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幼稚園と保育所はなぜ資格が異なるのか

幼稚園と保育園(保育所)は働くための免許(資格)が異なる。それはなぜか。
幼稚園の管轄は文部科学省、保育所の管轄は厚生労働省。
幼稚園は教員免許が必要で、保育所は国家資格(保育士証)が必要となる。

これは、「事実」であり、「理由」ではない。
どちらの施設も、多少の差はあるものの、業務内容はさほど変わらない。
わざわざ資格を分けるほどのことではない。

例えば・・・
・どちらも「先生」と呼ばれる
・どちらも「子どもの健康と安全を守る」
・どちらも「遊びを通じて学ぶ」

そもそも、保護者にしてみれば、どちらの免許(資格)を所持しているのかなど分からない上に、気にすることはない。
(資格の所持と、良い保育ができるかは別の問題である)

例えばほかの業種。
日本料理だろうが西洋料理だろうが、調理師免許は同じである。
それでも特に問題にはなっていないはずである。

ところが、保育業界は同じような仕事に対して違う資格を求められる。
もちろんそこには相応の理由があり、経緯もある。
だが、だからと言ってそのまま放置していて良いのだろうか。

今や、保育所と幼稚園だけが施設ではない。
認定こども園という両方の機能を兼ね備えた施設まで登場してしまった。

認定こども園に勤めるには、「両方の資格」を持っていないとならない。
片方の資格しかない場合に、もう一方の資格を取るための支援制度もあるのだが、手間も時間もお金もかかる。

そしてこの支援制度(幼保特例制度という)には、時間的制約がある。
2025年3月で終了してしまうのである。

特例制度が終了した後は、幼稚園教員免許と保育士資格、どちらかしか所持していない場合、勤め先が限られてしまう。
もう一つの資格(免許)を取得しようとした場合、更に時間も手間もかかる。

女性が多い職種である。
子育てで一時離脱をしている方も多い。
そうした方達が、仕事に復帰しようと考えた時、片方の資格しか持っていなかったら…。
わざわざ時間とお金をかけてもう一つの資格を取得するだろうか。
それならば、他の仕事を選ぶこともあるかもしれない。
保育士不足が叫ばれている中、影響は大きい。

さらに、無資格でも保育ができるような制度が進められているそうである。
もはや資格の意味すら薄らいできてしまった。

保育は専門的な知識を要する専門職である。
管轄の違い、歴史の違い、そう言ったものに縛られる必要があるのだろうか。
両方の資格が必要なのが当たり前なのだとしたら、分ける意味などない。
最近でも、教員免許だけが更新性になり、それもすぐに取りやめとなった。
「違い」へのこだわりが現場に混乱をもたらしている。

「保育」の仕事はいかなる施設においても共通の資格で勤務可能。
そうした体制を作ることが保育士不足の解消に繋がるのではないか。

保育の仕事に必要な資格を一本化すること。
現場の切なる願いである。



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