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本が売れない時代に、バカ売れしている文庫本を読んでみた【#ミステリー小説が好き】

本が売れない時代である。
売上は、今や紙の書籍より電子書籍の方が上だという。

それにも関わらず、今、増刷を重ねている紙の書籍があるらしい。
SNSで話題となり、テレビにも取り上げられた、

杉井光・著『世界でいちばん透きとおった物語


透明感のある表紙が、なんとも印象的だ。

どこの書店でも平積みされているから、見かけた方も多いかも知れない。
正直「若者向けかなぁ」と思って、手に取るのを躊躇していた。
こちとら、いいトシした大人だしね。
正直、酸いも甘いも噛み分けると、この表紙の透明感に気後れすら感じる。

でも
電子書籍化絶対不可能!?
ネタバレ厳禁
なんて帯で煽っていて、気になる作品なのだ。

あらすじを読むと、
大物ミステリ作家が亡くなって、その隠し子である主人公が、父である作家の遺稿を探すため、いろんな人々に会いに行くという物語。
らしい。
遺稿はどこにあるの?とか、そもそも作家はどんなお話を書いてたの?とか、いろいろ気になっちゃうミステリーだという。

シンプルだし、言っちゃなんだけど地味だし、硬派な話に思える。
勝手にキラキラした物語かと思っていたので、思わず拍子抜け。
手にとってみると、ページも235ページ。
今時の文庫本としては薄い。
さらっと読める分量だと思う。

何がそんなに人を惹き付けるんだろう。
思いきって読んでみることにした。

結果。

ぐぁぁぁぁ。
これ、具体的なこと、何も書けんやつー。
ひとつ言ったら、全部ネタバレしそう。
確かに紙の本でしかできない。
電子書籍化どころか、マンガやドラマ、映画などメディアミックス化しても面白くならないだろう。

作者が影響を受けたであろう書籍も、遥か以前に読んだけど、その話もできないのよ。
すべてがネタバレで。

「読んだら語り合いたくなる」ってこういうことかぁ。
これは売れるよなー。

いやぁ、なんでこんな作品書いちゃったんだろう。
作者さんはじめ、ありとあらゆるこの本の制作に携わった方の労力に頭が下がる。

多分、"すれっからし"の本を読み慣れた読者なら「衝撃のラスト」ってヤツに気づいちゃうかも知れない。

だからビックリしたい方は、前情報なしで純粋に主人公と共に、"遺稿のありか探し"という旅を楽しむとよいと思う。

紙の書籍、万歳!
気になった方は、ぜひこの作品をお試しあれ。

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