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Flexicurityという単語から、造語の意味を考えてみよう

フレキシキュリティ(=Flexibility+Security)を合わせたコトバだが、日本ではまだあまり広まっていない。

フレキシビリティ(Flexibility)(=柔軟性)と、セキュリティ(Security)(=安全性)を組み合わせた合成語。

雇用の柔軟性を担保しつつ、手厚い失業保障を労働者に与える行政政策のこと。

このコトバは、ヨーロッパで1990年代から進められてきた労働市場改革のキーテーマである。

ドイツでは、30年くらい前、企業の採用・解雇の裁量が狭められていた⇒つまり、簡単に人をクビにできない時代があった。だが、2003年、当時のシュレーダー首相の下、「アジェンダ2010」という労働改革を実施。解雇規制を緩和して企業が人員を整理しやすくした代わりに、職業運連や就労支援を国が積極的に進めた。「もう会社に要らない人は、企業の効率化のためには、クビにしてOKです。社会問題として、国のほうでクビになった人には再教育をするので、クビにするか否かと、みんなの雇用保証というのを別々に考えましょう」という政策。これによりドイツ経済は回復を遂げた。

このやり方は、一見、は?と思いたくなる。でも、企業の側から見ると、解雇規制を緩和して雇用の柔軟性を高めるという点ではフレキシビリティがあり、また回顧された労働者および社会の側から見ると手厚い社会保障で支えられるという点でセキュリティがあるもの。この二つの合成語であるFlexicurityが、ヨーロッパ諸国で今では採用されている。

しかし、日本ではここから30年、逆行している。安倍首相は「この国から非正規というコトバを一掃する」と言い、「働き方改革」で労働市場をむしろ固定化している。


ドイツでは、労働組合が強かったため、労働市場が固定化し、社会全体が癒着化・膠着化してしまった後、ものすごい苦労をして労働市場の柔軟化をやり遂げた。この結果、国の代表的な会社も競争力を維持できたのだ。日本もやらなければならない時が間違いなくやってきた。だが、「スキルの不足した労働者の再教育は国の責任だ。国の責任で再雇用できるように叩き直しますから皆さんはどうぞお構いなく社外に出してください」と言って実行するような政治家は、日本にいるだろうか。この忖度をベースに行われる決定が横行している日本で。

英語のどんな造語が社会に広まっているかで、どういった政策が国でとられているかがわかったりする。英語を知ることは、社会を知ること、時代の流れに敏感になること、に直結するのだ。




この社会政策の詳細は、こちらから ↓




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