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ハイキングに行って、ワインの香りについて考えを巡らす

こんにちは。
オーストラリアに住んでいるフミです🍇

先日は、友達とハイキングに行っていました。
タートルヘッドロックというところで、
私の家からは車で1.5時間。

はじめはやや上り坂という感じだったのですが、
どんどん急になっていきます。

あれっ、これはハイキングでしたっけ、
ロッククライミングでしたっけ?
腕が筋肉痛になるハイキングは、稀です。

見晴らしが良いのはむしろ中間地点でした。
それにしても、曇りの日だなあ😂
このあと土砂降りだったから、ラッキーと思おう。

ゴールの、亀の形をした岩に登る友人。
勇敢。


ハイキングコースは、まあいいのです。
ハイキングなんて、オーストラリアの至る所で、
いつでもだれでもできます。


この森に入った時に、懐かしさに襲われたのです。
その原因は、ユーカリの香り。
今年の2〜4月にいたワイナリーで、
毎日心地よく香り続けていた、爽やかな香り。

しみじみと、香りって記憶と結びついているよなあ、
なんで、いつ嗅いだ匂いか思い出すんだろう、
そんなことを考えながら、ユーカリの葉を拾う。
まだ緑の葉は、ちぎるとそこからスッとした香りが。
うーん。好きだなあ。オーストラリアの香り。


3年ほど前に、きちんとワインの勉強を始めて、
そこで知った「ユーカリ香」という言葉。
オーストラリアのシラーズは、ユーカリの香りがする。

初めて知った時は、そんなバカな、と思いました。
オーストラリア=コアラ=ユーカリ
そんな香りがついているなんて、本当?
でも、本当なんですよね。

温暖で日照量もしっかり、熟して収穫される、
オーストラリアのシラーズの味わいは、
ふくよかで果実味たっぷり、タンニンはソフトな印象。
そこにアクセントを与える爽やかなユーカリの香り。
わたしは大好きになりました。


ブラインドテイスティングをしていても、
シラーズはなんだか分かりやすくて、
嬉しかったのも懐かしいです。
きっと、好きだったからですね。

ユーカリの葉を嗅ぎながらそんなことを考えて、
でも、テイスティングに自信がなかったことを
ぼんやり思い返していました。


ソムリエ試験対策のテイスティングの授業では、
正体を明かされないままのワインが配られます。

それを各々嗅いだり飲んだりして、
香りや味わいにどんな特徴があるか、どんな品種か、
産地はどこで何年ごろに作られたものか、
アルコール度数はどのくらいであるか、
などを考えて、メモを取っていきます。

そのあと、先生が正解とともに、
こんな香りがしますね、これをヒントにしましょう、
などを解説していってくれる形式です。


そんな授業を受けていく中で、
一番わたしにショックを与えたときのはなし。

ローヌのシラーをみんなで飲みながら、
「これはかなりはっきり胡椒の香りがしますね」
と言う先生。
当時教わっていた大塚美咲先生は、
ブラインドテイスティングの大会でも活躍する方。
(ちなみに、めちゃくちゃお綺麗でお若い)

「ははあ、わたしは全く胡椒の香りを感じないけど、
 さすがはテイスティングが得意な先生だなあ。」
そんなふうに思っていたのですが、
周りの人たちが、うんうん、と頷くのです。


その空間に、胡椒の香りを感じないのはわたしだけ、
と思うほどみんなが「分かる」反応していました。
その芳香物質の名前は「ロタンドン」。

わたしの鼻はめちゃくちゃ悪いのかもしれない。
ソムリエの試験には受からないんじゃないか。
ショックが大きかったです。

その一回だけでなく、胡椒の香りと言われる時が、
毎回分からないのです。
どんなに探してもちっともピンときません。


ある授業の後、大塚先生に
「どうしても胡椒がみつからないです。」
おそるおそる質問しにいくと、
「そう言う人もいますよー😊」
と、あっさりおっしゃいました。

ピノ・ノワールのスミレの香りや、
ローヌのシラーの特徴である胡椒など、
様々な香りがありますが、感じられない人が
ある程度の割合でいるものらしいのです。

でも、それ以外の要素から、
ワインの特徴を感じて探し出していけばいい、
そう言ってくださったのでした。


自分のわかる香りから感じるしかない、
当たり前のことだけど、言っていただけて頑張れて、
幸い無事試験には合格したのですが、
いまだにロタンドンを見つけることはありません。

※ちなみに、胡椒をそのまま嗅ぐときは
ちゃんと香りを感じます。
わずかに含まれているという場合、
見つけるのが難しいようです。


自分が感じられる香り、味わい。
自分が好きな香り、味わい。
それを大事にして楽しんでいけたらいいですよね。

ユーカリの葉が、
しみじみとそんなことをまた思わせてくれました。

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