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防災ブラチャリリ3 〜気仙沼大島津波石碑めぐり〜

気象予報士の加藤史葉@WeatherDataScienceです。
防災に関する設備や記念碑などをめぐり、防災に関する知識・興味を広げていく『防災ブラチャリリ』シリーズをnoteで公開しています。

今回は特別編として、来春スタートのNHK朝ドラ『おかえりモネ』の舞台に決まり盛り上がってる “宮城県気仙沼市” をテーマにしたブラチャリリを、前編・後編の2回に分けて公開します。
前半ブラチャリリは、気仙沼大島。
そして後半は、気仙沼市内中心部をめぐります。

それでは、防災ブラチャリリ 〜気仙沼大島津波石碑めぐり〜 行ってみましょう!

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【津波石碑1】@気仙沼市長崎

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環境省選定の 『快水浴場百選』で特選(全国2位)に選ばれたことのある小田の浜海水浴場や長崎漁港から北方向の、少し高台になったところに津波石碑がありました。

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“MEMORIAL OF THE GREAT EARTHQUAKE AND TIDAL WAVE” や “昭和八年三月三日午前二時丗二分地大震也” と刻まれてるのを見ることができます。

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漢文で書かれてあり、全ては分かりませんが、
この地に生きていた人が、遠い未来の子孫のために記録を残し、そして継いでいって欲しいという強い思いが伝わってきて、江東区波除碑めぐりの時と同様に、胸熱。

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【津波石碑2】@気仙沼市横沼

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遠くに海が見える龍舞崎へ向かう通りの脇に津波石碑がありました。

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“大地しんそれつなみ” と書いてあります。
地震=津波。「地震が来たら、シンプルに、とにかく海から逃げてほしい」という先人のメッセージが伝わってきます。

こちらの石碑には、昭和8年の津波の記録と合わせて、明治29年6月15日の津波では61人の死者が出たことも記録として刻まれていました。

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【みちびき地蔵】@田中浜

気仙沼大島に古くからあるみちびき地蔵
死者を極楽浄土へ導くという言い伝えがあります。

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並んでいる6体のお地蔵様は、2012年に再建されたもの。
もともとあったお地蔵様は、3.11の津波で流され行方不明になっていたのが、2013年に瓦礫の下から発見されたそうです。

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2013年に発見されたお地蔵様は、こちらの地蔵堂に祀られています。

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みちびき地蔵の案内板。
“逃げ遅れた61人の村人” と書かれてますが、横沼にあった津波石碑2に刻まれていた明治29年の津波の記録と一致してますね…

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『まんが日本昔ばなし』でもこの案内板の内容が描かれていました。
端午の節句に津波が起きたストーリーとなっており、明治29年の津波が起きた6月15日は、旧暦の端午の節句と一致するので、案内板の内容も明治29年のお話だと推測します。

ところで、『地名は知っていた 上―津波被災地を歩く 気仙沼~塩竈 (河北選書)』という本に、以下のような記述がありました。

みちびき地蔵の近くに卵のような形の供養碑もあった。この石の下には津波で亡くなった人が埋められた言い伝えがあり、石には「延享元年(1744年)」と彫られていた。

みちびき地蔵の右脇をちょっと進んだところに、卵形の石がありました。
これがその供養碑なのかな??
「延享元年」の彫文字は見つけることができませんでした。

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大島の美しい海と津波による破壊とを何百年も前から見つめてきたお地蔵様に思いを馳せながら、田中浜を後にしました。

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気仙沼大島津波石碑めぐり、終了!


おまけ1:漁師の観天望気@気仙沼長崎漁港

気仙沼といえば、海の幸。
海の幸といえば、経験と勘による観天望気で天気を予想する漁師さん。

ということで、
気象データに基づいて天気を予想する気象予報士が、気仙沼大島の漁師さんから観天望気の技術を授かろうと、長崎漁港で作業しているおじさんに近づき…

私:「何をしていますか?」
漁師:「養殖筏に括り付けるホタテ貝の表面をキレイにしてるんだよ(と多分仰った、方言が強く全てを聴き取れない)」
私:「大島の漁師さんの観天望気を教えてください」
漁師曰く…

・なり風(西風)の翌日は海が荒れる
・こち風(東風)は外海から波が入ってくる
・小田の浜から西方向に見える山に雲が掛かれば漁に出ない(天気下り坂)

後日調べたところ、山に並んで(沿って)吹く風を意味する “ナライ” という言葉があるそうで、気仙沼地域では北西風のことを指し、湾にいる船が外海へ出るのにナライを利用していたそうです。
気仙沼で北西風が吹く条件で思いつくのは、西高東低の冬型気圧配置。 
低気圧が発達しながら日本の東へ抜けると、気圧配置が西高東低に変わることで北西風が卓越し、湾内にいる船にとっては外海へ出るのに好都合だけれど外海は荒れるから気を付けるべき、という観天望気だと解釈をしましたが、合ってるかな??

湾が南東に開いている気仙沼にとって東風が卓越している状況は、外海からの風浪が湾に入ってくる、という解釈で良いような気がします。

おじさんが指差した、小田の浜から西に見える山が具体的に何の山だったのか、地図を見ても特定できなかったのですが、一般的に西から天気が変わるので、西の景色にある山に雲が掛かれば天気下り坂のサイン、という話なのだと思います。

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漁師:「なり風・こち風は昔っから言われてたけど、オレはようわからん。親父ぐらいまでかな、観天望気が染み付いてるのは…」
漁師:「そんなことより、ホタテ貝にくっ付いてたホヤ貝の子供あげる、ほい」

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私:「あ、ありがとうございます…(ちっちゃくてカワイイ)」


おまけ2:美しい太平洋!絶景!@龍舞崎(たつまいざき)

透明度の高い、美しい海を望める、龍舞崎
大島に訪れる際は、ぜひ足を運んでみてください。
軽いトレッキングのような感じなので、スニーカーで!

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