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【短編小説】魔女の弟子になりたくて第十話


リリーは師匠を送りに「あちらの世界」につづくドアの前まで来た。

「じゃ、お茶、ごちそうさま。たまには連絡ちょうだいね」

「田中さんから近況報告は入ってるんじゃないですか?」

「もう、あなたから聞きたいのよ」

師匠はまた「じゃ」と言って、ドアに手をかけたが、振り返りリリーを見た。

「花菜ちゃんの弟子の件、あなたの好きになさい」

ずっと弟子をとれと言っていたのにどうしたのだろう。

「色々心配したけど大丈夫みたいだから」

師匠はにこやかに笑った。

「大丈夫ですよ」

リリーは片方の口角を上げた。

「じゃ、行くわね」

そういって、師匠はもといた場所に帰っていった。
リリーはしばらく師匠が出ていったドアを見つめていた。
そして肺に息をいっぱい入れ、吐き出した。

「さて、どうするか」




「200枚なんて無理だ」

「おい、泣き言っている暇はないぞ」

アッシュにそう言われ、花菜はまた目の前のイラクサをむしり取った。

「花菜ー!アッシュー!お茶にわよー!」

リリーさんの声だ。この作業から解放される。
花菜とアッシュは急いで店のほうに戻った。

ドアの前でリリーが待っている。
機嫌はそこまで悪くなさそうだ。

「どれくらいとれた?」

「えーと、たぶん100枚いかないくらいかと」

花菜がか細い声で答える。

「あっそ、バカ弟子にしては頑張ったじゃん。さ、お茶にするよ」

「え、リリーさん今」

そういう花菜を無視してリリーはさっさと調合室に入ってしまった。

花菜とアッシュは視線を交わす。
二人でにやっと笑ってから走ってリリー続いて調合室に入っていった。

(完)

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