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塗装業界が今すぐ取り入れるべき人事評価制度~セミナー特選講演録~

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セミナーの講演内容と当日使用したテキストを無料でダウンロードいただけます。平均10,000文字を超えるボリュームの講演文字起こしとノウハウの詰まったテキストをご覧ください。

~セミナー特別講演録~無料ダウンロード

◆開催日時:2021年7月26日

◆講師:船井総合研究所 宮地 建守

◆セミナー詳細:【webセミナー】職種別!塗装会社の評価・給与制度はこれだ

スターペイント様が成功している秘訣

先ほどまでのスターペイント様の社長のお話をご覧になったかと思いますが、スターペイント様が成功している秘訣を改めて整理していきたいと思います。

一つ目に、人財ファーストの思想ということで理念浸透型の採用、働き方改革といった「人」にこだわった経営をしていることについてです。優秀な人財を採用する方法、自社で長く働きたいと思ってもらう方法を追求する経営をしています。

毛内社長は「経営者の仕事は人財戦略をしっかり回すこと」とよくおっしゃっています。事業をしっかり回していくことも社長の仕事ですが、そればかりでなく、人に関するところに一番力を入れることもそうだとおっしゃっています。

二つ目に、成長を加速させるための人事・評価制度ということで、今回のこのセミナーのテーマにもなっておりますが、店長輩出を加速させるための役割定義と評価基準の設計、設計以上に運用することを重視とあります。

三つ目に、将来のビジョンを描くということで、会社がどういう姿を目指していくのか真剣に考えていて、それを社員に浸透させていくことが大事です。浸透のさせ方は、採用の段階で社長が学生や求職者に伝えること、評価制度の中に組み込むことです。さらに、経営者が自社をどうしたいのか、5年後、10年後、売上や社員数や規模はどれぐらいにしたいのかをしっかり考え、人事評価に組み込むことが成功する秘訣になります。

最後に「評価制度を導入していない企業の未来はない」という社長のお話があったと思います。これを聞いてぎくっとした方もいらっしゃるかと思いますし、安心された方もいらっしゃると思います。厳しいですが、現実の話です。

大きく六つの観点で比較をしてみました。まず一つ目に、会社の方針です。評価制度を導入していない企業は、社長がどういうふうに会社を進めていきたいかが社員に伝わりにくい傾向があります。一方、評価制度を導入している企業は、人事評価項目や人事制度に組み込まれていますので、経営者の想いが言語化されていて見やすく、社員の方も理解しやすい傾向があります。

二つ目に、指標・目標値ということで、評価制度を導入していない企業は社員がどれぐらい頑張ればいいのか分かっていない傾向にあります。下手をすると社長もしっかりと具体的な目標ができていないケースもあります。一方で、導入している会社さんだと、粗利率や契約率をどれぐらいまで上げたらいいのかを社員も社長も分かっています。

三つ目に、新卒採用や中途採用、営業職もそうですし、職人や公務、事務の方々含めて、評価制度を導入していない会社さんだと応募者に対して給与のイメージを提示できません。一方、導入している会社さんだと提示できます。つまり、どれぐらいの練習なのか伝えることができるということです。

私も評価制度のお手伝いをしていて、やはりこんな話がよく出てきます。応募者が今まで年収400万もらっていたとして、応募者は「もしこちらの会社に転職した場合、年収400万もらえますか」という質問をしたときに採用担当の方がすぐに答えられるかどうかを見ています。「頑張ればもらえるよ」と濁してしまうのか、「うちだと例えば契約を年間これぐらいもらえる営業マンだったら、年収400万だったらすぐにいけるよ」としっかり具体的に説明できるのか、これは応募者からすると大きな違いです。

新卒採用をしている会社さんに行きますと、新卒の学生に対して「年収1000万を目指したいのですが、どうすればいいですか」と聞かれたときにすぐ答えられるかどうかということを学生は非常に見ています。そのため、採用のところでも差が出てきます。

四つ目に、モチベーションということで、評価制度を導入していない会社さんは、何で成果を上げたら評価されるのかが不明瞭です。一方、導入している会社さんだと、頑張る内容が分かり、その頑張りが評価されます。社員の方からしたら、当然評価されて給与が上がったり役職が上がったり、待遇がよくなったりするほうがいいです。つまり、給与制度によってモチベーションが上がるかどうかが決まってきます。

五つ目に社員教育ということで、評価制度を導入していない会社さんは何をどこまで教育すればいいか、指標・目標値がありません。導入している会社さんは、指標・目標値があり、教育体制が整備できます。そういう会社さんに繰り返し行くと、例えばうちの会社は長年契約率が低く、20%しかないから1年間で25%まで持っていくための教育を考えようという話ができます。

社員の方は契約率が上がることにより、評価も上がりますし、結果、給料も上がっていくというメリットを感じます。一方、評価制度を導入していないと成約率が上がったところで結局自分たちにどんなメリットがあるのか分かりません。極端な例かもしれませんが、そういったところで社員教育のやりやすさが変わってきます。

最後に給与ということで、ここまでの話を総合するところになります。導入していない会社さんですと、成果が給与と連動しないため、社長の感覚で給与査定されているのではないかと思われてしまいます。一方、導入している会社さんでは連動して、納得性のある査定ができます。当然、経営者の方々はこの査定で非常に頭を悩ませると思います。社員の方から、不満や文句を言われて、やはりいい気持ちはしないと思います。自動的に論理的に、システマティックに給与査定ができるようになり、大幅にストレスが減ったという経営者の方々を、私も何人も見てきています。

今回、六つについて比較をしましたが、どちらの会社が今後お客様や未来の社員の方、地域に必要とされるかというのは、言わずもがなではないかと思います。

そのため、やはり給与制度、評価制度、人事制度というのをしっかり入れたほうがいいと思いますが、ここまで聞いた皆様でまだ評価制度を入れていない会社さんは特に、不安を感じておられると思います。また、実際に自社で評価制度を入れているけれど、あまり機能していない会社さんも、どうしたらいいか分からないと思っていると思います。

私たちが評価制度、人事制度の話をするときに大事なポイントをいつも話しています。

人事・評価・給与制度の3本柱でのメッセージ

それが、見える化というものです。一つ目に人事、キャリアの見える化です。将来自分の役職や処遇がどう変わっていくかを見えるようにします。

二つ目に評価基準です。何をどれぐらい頑張ったら評価してもらえるのかを見えるようにします。

三つ目に、給与、昇給ということで、どれぐらい頑張ったら、年収がどれぐらいの金額になるのか、あるいは1年でどれぐらい給与が上がるのかを見えるようにします。それにより、先ほどの問題が解決します。

既に人事・評価制度を入れられている会社さんでも、上記の三つのうちどれか一つでも見えづらい会社さんは、見直しを早めにしたほうがいいと思います。

人事制度の作り方

具体的な取り組みについてお話します。先ほど、人事、キャリアのお話をしましたが、作り方をご説明していきます。まず一つ目にキャリアアップということで、リーダー・幹部の育成制度をしっかり作っていきます。お勧めしているのは2種類の出世の仕方を作っていくことです。

一つ目に、スライドの図の青色のほう、スペシャリストコースというものです。例えば、営業の方でメンバーに何かを教えたりするのが不得意で店長や課長や部長になりたくない方がいらっしゃるとします。そういった方々が営業のスペシャリストとしてキャリアを積んでいくというコースです。

もう一つは赤色のマネジメントというものです。これは分かりやすいと思いますが、副店長、店長、部長、執行役員、というようにメンバーをしっかりと管理する、管理職としてのキャリアです。この2種類を明確にすることを私たちはお勧めしております。

これは「うちは実際そうだよ」と言っている会社さんがありますが、それをしっかり制度として謳っているかどうかがポイントになります。暗黙の了解ではいけません。会社として二つとも認めていることを意思表示すること、どうすれば店長になれるのかをしっかり明記していくことが大事です。これは営業に限らず、職人や公務の方も同じです。

次に、先ほどのキャリア構造を作ったあと、それぞれの役職基準を明確にする必要があります。よくあるケースとして、能力が足りていない人をやむを得ず店長にするというものです。もちろん仕方ない部分もあると思いますが、あとから入ってきた社員や既存の社員からすると、なぜあの人が店長なのかと思ってしまいます。

きちんと会社が店長に求めることを明確にしていないことがこのストレスの原因です。例えば、店長に求められることとして、店舗全体の目標達成、問題解決、組織編制、管理するもの、店舗の売り上げなどいろいろあります。また、③理想ということで、今後、店長に期待したいこともあります。例えば、新規立案や商品開発、新規出店、業態開発についてです。

特に、マネジメントをする方々は自分自身のスキルよりも組織をどうしていくのか、メンバー全体をどう管理していくのかを考えていく必要があります。

スターペイント様の事例で昇格要件があります。店長や主任になる条件をしっかり作ることが大事になりますし、逆に、降格要件も決める必要があります。

例えば、スターペイント様で言いますと、営業実績という観点、人事評価の観点、社員からの見え方、数値管理がしっかりできるか、自分の下の役職者をどれくらい輩出できるかが挙げられます。昇格条件はがちがちに固めてしまうと店長が必要なのに輩出できないことになってしまうので、柔軟さも必要です。ただ、これだけは譲れないというラインをしっかり設定することも必要になります。例えば、完工粗利で3,600万円以上はしてくれないと店長としては物足りないという基準や人事評価でB評価以上でないと任せるのは厳しいというようなラインをしっかり決めていくことが必要です。


3年後、5年後・・・

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