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大阪アジアン映画祭へ愛をこめて

日本で一番アジア映画がたくさん観られる映画祭になってしまってうらやましいこと。

日本で早春に開催される映画祭といえば、かつてはゆうばり国際ファンタスティック映画祭がその代表格でした。リゾート型の映画祭ということで、地方映画祭のお手本にもなっているようですが、近年では2005年から始まった大阪アジアン映画祭(OAFF)が3月上旬に開催されるようになり、そちらが映画好き(特にアジア映画好き)の注目を集めているようです。今年は3月9日(金)から18日(日)まで実施され、世界初上映13作を含む全54作が大阪市内各所で上映されています

Wikipediaによると、2005年の当初は韓国映画祭として始まり、年ごとに日本を含む東アジア、南アジアなどアジア各地の映画が上映対象として追加されていったようです。そして2009年に東京国際映画祭でプログラムディレクターを経験した映画評論家の暉峻創三さんをプログラムディレクターに迎え、2011年からはコンペティションも開始されて現在に至ります。twitterなどで情報も広がるようになった2010年頃から東京のアジア映画ファンにも注目されるようになり、この時期には大阪へ遠征される方も少なくありません。

実は私も2012年の第7回に思い切って岩手から参加したことがあります。
前年の開催時にちょうど東日本大震災が発生し(大阪でも揺れたそうです)、現地にいた東京や大阪の友人たちからもDMやメンションなどでメッセージをいただきました。その御礼がしたかったのと、運良く仕事があまり多くない期間の開催だったので、仙台から飛行機に乗って大阪まで行き、3日間で5作品を鑑賞しました。当時も地方でのアジア映画上映の減少に嘆き、なおかつ震災1年の日を憂鬱に過ごしたくなかったので、一般上映の少ないドラマ系の香港映画や珍しいキルギスの映画を楽しみ、『星空』のティーチインでトム・リン監督とお話ができました。会場のシネ・ヌーヴォ(当時)とシネ・リーブル梅田には多くのファンが集い、熱気にあふれていました。ネット上でよくお話する在阪のフォロワーさんとも多く出会い、少ない時間でいろいろとお話できたのも嬉しかったです。

その後は『KANO』やキネマ旬報ベストテン第1位となった日本映画『そこのみにて光輝く』のプレミアの場となったり、2015年からアジアで活躍する俳優たちを讃えたオーサカAsiaスター★アワードが開催されたり(ジョセフ・チャン、永瀬正敏、カラ・ワイが過去に受賞、今年はチャップマン・トー)、アジア映画特化の映画祭としても今や最大級となりました。

日本のアジア映画祭としては、福岡アジア美術館を擁する福岡市で夏と初秋にそれぞれ開催する福岡アジア映画祭アジアフォーカス・福岡国際映画祭があります。また、新潟県長岡市で2014年まで開催されていた長岡アジア映画祭もありました。しかし地理的にそれぞれ遠く、参加するには厳しいものがありました。その中で東京国際映画祭(TIFF)や東京フィルメックスで上映されるアジア映画は非常に貴重であり、そこから一般上映が決まれば嬉しいものでした。
しかし、近年TIFFではワールドプレミア上映作が多くなっている関係でか、他の映画祭に出品された上映作がかからなくなり、昨年香港で大ヒットを飛ばし、過去2作はTIFFで上映された『恋の紫煙3』のジャパンプレミアがTIFFではなくOAFFだったのには驚かされました。いや、驚きを通り越してショックでした。もっとも、OAFFでは1が上映されていないそうなのですが…。
そう、このシリーズはこれまで映画祭では人気を博しながらも、なぜか一般上映がかなっていません。監督のパン・ホーチョンの作品が『ドリーム・ホーム』のみ一般されていないことも不思議です。(そのため、一般的にはホラー映画の監督という誤解が一時期なされていた)数年前に特集上映があったきりで、近作は配信はされていたとしてもソフト化もされていないのではないのでしょうか?

話を元に戻します。
この『恋の紫煙』シリーズだけでなく、ここ最近は映画祭のみ上映で終わってしまうアジア映画が多いことが気になります。数年前に「ほとんどの映画は映画祭がお披露目の最後の場になってしまう」という言葉を映画祭に関するwebコラムで見かけたのですが、現在はまさにその状態になっています。近年やっと、ヤスミン・アフマドの『タレンタイム』やフィリピンのブリランテ・メンドーサ、インドネシアのカミラ・アンディニの作品が一般公開されるようになったのには大いに喜んでいるのですが、やはりそれだけでは物足りないです。10年前なら一般公開されていたようなドラマ系の香港映画に配給がつかなくなっている現状は残念です。
シネマート六本木のようなアジア映画の上映を専門に行うミニシアターがなくなってしまったとか、新規ファンが開拓できないなどと原因を考えればいくらでも考えられるでしょう。でも、一般上映が難しくとも、映画祭の場だけで上映を終わらせるのではなく、特集上映のような形で全国を巡回できるようにしても、悪くはないと思います。映画祭上映の契約で難しいのかもしれませんが。

東京一極集中のイベントではなく、大阪で開催される意義は大いに理解していますし、在京ファンを向かわせるパワーがあるすごい映画祭であることは感じます。在阪フォロワーさんの映画祭セミナーのご報告も興味深く拝見しています。大規模ですが、地方映画祭としてここまでできればほんとうに素晴らしい、と地方の映画ファンとしても羨ましく思います。
これが、毎年今の時期だけのお祭りではなく、東京等に良い影響を与え、上映作品の配給や他の映画祭でのアジア映画上映、ひいてはエンタメ系アジア映画の上映機会の増加につながっていくことを願います。
そして、またいつかこの時期に大阪に行き、同好の士の皆さんと一緒に香港のドラマや台湾の作品、そして未体験の映画を楽しめる日が来ればと思っています…それを叶えるには、年度末の激務が映画祭の時期にかぶる今の仕事を辞めないと無理なのでした…(泣)

というわけで、大阪アジアン映画祭を応援し、羨ましく思う一中華映画ファンのラブレターでした。

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