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イタリアのクリスマス

 昨日12月26日は、イタリアは「聖ステファノの日」で祝日。カトリック教会のカレンダーでは1年365日、それぞれにさまざまな「聖人」が割り当てられているのだが、そんな毎日が聖人の日の中で、なぜこの日は祝日でお休みなのか、ちゃんと調べたことはないけれど、おそらくそれは「クリスマスの翌日」であるからに違いない、と思っている。

 イタリアのクリスマスについては、たくさんの人があちこちで書いたり(最近は動画で紹介したりして)いるし、私自身はそれほどイタリアらしいクリスマスを送っているわけでもないけれど、どんなもんなのか、ちょっとおさらいをしておこうと思う。

交通量の多いヴェネツィア広場のツリー


 イタリアのクリスマスはというと、ツリーは飾るし、もちろんサンタさんも来る。ただ、クリスマスがなにやら特別にロマンチックなイベントかというと、全く違う。むしろ、25日は、家族親戚一族郎党が一堂に集まっての大食事会となるのが一般的で、どちらかというと、日本の(ひと昔前の)お正月に近い。25日のお昼に集合する場合が多いようだけれど、地域や家族によっては、24日の夜、あるいは25日の夜、または1回に限らず複数回・・・ということもある。夫婦やカップルなど、当然それぞれの家の行事に出席することが望まれるから、比較的近隣であれば、2日間で調整することになる。遠隔地の場合は・・・どちらかが折れるか、あるいは年交代にするのだろうか?いずれにしても、クリスマスに実家にいない、という選択はなかなか難しい。
 食事会は、レストランなどを利用する場合もあるけれど、誰かの家に集合するパターンが圧倒的に多いと思う。お料理やもてなしが苦手な家は大変だと思うが、親戚の中には大概一人くらいは料理自慢の人がいるのだろう。

クリスマス料理定番の一つ、具入りパスタのスープ


 クリスマスの大食事会で、何を食べるのか?は、地方や家庭によってかなり違いがある。24日は(肉食を断つため)「魚」を食べる、という風習もあるようだが、私は残念ながらそうした機会に出会ったことがない。一方で25日については、前菜、パスタ、メイン(お肉)、とフルコースなのは間違いなく、前菜は言うまでもなく、なんならパスタやメインも複数種類出てきたりする。パスタは、「トルテッリーニ」のような具入りパスタのスープが定番というところもあれば、ラザニアのような豪華感のあるものの場合も。つまり、それこそお節やお雑煮と一緒で、みんなそれぞれ違っていて、それがまた興味深い。お肉は、煮込みやローストビーフのような、作りおきができるものが中心なのも、やはりお正月料理と同じ。
 お腹がはち切れんばかりであろうとも、やはりデザートは欠かせない。
 そう、何しろたくさん食べる。人によっては、2日間で、2軒はしごだったりする。そして一度にたくさんの人に会ってわいわいと飲食するから、やっぱり疲れる。だから、26日は胃を休め、体を休め、ちょっと外を散歩したりするために、お休み・・・なんだろうと思っている。同じくご馳走をたらふく食べるイースターの翌日も、お休みだから。

 クリスマス、12月25日は、降誕祭と言われ、つまりイエス・キリストが生まれた日として、カトリック教会においては、イースター(復活祭)と並び重要な祝日にあたる。ふだんはすっかり教会とは縁遠くなっているイタリア人も、24日の夜または25日だけは、教会のミサに参列したりするから、この日は教会がいっぱいになる。それもまた、お正月には初詣の人で神社が賑わうのとよく似ている。
 この時期、イタリアの教会には必ず、「プレゼピオ」または「プレゼーぺ」と呼ばれる、キリスト生誕の場面を再現した人形セットが置いてある。生まれたばかりのキリストのベッド代わりに使われたとされる「かいばおけ」は、24日まで空っぽのまま。そして、24日の夜のミサの中で、「救世主キリストが生まれた!」と宣言されると、幼児イエスの人形がうやうやしく所定の位置に収められることになる。

バチカンのサン・ピエトロ大聖堂のプレゼーぺ


 日本の松の内、じゃないけれど、イタリアのクリスマス期間は、東方の三博士がイエスの誕生を祝いに訪れる「公現祭」、1月6日まで続く。とはいえ、イタリアのカレンダーでは、25日、26日が祝日で振替休日はないから、27日からは平日、1月1日は祝日だけどこれも日曜日で、今年はなんだかお休みの少なめな年末になる。
 24、25日は家族で過ごしたのであろう人々、2日間の満腹を消化しようと街ブラの人々、学校のお休みに合わせて一家で旅行中らしき人々、そしてたくさんの外国人観光客・・・26日のローマの街中は、びっくりするくらいの人でごった返していた。

スペイン広場のツリー

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27 dic 2022


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