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対談の段/金曜日「絵本たちのいるところ」2021.6.25/譜面合間日誌(平日)

こんにちは。
「譜面合間日誌」金曜日担当の河﨑です。

今週はスペシャルウィークですね。
これまでは、成人した私の個人的な話を徒然なるままに書き連ねてきました。

今回スペシャルウィークの企画を考えていたときにふと思ったことがあります。
これまでは、成人して数年経った私の視点からのみの文章を書いてきました。

そこでスペシャルウィークでは、子どもにとっての絵本とはなんなのかを考えてみたいと思いました。

つまり

幼稚園の先生にお話を聞けたらいいな〜


というわけで、園長先生をお呼びいたしました。
市川学園第2幼稚園の園長先生、白金顕さんです。

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白金顕
市川学園第2幼稚園園長
三井生命社員を経て、平成15年に学校法人市川学園へ。
平成22年4月より、市川学園第2幼稚園勤務となる。


幼稚園の現場ではどのような絵本の取り扱われ方をしているのか?
そして白金さんの考える絵本の魅力とは。
詳しく聞いてみたいと思います。

(河﨑)
本日は、よろしくお願いします。

(白金さん)
よろしくお願いします。

(河﨑)
普段はどんなお仕事をされているんでしょうか。

(白金さん)
千葉県市川市にある市川学園第2幼稚園というところで園長をしています。

(河﨑)
今回は対談を受けてくださり本当にありがとうございます。

では早速、お話しの方に移らせていただきたいと思います。
白金さんが園長を務められている市川学園第2幼稚園ではどのような取り組みをされているのでしょうか。

(白金さん)
幼稚園としては、先生方がクラスごとに帰る時間の前に絵本や紙芝居を選んで読む時間を設けています。後は、「100冊の絵本」というオリジナル冊子があります。

(河﨑)
常に絵本が近くにあるのってすごくいいですね。
白金さんが絵本と積極的に関わっていこうと思ったきっかけはなんでしょうか。

(白金)
昨年から、この「100冊の絵本」をもう1回新しく更新しようっていう話が出ていて、この「100冊の絵本」は私が幼稚園の園長になる前に編集が終わっていて、今回はできるだけ自分も関わりたいなと思ったのがきっかけです。

(河﨑)
なるほど。

(白金さん)
その後に、新型コロナウイルス感染症の影響で、これまで土日に行っていた息子の野球の応援に行けなくなってしまって、そのときに家で今できることってなんだろうなーって考え、一番パッと思い浮かんだのが、絵本と向き合うことだったんですよね。

(河﨑)
絵本と向き合うですか。

(白金さん)
本当に1年間かけてとにかくいろんな本読みました。
ただ、闇雲になんでもでもかんでも読むのではなくて、いろいろなところで紹介されていたり、人のおすすめの絵本を聞いたりして、買ったり、図書館で借りたりしました。
これまでほとんど絵本を読んでこなかったんですけど、この1年間で約1200冊ぐらい読みました。

(河﨑)
1200冊ってすごいですね。

(白金さん)
土日はほとんど絵本に費やしてましたね。
だから本当にこの1年って感じですね。絵本と向き合ったのは。
やっぱり「100冊の絵本」を作るにあたって、100分の100冊だと全く意味がなくて、でもまあ1200冊でも多分足りなくて、ほんとはね、もっともっと素晴らしい本があると思うんですけど、まずはひたすら読んでみて、子ども達に伝えたいなって思ったという感じです。

(河﨑)
1200冊以上読んでみて感じたことなどありますか?

(白金さん)
そうですね。
絵本の奥深さだったり、こんな世界だったんだなって大人になって読むと改めて感じるところは多かったですね。

(河﨑)
ありがとうございます。
それでは次の話題に移らせていただきたいと思うんですが、今回対談のお声がけさせていただくきっかけにもなった取り組みなんですが、今年の3月に行われた「絵本遠足」についてお話をお聞きしてもよろしいでしょうか。

(白金さん)
絵本と向き合わなければって思った時に、色々検索してみたんですね。そうするとクレヨンハウスという場所で、子どもの本の学校というイベントを年間通して毎月1回作家の人を呼んでるっていう定期的な講演を見つけました。
その時にこれはもう行かなきゃいけないって思ったんです。そこで色々お話しを聞いたりして、絵本自体だけでなく作家さんの背景などを知れば知るほど、絵本ってここまで興味深く読めるんだってことを知りました。

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クレヨンハウス表参道(東京店)

(河﨑)
クレヨンハウスさんって本当にすごいいい場所ですよね。
私も地元にクレヨンハウスがあって、小さい頃よく通ってました。

(白金さん)
そして、クレヨンハウスさんに定期的に通うにつれてここで何かをやりたいと思いました。
このクレヨンハウスという絵本に溢れた環境に子ども達が来たらどんな反応をするだろうと思って、担当の方にぜひ子ども達と遠足に来たいと提案させていただきました。
その際に、親と行くと親主導になってしまうので、親は同行せず子ども達だけでいくということを考えました。そうなると年長さんぐらいでないと、中々電車乗ったりして移動するのも難しかったりするので、任意参加の卒園記念遠足という形で、クレヨンハウスに行き、子ども達が自分でお金を出して、自分で買う。自分一人で選び、自分で買う。
その後に、子ども達になぜその本を選んだかっていう事を発表する機会を設けました。
そんなふうに主体性を持って本を選ぶことでその本が一生の思い出になったらいいなという思いから、企画しました。

(河﨑)
素晴らしい企画ですね。
絵本って幼稚園に置いてあったり、親が選んだりすることが多いので、そういった主体性を持って、自分で絵本を選ぶというのは、幼稚園の時に本来出会わない出会い方ですね。

(白金さん)
終わった後に買った本を毎日毎日読んでいた子もいたそうです。
そういう話を聞くと、絵本遠足を企画した意義はあったなと思っています。

(河﨑)
自分の一冊って本当に思い出深いですよね。
そのような様々な取り組みをされている白金さんが最近一番面白かった絵本ってなんでしょうか。

(白金)
たくさんあるんですけど、まず一つ目は

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『青の時間』
とても芸術的な作品で、私が青色が好きなのもあるんですが、非常に好きな作品の一つです。娘が鳥好きで、この作品に鳥がたくさん出てきたりすることもあって大切な一冊です。

二つ目が一番紹介したい作品なんですけど、

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『なみ』
私が最近一番感動した作品です。
これの何がすごいかって、白と水色と黒しか使っておらず、しかも文字もなくて、絵だけという作品なんです。
女の子の表情が実に鮮やかに描かれていて、言葉は全くないんだけど、かもめや女の子、波の表情や音が聞こえてすごく心に響きました。
それらを絵だけで表現できるっていうことの凄さが初めて出会った感覚だったので、今私が特に一押しなのはこの『なみ』という作品です。

(河﨑)
ありがとうございます。
今回お話を通して、広げていくということを意識しながら絵本と接せられている白金さんのお話をお聞きして、絵本の根源的な驚き、喜び、面白さみたいなものを改めて感じることができた、すごくありがたい時間でした。
本当にありがとうございました。

(白金さん)
こちらこそありがとうございました。


【今週の何か】

それな

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