スマホとパソコンと本、どれ?

子供というのは、本当によく見ている。私が普段なにをして過ごしているか、なにを触っているかを見ていて、当然それらが好きなのだろうと思っているのだ。スマホが選択肢の一番初めに選ばれたことを、私は反省した。

でもそのなかだったら、答えは簡単だ。

本だよ。

ママは本が、一番大好き。

そう断言できる。


本が好き。

本は私を支えてくれるから。寄り添ってくれるから。

不安なとき、孤独なとき、道に迷ったとき。
私が人生で躓きそうになると、いつも助けてくれたのは本だった。

本が好き。

ずっとそうだったのに、つい忘れてしまうのはどうしてだろう。
だから、息子がそれを思い出させてくれて、嬉しかった。


noteでも「読書の秋2022」が開催されていますね。
はじめ告知を見たときは、推薦図書が普段手に取らない類の本ばかりだったのでピンとこなかったのですが、息子とこんなやり取りがあったこともあり、「この機会に、あたらしい本を読んでみませんか?」という文句に素直に惹かれています。
このごろは勉強したい欲も増しているので、まったく未知のジャンルも気になります。
読んでみようかなぁ。
読んだら感想も書けたらいいなぁ。
かねがね好きな作家さんや本についてもう少し書きたいなとは思っていたのでなにか形にできたらと思います。
息子にママはスマホよりも本が好きだと分かってもらえるようにしたいものです。(気を抜くとスマホ依存しがちなので)

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