わっち「日本は、海外スマブラ選手にとっても魅力的な国」 | スマブラで作るヒト ver 2.1.0
どうも、fun2smashです。
「クリエイティブでスマブラ観戦を楽しく」をモットーに活動しているスマブラ観戦大好き人間です。
現在任天堂のゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ(通称スマブラ)」を使って、いわゆるesports的な競技として大会が開催される「競技スマブラ」が注目を集めています。
競技スマブラ(esports)は選手・プレイヤーの活躍あってのものなので、基本彼らが主役です。
しかし大会は彼らだけでは成立しません。大会運営・配信の技術スタッフ・映像エディター・撮影スタッフ・デザイナーなど様々なクリエイターが最高の舞台を作るからこそ、プレイヤーもそこで輝きたいと思うのではないでしょうか。
そんなクリエイターの方々にスポットを当て、fun2smash(私)が様々な質問をさせていただき、その内容をまとめたものが「スマブラで作るヒト」です。
アーカイブはマガジンにして随時追加していきますので、よろしければフォローをお願いします。↓
前回からものすごく期間が空いてしまいましたが、第2回は主に競技スマブラにおいて通訳や、大会主催など多岐にわたって活躍されているわっちさんにインタビューをしました。
わっちさんは10年近く競技スマブラで活動している、コミュニティ内では古株です。ここ最近になって海外大会で日本人選手が多数優勝するなどワールドワイドな活躍が増えたことで、通訳のわっちさんも注目を集めるようになりました。
特にわっちさんの活動が目立ったのが、国内最大規模大会「篝火 #10」を中心とした様々なスマブラ大会やイベントが開催された2023年のゴールデンウィークです。
「篝火 #10」はユーザー主体のボランティア大会でありながら、参加者は1,024名、YouTube配信の同時接続は最大10万を超えるなど日本の競技スマブラで最も成功した大会の1つといってもよいかと思います。
そこまでの盛り上がりとなった理由はいくつもありますが、その大きな要因としてゴールデンウィーク期間に多くの海外の強豪選手が来日したことが挙げられます。
過去にも海外選手は何度か来日していました。しかし2020年にCOVID-19が世界的に蔓延し、複雑な政治状況も重なり、なかなか海外選手が来日できない状況が続いていました。
それだけに「篝火 #10」で優勝をしたメキシコのSparg0選手などをはじめとした超強豪選手が多数来日したゴールデンウィークは注目を集めました。
そして海外選手の日本での活動をサポートしたのはわっちさんをはじめとする競技スマブラで通訳で活躍されていた方々です。彼らがいたからこそ海外選手は日本での活動の障壁が軽減されました。
今回はそんなわっちさんに、海外の競技スマブラ事情から、日本のコミュニティ文化を世界に伝えるために必要なことなど多くのことを伺いました。
特に今年になって、世界からの日本文化の注目度が高くなっています。6月には日本のアーティスト、YOASOBIの楽曲「アイドル」が日本語史上初の米ビルボードのグローバルで首位となり、訪日外国人の数もCOVID-19以降で最多を更新し続けています。
そんな日本と海外を考える必要のある2023年において、長年日本と海外の橋渡しをしてきたわっちさんの話を聞くことは、競技スマブラに明るくない方にとっても有益な内容となるでしょう。
わっちさんについて
- わっちさんは競技スマブラにおいて、どのような活動を行っていますか?
わっち :
現在はボランティアでスマブラのコミュニティ大会の主催や配信周りを行ったり、DMで連絡のあった海外選手の大会への情報共有や斡旋、海外のスマブラ大会運営から日本人選手あてに来た招待のマッチングなどを行っています。
また、最近は依頼を受けて海外大会に参加するプロ選手に帯同したり、配信での同時通訳やスマブラ動画の字幕翻訳協力などをしています。
- 日本の平日開催の大会を、ほぼ毎週世界に向けて英語実況解説配信されているのも拝見していますが、もともとなぜ始められたのでしょうか。
わっち:
単純に日本の選手の存在を海外に発信するためです。
最近は海外遠征や招待などが盛んになりましたが、昔は遠征することが出来ない実力者が多く、その人達の存在を世界に見せたいというのが始まりで活動をスタートしました。
単純なメリットとして、海外に遠征しなくても動画を通じて海外に日本の選手の強さを発信できるので、実際に初めて遠征した時でも高いシードを貰うことが出来たり、海外大会の招待選手の選択幅を広げることが出来ます。
またスマブラDX時代に自分が使っているキャラクターは人口が少なく、海外の大会動画などをよく見て参考にしていました。日本は幅広いファイター分布を誇っており、(海外のマイナーキャラを使っている方にとって)そういったメリットもあると思います。
あとは個人的に週大会の雰囲気は、大きな大会と違った良さがあると思っていて、試合前に談笑している様から仲の良さも配信しているので、なんかいい感じの栄養素が摂取出来るのがいいと思っています。
最後に海外選手が遠征した時に見たことある大会があった方が参加ハードルも下がるので「誰でも参加できる場所が日本にはありますよ」というアピールをしたいっていうのが1番大きいかも知れません。
- なるほど。では少し違った角度からの質問で、
競技スマブラにはどれくらい携わっていますか?
また裏方的な活動を行うようになったキッカケなども教えてください。
わっち:
競技スマブラに携わるようになったのは、大体10年くらい前からです。
大学入学時に漫画研究会で出会った同級生とスマブラDXをしてボコボコにされました。そこでスマブラが競技的側面を持ったゲームだと知り、情報収集と練習をはじめ、10年くらい前から大会に積極的に参加するようになりました。
選手として活動していた中、スマブラDXで活動していたaMSa選手に出会いました。
彼は当時、選手としてだけでなく大会運営やゲームの布教活動などもしていました。世界で活躍できる実力があるにもかかわらず、リソースをそこに消費してしまっているように見えたので、それなら自分が少しでも手伝って負担を減らしたいと思って色々活動していたら今に至ります。
- スマブラ関連で、どの国に行きましたか?
わっち:
アメリカとカナダの2カ国で、おそらく20回以上は行ってると思います。
アメリカはサンフランシスコ、ロサンゼルス、サンノゼ、フォートコリンズ、チャンティリィ、ローエル、シコーカス、サンアントニオ、シアトル、ラスベガスに行きました。カナダはバンクーバーに行きました。
カリフォルニア州がスマブラDXが1番訪れている期間が長くて、おそらくラスベガスとロサンゼルスがよく訪れていると思います。
- スマブラ以外では、どのような活動をされていますか?
わっち :
フリーランスとしてほかの対戦ゲームの公式大会の配信や大会運営総括、ソーシャルゲームのコミュニティマネージャーやコンサルタント、打ち合わせでの同時通訳補佐や海外選手のアテンドなどプロジェクトごと雇われる形で色々とお手伝いさせてもらってます。
趣味の範囲でストリートファイターなどの他のゲームの大会とか対戦会を行ったり全然違うところだと同人即売会のスタッフとかやったりしてます。
2023年上半期の活動や海外選手来日について
- 今年はゴールデンウィークを始め上半期、非常に多忙だったかと思いますが、スケジュールを教えてもらえますか?
わっち :
実は正直記憶があんまりないです。
一応予定表を確認しながら言うと、まず1月初めに開催されたウメブラSP9(国内最大規模大会の1つ)あたりくらいからそこそこ忙しさが持続していました。
3月末にロサンゼルスで開催されたSmash Ultimate Summit 6に日本人選手と同行し、そこから毎週最低2つは大会がなぜかあり…。
4月頃は、その時来日されたアメリカのCosmos選手と日本各地飛び回っていました。その空き時間に海外選手と色々予定合わせし、到着したら空港に迎えに行ってホテルに案内しました。他にも平日に自分が関係している大会の運営をやれる時にやり、仕事をしないと(金銭面で)死んでしまうので適度にやりつつ、気がついたら6月になってました。
- それはご苦労様でした…
ゴールデンウィークに開催された篝火では、海外選手がたくさん来日されました。彼らは、なぜ来日しようと思ったのでしょうか?
わっち :
個人的には色々な要素が重なった結果として、たくさんの選手が来たって感じだと思います。
元々日本は層が厚くいろんなキャラクターが大会で活躍しており練習する地として最適ということで、日本に行きたいという選手はたくさんいました。
ただ金銭的問題と、日本で一番デカい大会がいつ開かれるのか分からないため、どのタイミングで行けばいいか分からず決めかねていた人がほとんどでした。
今回は5人くらいが早い段階で日本に行くと宣言を裏で共有していたのが大きかったです。そしたら俺も行こうかな?みたいな流れができました。他にも食事や観光その他エンターテイメントの面からも訪れる価値がある、円安で若干お得、4月に予定していた海外のメジャー大会が無くなったので予定が空いたなどの理由です。
また、プロゲーミングチームZETA DIVISIONがサポートしてくれたおかげで私が高頻度に海外に参加でき、海外選手と直接コミュニケーションが取れたことも大きいです。
- そもそも海外選手はどこから日本のスマブラ情報を得て、日本に興味を持つことが多いのでしょうか?
わっち :
聞いてる感じだとVGBCの英語配信や来日経験のある選手の口コミ、日英両方分かる人のSNSでの発信、データ、コンテンツクリエイターやデータサイエンティストの人たちの創作物。日本のVTuberやアニメゲームなどの延長線上で知るみたいな変わったルートも聞いたことがあります。
- 日本のVTuberから知るっていうこともあるんですね!
わっち :
日本の企業所属のVTuberさんに海外部門が存在しており、そこを中心にコラボなどででた同じ企業の日本人の方を見るみたいな流れが多いです(もちろん個人の方をピンポイントで見てる方もいらっしゃいます)。
オタクカルチャーは特によく聞きます、日本文化でオタクカルチャーが好きな人はウィーブと呼ばれていて、そんな用語があるくらいには多いです。
(Wapanese(ワパニーズ)が、長いのでweeaboo(ウィアブー)と変化し、そこから更に短縮されてweeb(ウィーブ))
翻訳切り抜きも多いのがキッカケになっていて切り抜かれている部分以外を知りたいというのが日本語を学びたいキッカケとかにもなってるそうです。
先述したCosmos選手とはホロライブの話をしました。
他にもアメリカの大型大会の物販イラストを売ってる方々は、日本が好きな人が多く日本語しゃべれて絵もうまくてすげーって良くなります。
- スマブラ以外の観光や食など文化的な部分ではどんな感じでしょうか?
わっち :
選手からはコンビニ食や肉の丼系が人気があります。
主催やスタッフの人はブランド和牛とか板前寿司とかを食べに来てる印象が強いです。
文化としては音楽、特にライブ目的で訪れる人はかなりいます。スポーツも雪の状態がいいらしくウィンタースポーツ目的で来る人もいます。
伝統文化の寺や神社なども良く聞きますが昔は直で伝統文化として知ってくる人が多い印象でしたが…最近はアニメや映画で見た街並みを見たいという視点で伝統文化みたいなのが多い印象です。
以上がインタビュー前編となります。
わっちさんの2023年上半期の激務ぶりはSNSからも伝わっていましたが、これをほぼボランティアでやっているというのは改めてすごいことだなと思います。
またスマブラはもちろん、様々な日本の文化が、海外のスマブラ選手に魅力的に伝わっているということを知ることができたのもよかったです。そしてそこにはわっちさんのような、海外に向けて発信している方が重要なんだなと思いました。
後編では日本と海外のスマブラの違いであったり、通訳・翻訳のこれからの時代のあり方のようなものを伺えればと思います。
私は普段スマブラ観戦にまつわることで、Twitterに画像を投稿したり、noteに記事を書いたりしております。自己紹介記事を投稿しているので興味がある方はこちらも是非ご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?