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ワインの味を決める『選択』

こんにちは。
オーストラリアのワイナリーで働いているフミです🍇

とうとう明日、
今期初めてのぶどうの収穫です✨


私のお世話になっているワイナリーは夫妻で経営していて、
なんでも2人で相談して決めます。


なんの品種を作るか
どのくらいの量作るか
どんなスタイルにするか
どこの畑から買うか
どの価格帯にするか
デザインは?
営業先は?
輸出先は?

決めることは無限にあるのですが、
私がいる前でも、普通に相談してくれるので、
(ときには意見も聞いてくれる😳!)
大変勉強になります。

そんな中から、いくつかピックアップして、
ワイナリーでどんなことが考えられているか、
お伝えできればと思います👍


① 収穫時期

以前、こちらの記事で、
収穫時期を決めるための
サンプリングの話をしました。

ここでは、どうやって収穫時期を決めるか、
流れを書かせていただいたのですが、
ここでは深い意見交換が行われるのです。


もう、収穫どきだと思う

まだ熟させるべきだと思う

これとこれをブレンドしたらどうか

こっちの方がいいと思う


当たり前と言えばそうなのですが、
夫婦間でつくりたい方向性は一致しているものの、
ディティールになると考え方が違う時がある。

収穫期直前になると、
よりアツい意見交換になっていて、
新鮮でした。

糖度がグッと上がる時、
酸度はガクッと下がってしまったり、
それにプラス、フレーバーについても考えを巡らせる。
見極めが非常に難しい。


ただし、不意に
「フミはどう思う?」
と聞かれるとタジタジ!

ブドウジュースからワインになる、
味の変化がイメージできず、
う、ううーん、と言葉に詰まります😅


② 手摘み or マシーンピック

ワインにお詳しい方はご存知と思いますが、
ぶどうには大きく分けて2つの収穫方法があります。

人が手で摘むか、
機械で収穫するか。

手で収穫する場合は、ご想像の通り、
房ごとカットして、カゴに入れていく。

機械が収穫する場合は、
大きな機械で木を揺らして果粒をカゴに落とす。

シャンパーニュなどの銘醸地では、
シャンパーニュと名前をつけて売るには
手摘みしか認められていなかったりして、
手摘みが良い、というイメージがありますよね。

果実にダメージを与えず、選果も出来る、
手摘みが良いのはもちろんそうなのですが、
何ヘクタールという土地のぶどうを、
人を雇って収穫するには、大変お金がかかります。

ワインメーカーも生活がかかっていますから、
コストも大事です。

ここでポイントになるのは、
機械収穫の場合、ぶどう果粒なのに対して、
手摘みは房まるごと使えるということ。

一般に、房も一緒に発酵させることで
複雑性や奥行きが出ると言われています。
選択する・しない、またその割合は生産者によります。

ブドウの何%は手摘みによる全房で欲しい、
という視点から、
どの畑は手摘み、どの畑はマシーン、
という風に分けていきます。

これも、何%まで機械にするか、
それをどの畑にするか、
よく議論が繰り広げられています。


③ 出荷時期

これは本当に、
働いているからこその楽しみ。

ワイナリーでは、
ワインを作り、ボトルに詰め、出荷しています。
その出荷時期を決めるのもワイナリー。

瓶に入ってからも、ワインは熟成されて
味わいを変えていくのです。

特に、ボトリング(瓶詰め)した直後は
ワインが動かされてストレスを感じていて、
瓶に入ってからある程度落ち着かせて
様子を見てリリースしてあげるそう。

昨日の夕食では、リリース前のシラーズをチェック。

ボトリングから半年経ったそうですが、
まだ硬さや緊張感のある印象。

あと半年くらいはリリースせず持っておくか〜
なんていう話もしつつ。

夕食の時間を生かして、
リリース時期の相談をしています。


リリースするまで売り上げにならず、
ワイナリーとしては
早く売り始められる方がいいかもしれませんが、
手に取った人が美味しいと思える時期を
見極めて出しているのですね。

裏を返せば、市場に出ているワインは
熟成の可能性はあれど、
もう飲んでも美味しくいただける保証つき。


④ テイスティングノート

ワイナリーでは、
今年のこのワインはこんな味わいです、
という自己紹介を書いています。

開けてすぐ、次の日、また次の日、と飲みながら、
ワイナリーのメンバーでコメントします。

レモンっぽい
パイナップルのよう
はちみつみたい

完全にクランベリー
ガメイっぽい
果実味が豊か

それぞれ出し合いながら、
いや、そうは思わない、
というのももちろん言いながら。

これもまた、楽しい時間です。


ワインはたくさんの選択がなされてできていく。
その選択の中に、メーカーの哲学がこもってる。
それを日々相談し合って、
自分たちの思うものをつくる〜

とても素敵な現場を
日々見させていただいているありがたさ✨

また様子を
お伝えできたら嬉しいです😊

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