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野球で起きた革命が、スマブラでも起きた? e-sportsも進化する。

どうも、fun2smashです。
「クリエイティブでスマブラ観戦を楽しく」をモットーに活動しているスマブラ観戦大好き人間です。

この記事は普段競技スマブラを観ている方はもちろん、そうでない方にも是非読んでもらいたい内容です。中でも普段スポーツ観戦を熱心にされている方ほど興味を持っていただけるのではないかと思います。

より多くの方に伝わるよう、わかりやすさ重視で、細かい説明を省いており、若干偏った説明となっていることをご了承ください。


※この記事はスマブラ Advent Calendar 2022に参加しています。




1.はじめに


日本国内の競技スマブラ大会の様子。

私は普段、競技スマブラをよく観戦しています。
競技スマブラとは、総勢86体の人気ゲームキャラを使用して戦う、任天堂の対戦アクションゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ」を競技的にプレーして腕前を競う、いわゆるe-sports的に楽しむもののことです。


さて、「スマブラSP」は発売から既に4年以上経ったゲームです。
そんな2022年の競技スマブラに、あえて大げさに言えば、革命が起きました。その革命の説明は後ほどしますが、その革命は競技スマブラのトッププレイヤーの価値観を大きく変えるものだったかと思います。


そしてそのスマブラの革命は、かつてメジャーリーグで起きた革命と類似した要素があると感じました。
いきなり競技スマブラと野球が類似していると言われても多くの方はピンとこないでしょうが、比較すればするほど似た現象だなと感じました。

ホームランコンテストの話ではないらしい。


この記事では、競技スマブラで起きた革命とメジャーリーグで起きた革命についての紹介・比較をしています。そのことで競技スマブラやメジャーリーグの観戦の面白さ、ひいては様々なスポーツ観戦の奥深さに興味を持ってもらえればと思います。



2.メジャーリーグの革命


まずは、メジャーリーグで起きた革命についてカンタンですが紹介します。


アストロズの球団史上初優勝


2017年のメジャーリーグを優勝したヒューストン・アストロズは、世の中に大きな衝撃を与えました。何故ならそれまでアストロズは優勝経験が1度もなく、たった4年前まで100敗以上の最下位争いチームだったからです。

しかしアストロズはハイテク機器を導入し、そこから導かれたある打撃革命に気づき実践したことで成績は劇的に伸びていきます。先述の2017年の優勝を筆頭に、ここ6年で2度の優勝と4回の100勝以上を達成する強豪チームへと変貌を遂げました。


アストロズの優勝セレモニー。
サイン盗み騒動があったものの、その打撃革命はメジャーリーグを変えた。

その後他チームもその打撃革命に追従していき、最終的にメジャーリーグ全体に大きな影響を与えました。


フライボール革命


その打撃革命こそ、フライボール革命です。
フライボール革命をものすごく端的に説明すると「バッターはとにかく高く打ち上げてホームランを狙え」という考え方の変化です。


フライボール革命以前の打撃のセオリーは、「塁に選手がいない時はゴロを打ち進塁し、塁に選手が出たら高く打ち上げる」でした。
打者がボールを高く打ち上げてしまった場合に守備は捕るだけでアウトになるのに対して、ゴロはイレギュラーが起きやすいなどの理由から進塁に向いているとされていました。

しかし、現在のメジャーリーグは守備が固く、イレギュラーを起こすことが非常に少なくなりました。
そのためピッチャーは最も失点のリスクが高いホームランを最大限注意し、逆にリスクが少なく疲労が溜まりにくいゴロを打たせて捕ることを狙ったピッチングが多くなりました。

ピッチャーにとって、ゴロが三振の次に失点のリスクがない。


その状況を打破することが「とにかく高く打ち上げる」フライボール革命でした。なぜなら高く打ち上げれば絶対ゴロにはならない=相手に最も失点のリスクを与える戦い方だということが判明したからです。

アストロズの成功以降、他チームもそれに追随する形で、メジャー全体のホームラン数は飛躍的に増加しました。
逆に無理やり高く打ち上げることを狙うため、ホームラン数が増えたのに打率が下がるという現象が起きました。

大雑把ですが、これがメジャーリーグで起きた革命の概要です。
より詳しくフライボール革命について知りたい方は↓がオススメです。



3.競技スマブラの革命


さてここで競技スマブラに話を戻します。
2022年は様々な出来事がありましたが、中でもセンセーショナルな出来事の1つは高校生プレイヤーのあcola選手の活躍でしょう。彼を追っていくことで今年の競技スマブラに起きたことが見えてきます。


天才高校生の登場


高校生プレイヤーあcola選手

あcola選手は競技スマブラの中でも若い新規プレイヤーです。オフライン大会に初めて参加したのは今年2022年の2月でした。そこから彼は次々と優勝を収め、5月の国内最大規模の大会にて初参加で初優勝します。
現在あcola選手は日本最強の最有力選手になり、世界最強にも近づいてきています。

国内最大大会「篝火」で初参加で初優勝をしたあcola選手。


あcola選手はスティーブを主に使用しています。
スティーブは世界的人気のゲーム「マインクラフト」から参戦したファイターです。

スティーブは何もない場所にブロックを生成でき、
攻撃スピードの速さと撃墜力が高いことが特長。


スティーブは非常に強い部分がある(そこについては後で解説します)ことは理解されながらも、去年まで多くのトッププレイヤーからそこまで高い評価を受けていませんでした。

しかしあcola選手が大きなきっかけとなり、スティーブの評価は急上昇し、現在ではスティーブを最強ファイターの内の1体と評価する声が多くなっています。

なぜそのようなファイターの評価が低かったのか?そしてなぜ2022年から評価を上げたのか?
その疑問を解決することが、現在の競技スマブラの理解につながります。


「差し合い絶対主義」から「1タッチ高リターン重視」へ


なぜスティーブの評価が上がったのか、それは「差し合い絶対主義」から「1タッチ高リターン重視」に変わったからです。


2021年までは、「ニュートラルな差し合いで相手を制し、蓄積ダメージを100~140%くらいまで貯めてから、ローリスクな技で撃墜する」という戦い方が非常に重要視されていました。

ニュートラルな差し合いとは、お互いのファイターが攻撃を当てる前のベーシックな状態。
一般に速いファイターが差し合いを制しやすい。


差し合いで勝ち続けれれば、当然自分は蓄積パーセントが貯まらず、逆に相手の蓄積パーセントがドンドン増えていきます。
相手を撃墜できるパーセントにした時、自分は撃墜されるリスクが少ない状況なので、撃墜技をローリスクにふることが可能になります。

特にスマブラは上下左右様々な方向に移動できるため選択肢が多く、差し合いが上手いことのメリットはとても大きいです。例えばスピードの速いファイターに遅いファイターで追うのが困難になるなど、とにかく差し合いに長けた選手やファイターが評価されていました。

4年前トッププレイヤーが語った強キャラの条件。
6/11が差し合いに直結した内容。

しかし今年になり「1タッチで出来るだけ大ダメージを与え、相手を撃墜するのに必要な差し合いの数を減らす」ことに長けた選手やファイターが結果を出すようになります。

今年最後の400名以上参加大会「マエスマTOP #10」の優勝選手。
全員、差し合いがトップクラスで、かつ1タッチで大ダメージを与えることを得意としている。


ものすごく大雑把な例を出せば、3回差し合いで勝利すれば相手を撃墜できる選手と8回差し合いで勝利すれば相手を撃墜できる選手が退治したとした場合、後者が先行して撃墜するには10回中8回差し合いで勝たなければなりません。スマブラSPの競技レベルが上がったことで、差し合いの差が少なくなってきたことも影響し、それは非常に困難です。

そもそも差し合いが、相手に攻撃をされるリスクがある行動だとも言えます。もちろん差し合い性能の高いファイターを使用していれば、有利なじゃんけんをしかけられますが、読み合いがある以上リスクがないわけではありません。
1タッチで大ダメージを出す選手が増えると差し合いのリスクは更に高いことになります。


あcola選手が使用するスティーブの評価が一変したのもこの「1タッチ高リターン重視」の戦いを最も再現しやすいファイターだからです。
スティーブの差し合い性能はそこまで高く評価されていませんが、ローリスクな技を1つ当てただけで蓄積40~60%稼いだり、場合によっては撃墜まで持って行けるため、そもそも差し合いをする回数が少なくて済むのです。

今年のvs Anathema選手第1試合で
あcola選手の差し合いで撃墜まで持っていく上手さが存分に出ている


現在ではスティーブだけではなく、できるだけ1タッチで大ダメージを与えたり、撃墜まで持っていけるような戦い方やファイターを使用する選手が目立ち始めてきています。「1タッチ高リターン重視」は競技スマブラを大きく動かしてきています。

Kurama選手も1タッチ高リターン重視によって
更に高い活躍を見せた。



4.革命の共通点


メジャーリーグと競技スマブラで起きた革命について、大雑把ですが紹介させていただきました。ここからは両者の共通点について語らせていただければと思います。


1.ゲームチェンジャー的存在

まず最初の共通点は、メジャーリーグではアストロズ・競技スマブラではあcola選手のようなゲームチェンジャー的存在が、革命によってそれまでの強豪をなぎ倒した点です。

それまでの強豪が極めていた理想の戦い方とは、少し違った方向で効率のよい戦い方だったため、ライバル達は対応が追いつかないままにトップに立てたという印象です。


2.勝利条件を効率的に追求

野球の勝利条件は相手より点を取ること、スマブラの勝利条件は撃墜すること。塁に選手をいくらためても、相手の蓄積パーセントをいくらためても大きな意味がないのだから、勝利条件をどうすれば効率的に達成するかといったところから出てきた戦術というところが非常に共通した部分です。


3.読み合いの減少

次の共通点はどちらの革命も読み合いを減らした点です。
対戦相手の行動が関係してくる読み合いは、読むことが難しいので不確定要素となります。「とにかく高く打ち上げる」「とにかく読み合いを減らして撃墜する」という戦い方は相手との読み合いを極力減らし安定的な戦い方になります。


4.豪快だが淡白なゲーム展開

野球の華はホームラン・スマブラの華は相手を撃墜する瞬間です。どちらの革命もその華を積極的に生み出そうとする革命なので、特に始めてみる方にとって豪快で迫力のある絵に映ります。

逆にあまりにもあっさり華のあるプレーが出てくるため淡白な印象になり、特にそれまでの対人同士の読み合いを観ることが好きだった方にとっては、凄さを感じにくく退屈に見える場面もあります。


5.競技が進化したからこそ

最後の共通点は、競技レベルが進化したからこそ起きた革命だということです。
メジャーリーグで言えばハイテク機器によって見つけ出された戦術であり、競技スマブラも発売から4年経って全体の差し合いレベルが近くなってきたからこそ成り立っている戦術です。

一見シンプルに見えるので凄さがわかりづらいですが、どちらも競技として進化したからこそ生まれた革命であり、その実現を目指そうと選手が技術を磨いていることは間違いありません。



5.最後に


ここまでメジャーリーグで起きた革命と競技スマブラで起きた革命を比較しました。カンタンに言ってしまえば、両者とも競技レベルが進化したからこそよりシンプルで読み合いの少ない戦い方の効率性がよいことに気がついたという点で共通しています。それが従来のこうあるべきという固定観念を覆したのです。

しかし、その戦い方がベーシックとなった今、さらに新たに変化していく可能性があります。
実際メジャーリーグも以前よりはフライボール革命の波は収まってきていますし、競技スマブラも差し合いの上手い選手が再びトーナメントの上の方で活躍する場面が増えてきています。

このように競技を観戦する醍醐味は、戦い方が常にアップデートされていく面白さであり、その中心には必ず選手やチームの努力が新しい革命を起こしていきます。

特に競技スマブラはどのように進んでいくか、現状想像がつかない状況になっています。発売して4年も経ったという説明をしていましたが、まだ4年しか経っていないということでもあります。今後の競技スマブラの進化に期待して終わりとさせていただきます。




私は普段スマブラ観戦にまつわることで、Twitterに画像を投稿したり、noteに記事を書いたりしております。自己紹介記事を投稿しているので興味がある方はこちらも是非ご覧ください。

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