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エンジニアの会社員・フリーランス・起業、それぞれのメリットとデメリット

会社員(サラリーマン)かフリーランス(個人事業主)か起業(法人化)かで悩んでいる人へ向けて、会社員を経験して起業をしたWeb系エンジニアの私が、それぞれのメリット・デメリットについて個人的に思う事をライトめに語っていきたいと思います。

就職して間もない方や、会社員でエンジニアをしている人がフリーランスや起業をする事を考えている場合に、ちょっと見てもらうと役に立つ情報があるかもしれません。

会社員のメリット

まず会社員のメリットですが、安定した給与がある事です。仮に仕事が無くても、毎月一定額の給与が保証されています。また、交通費が会社から支給されたり、住宅手当があったり、結婚や出産でお金が貰えたりと、夏季休暇や年末年始休暇や創立記念日での休暇など、会社独自が用意する福利厚生の恩恵を受ける事ができます。

更には会社員である場合、『雇用保険』に入れます。毎月天引きされているのであまり意識していない人も多いかもしれませんが、これはフリーランスや会社役員(起業した人)は、入りたくても入れない会社員のための保険です。これに入っている事により、失業しても「失業手当」が貰えたり、病気になって働けなくなったら「傷病手当」で給与額の3分の2が貰えたりします。また、女性の場合には出産すると育児休暇を取得する事ができますが、このときの休業中に給与の3分の2(一定期間後は2分の1)が育児手当として支給されますが、これも雇用保険から出ています。

その他にも、住民税の納付も会社がしてくれますし、会社員以外の所得が20万円以内なら会社が年末調整してくれるので確定申告も不要です。更には、老後のための貯蓄として退職金制度を設けている会社もあります。もしくは確定拠出年金として、給与天引きで老後の貯蓄をすることを会社が支援してくれたりします。

また、労働者は労働基準法という法律により、かなりのメリットがあります。簡単には解雇される事はありませんし、有給休暇を貰う事もできます。半年勤務で10日間、6年半勤める事で毎年最大20日間の有給休暇が貰えます。月給40万円、日給2万円と仮定すると、20日間の有給休暇は40万円相当です。30年間この恩恵を受けたら1200万円相当です。かなり大きいですよね。

他にも大手企業に勤めている場合には、住宅ローンの審査が通りやすいなどもあります。住宅ローンの金利が最安クラスのところを取りたいのなら、大手企業に勤めているかも重要な要素になります。私自身も経験しましたが、フリーランスや会社役員は住宅ローンは本当に厳しいです。3期連続黒字で同年代よりも高い年収があって妻と連名で、6社中1社だけ住宅ローンが取れた(金利は高い)って感じでした。

このように会社員には「安定した給与がある」事以外にも様々なメリットがあります。

会社員のデメリット

ここまでちょっと考えただけでもかなり会社員のメリットが出てきましたが、逆にデメリットは無いのでしょうか?

デメリットは、会社の内容に依存してきます。優良企業であればほとんど無いと思いますが、それ以外ではデメリットが出てくるという感じです。有給申請しても取れないとかそういうブラック企業は除いて、法令遵守している企業を前提に話をします。

まずは給与の決定が不透明という点です。能力の高い人がバリバリ働いてウン千万の利益を出したとしても、せいぜいボーナスが他の人より100万円多い程度が良いところではないでしょうか?どれだけ頑張っても、給与額として反映されるかはその企業の体質によりますし、ほとんどが大幅なインセンティブ支給はしないはずです。社員数が多く創業から長い年月を経ている企業ほど、高い利益を出しても給与には反映されづらく、ある程度の年功序列な部分があります。逆に言えば、そこそこの成績でも長く勤めれば基本給が上がるというメリットでもあります。

昇格・役職についても不透明な部分があります。誰がどう見ても圧倒的なパフォーマンスを出す超人を除き、基本的には横と比較されて『上のポジションが空いたら役職がつく』という流れです。いきなり下の人が先輩を飛び越して行くと、先輩(別に能力が低いわけではない)のやる気は落ちてしまいますからね。大企業であればあるほど無理して特定の人をジャンプアップさせる必要はないので、上の人が辞める待ちになりがちです。ただこれは、逆に言えば上の人が辞めたら、(消去法で選ばれたとしても)自分が上がれる可能性があるということなので、能力がそこまで高くない人にもチャンスがあるとも言えます。

生涯年収の上限が決まっている事もデメリットかもしれません。生涯年収3億円いけば良い方なのではないでしょうか?5億とか10億とかを会社員で達成するのは起業で成功するよりも遥かに難しいと思います。生涯年収がある程度1.5億〜3億くらいのレンジと決まっているので、自ずと選択できる人生に制限がかかってきます。海外に何十カ国行ったり、タワーマンションの最上階に住んだり、高級車に乗ったり、都心に庭付きの一軒家を建てたり、そういった夢のような生活は難しいと思います。想像できる人生を送る可能性が高いというのは会社員のデメリットかもしれません。

フリーランスのメリット

では、フリーランスはどうでしょうか?ここではエンジニアが会社員からフリーランスになって客先常駐(SES)で活躍する場合を考えます。

経験年数が5年ほどあれば、フリーランスとして客先常駐することで月収80万円くらいは簡単に得ることができます。会社員だったら給与が40万〜50万円くらいだと思うので、月額30万円、年間360万円アップになります。

また、自身が携わる案件の決定権は自分にあるので、100%自分で選ぶ事ができます。自身が欲しいと思うスキルセットを、お金を貰いながら身につける事ができるのは大きなメリットです。

フリーランスのデメリット

フリーランスの場合には結構な頻度で待機期間が発生します。案件の契約期間はほぼ全てが3ヶ月か6ヶ月単位の更新型の契約です。長い案件だと更新が続いて5年とかになるケースがありますが、半年〜3年で終わるケースが9割くらいです。案件継続率は、その人の能力の高さに依存するケースが多く、能力が高い人はプロジェクトが終わっても同現場の他プロジェクトにアサインする事が多いです。

案件が終わった直後に続けて次の案件が始まるには、案件対応中の業務後に次の案件の面談を受けるなどの動きが必要になってきますが、これがなかなか難しい。平日の20時からしか面談できないとなると、受け入れ先の企業が残業になってしまうので、基本的には現場を休んで9時〜18時の時間帯で面談を受けるという動きが必要になります。また、入っていた案件が終わった後に動いてオッケーが出ても、契約周りや現場の準備等で入れるのは1,2週間後になることが多いです。つまり、半月(40万円)は売上減になる事が結構あります。また、案件がオッケー出たのに急に直前に流れる事もあります。契約書を締結するまでは油断できません。

フリーランスの案件受注の営業は、大抵は別の会社へ依頼することになると思います。そして、大抵はその企業に直接所属するエンジニアがいたりします。営業会社が「自社のエンジニア」か「外部のフリーランス」のどちらを優先して案件に参画させるのか、それは自社のエンジニアです。なぜなら、自社のエンジニアは待機すればするほど会社の損失だからです。外部のエンジニアは決めれば利益になりますが、決まらなくても損失ゼロだからです。

また、フリーランスの場合には対応が必要な事務作業も出てきます。営業会社や現場との基本契約書、個別契約書、秘密保持契約書などのリーガルチェックや捺印も必要です。また、フリーランスの場合にはリーガルチェックで反論できないケースが大半なので、不利な契約条件になるケースが多いです。営業会社はフリーランスを営業しなくても損失ゼロなので強気に出てこれるのです。書類ごととして、確定申告も自分でやる必要があります。売上と交通費等の経費も自分で記帳して確定申告するか、税理士に報酬を支払って依頼する必要があります。

また、会計面においてもフリーランスは法人よりも不利です。よく言われる1000万円を超えたら法人の方が節税できるというのもあります。銀行や日本政策金融公庫などからの融資を得るのも難しいです。赤字の繰越もフリーランス3年、法人10年だったと思います。フリーランスだと人を雇うのもやりにくいです。

この辺がデメリットでしょうか。ちなみに、フリーランスで受託(請負)開発はおすすめしません。低単価かつ待機率が高くなりやすいからです。案件受注の営業が課題で、継続して案件を取り続ける事が難しいです。

起業のメリット

法人格として動けるだけで、諸手続きがフリーランスよりも動きやすいです。プレスリリース打つにも個人事業主では入力フォーマットが合わないなどよくあります。税制面でもメリットが多いです。それ以外は、SESをする分にはフリーランスとメリットと同じような感じです。

起業のメリットは、最悪の場合でも自己破産しなくても良い場合がある点です。法人を倒産するだけで個人の資産は守られます。しかし、破産となる場合はほとんどが数千万円の融資をしたときだと思います。この融資をするためには、日本政策金融公庫でも代表が連帯保証人にならないと難しいケースが多いので、結局は会社がダメになったら代表も自己破産する事になる場合が多いと思います。

株式会社の場合の最大のメリットは、資金調達のしやすさだと思います。優先株式の発行、資本提携、上場など個人事業主では取れない数々の資金調達が可能です。上場を視野に入れた場合、ストックオプションにより従業員にリターンを提供することで優秀な人財確保の手段とすることもできます。大きな資金があればより大きな事業ができますし、時間をお金で買う事もできます。あくまで起業は選択肢です。自分の成したいもののための手段としてあるだけなので、起業を考えている人は起業がゴールとなってしまっていないか一度考えてみましょう。

起業のデメリット

デメリットは諸手続きが増える事です。会社役員となるので株主総会で期首に報酬額を決めて、報酬額は1年間変更できなかったりというのもデメリットです。株主総会の議事録の保管義務もあります。報酬額が変わったら月額変更届を提出する必要もあります。年末調整や確定申告も自分でやる必要があります。社会保険の加入手続き等も自分でやる必要があります。こうした諸手続きがちょくちょく出てきます。

簡単な会計の記帳は少し勘定科目を勉強すれば誰でも入力が可能です。簿記3級レベルの私で全然問題無くできるレベルです。しかし、決算は自分でやるのはかなり厳しいです。私はクラウド会計ソフトを使っていますが、20〜40時間くらいかければ自分でもできる気がしましたが、コスパが悪いので自分でやるのは諦めて税理士へ依頼しました。年間で20万円前後を税理士に払って会計・決算してもらう事になります。

それと、法人だと法人住民税などがかかってきます。決算も含め、だいたい株式会社を1年間維持するためには50万円程度の費用がかかると考えてもらえれば良いかと思います。

また、フリーランスも同じですが、雇用保険が無いのでなにかあった時にお金に困る可能性が高いです。病気や怪我で入院したら、その間の収入は完全にゼロになります。請負開発をしていたら、契約的には損害賠償を負う可能性も出てきます。女性の方は妊娠しても産前休暇・育児休暇の間に貰える給付金が無いので、無収入で子育てをする事になります。現実的には出産後1ヶ月で職場復帰する役員の女性もいるようですが、実際には我が子の育児を1年くらいしたいという人が多いと思います。女性の役員に関しては全く守られておらず、現行の法律が著しく時代錯誤であり、手当が出ない状況等は要改善だと感じます。

まとめ

ちょっと中盤から疲れてしまい、そこまで掘り下げられていませんがひとまずこんなところでしょうか。個人的には、フリーランスや起業することをおすすめします。なぜなら、キツくて色んな事を経験できるから人として成長できるからです。自己責任で自由な世界って成長できて良いですよ。

しかし、フリーランスをしている人は35歳くらいまでに起業するか会社員になるかは判断した方が良いと思います。40歳以上になってくるとSESでの案件は決まりづらくなり、エンジニアのキャリアパスの多くは教育やマネジメント系となるので、組織に属して他の人に対する成果のアウトプットとなるためです。マネジメント経験ゼロの状態からいきなりマネージャーで会社員になることは難しいため、ある程度若い時から組織に属してマネジメント経験も積む方が無難ではあります。

多くの人にとっては、サラリーマンが良い環境だと思います。しかし、いつ社会情勢が変わって会社を解雇されるかわかりません。大企業も数百人規模のリストラをしょっちゅうしてます。会社員をしていても、常に自身の市場価値を意識し、フリーランスや起業や副業を選択肢に入れておくくらいの意識がこれからの社会人にとっては重要になってくると思います。