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スッポンの絶食

今年の春は気温が上がるのが早かった。桜の開花時期も例年より一か月近く早まったらしい。

毎年春になると我が家で飼ってるスッポンのポンちゃんには餌を全く食べない絶食期間がでてくる。丁度この時期はスッポンの産卵時期で産卵前になると、餌を食べなくなるのである。
その期間はだいたい一週間ぐらい、去年は一か月近く食べない期間もあった。そしてある日突然卵を産み、次の日にはまたあの絶食が嘘みたいに餌を食べるようになるのだ。

例年は春といっても毎年5月ぐらいにその絶食の時期が来るのだが、今年は桜の花も開花時期を早めたように、我が家のぽんちゃんも例年より早い3月の半ばから急に嘘みたいに餌を食べなくなった。

生き物を飼育するうえで食欲というのは健康状態の目安になり、注意を払うべきなのだが、この絶食期間中は、餌を食べないということ以外は、健康時と全く変わらず表情もイキイキしており、時期的にみても少し早いがいつもの産卵前の絶食だと察することができた。
この時のいつもの対処方は気長に卵を産むまで様子を見守ってやることで、今回も給餌を止め卵を産むのを待った。

そして時は過ぎ、いよいよ5月にさしかかろうとしていたのだが、ぽんちゃんはいうと未だに餌を食べてなかった。
水槽の前に立つといつものように寄ってきて前足を振り振りし愛想を振りまいていたので馬鹿な俺は安心してしまっていた。しかし明らかに痩せてきている。そしてとうとう愛想を振りまくのもやめ水槽でじっとするようになってしまった。

これはさすがにまずい。

そう思ってすぐに動物病院で診てもらうことにした。
病院ではまず初めにレントゲン、そして血液検査をした。レントゲンではお腹に卵があるかや、肺に異常がないかなどが分かるらしい。血液検査では栄養状態や感染症の有無がわかるらしいのだ。診察の仕方は人間もスッポンもほとんど同じことに感心した。

検査の結果、ぽんちゃんの体内には生み出せないままの卵が二個、そして長期の絶食による栄養失調、そして衰弱による免疫力低下から細菌感染症も引き起こしていた。

処置としては、卵を形成するためのカルシウム注射、栄養補給の点滴注射、そして抗生剤注射の三本を打ってもらった。
自分の失態でこのような状態にしてまったことが、非常に心苦しく、注射をいやがり、ない力を振りぼって暴れるぽんちゃんを悲痛な思いでみていた。

病院で診てもらった翌日、まだ餌を食べる元気はないが、顔に生気がもどっていて少し安心した。

それからも三日に一回ぐらいのペースで注射を打ちに行き、日に日にぽんちゃんも元気を取り戻し、卵はまだ産めてないが餌も食べるようになった。
そして4回目の診察の時に、この絶食の原因であった卵を産ませるためにホルモン注射をしてもらった。すると注射を打った4時間後ぐらいには卵を産んだ。

そしてぽんちゃんは完全復活を果たしたのだ。今では餌もバクバク食べるし体重もまた増加してきて元気に泳いでいる。

しかし、甲羅の裏側にある感染症の症状である赤い発疹がまだ完全にはひかず病院通いは未だに続いている。

病院へ連れて行こうと決心した時は、本当にもうダメかもしれないと思ったぐらい深刻で、ただただ助かってほしいという気持ちでいっぱいだったので、また元気な姿を見ることができて本当に良かったと思う。

ちなみに今現在治療費は計約7万円になろうとしている。動物病院は保険がきかない分、動物保険などに入っていない場合かなり高額になる。
そんなにお金に余裕のあるわけでもない俺にとってはかなりの痛手になってしまった。

もっと早く異変に気づいて病院に連れて行ってあげていたらここまでなることはなかっただろう。ペットのためにも自分のためにももっときちんと観察して飼ってあげることが大切だと痛感した。

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