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僕、ベタ日記⑭ムーディーな時間

ハロハロ~。みんな~!元気かな?

この前、娘ちゃんが『ムーディーモアくん』と言って、ライトの色を変えてくれたの。何だかいつもより、暗いようなぁー。でもね、僕らベタは明るすぎる光は苦手だから、『これも、いいね!』と思ったんだ。

明かりに映る影…。ん?誰かいるの?よーく、見るとお客さんだぁ~。

(カランカラン~←イメージ)

いらっしゃいませ。《モア・バル》

僕はいつもより、声のトーンをグンと下げて、お出迎えの挨拶をしたんだ。だって、その方がマスターって感じがするでしょ?えっ?違う?

『お客様、お飲み物はお持ちですね?当店は、ドリンク、おつまみは全て、お客様自身でご持参いただくシステムとなっております(カンペキな台本)

僕は少し、かしこまった口調で確認した。だって、『話が違う~!飲み物出せー!!』って言われたら困るもんねっ。質の悪い客って、どこにでもいるらしいし。

『はい。ちゃんと、持ってきました』

『お客さん?何だか、いつもより元気がな…落ち着いているので、別人かと思いましたよ』

『はぁー。実は何だかこの所、さえないお天気のせいなんでしょうけど、気持ちが下がり気味なのです…』

『そうですかぁ。それはお辛いですね…。人間って、色々あるんですね』
『僕には気の利いたことは言えないけど、どうぞ、ごゆっくり』

僕はそう告げると、ヒラヒラとヒレを動かしながら泳ぎ始めた。だって、じっとしておくのは、苦手だもん。娘ちゃんがセットしてくれたムーディーなライトのせいかな?僕のお店、唯一のお客さんであるママがいつもより、大人しい人に見えた。

『モアの目、キラキラしてて、綺麗~

『ママ!モアじゃなくて、マスターだったでしょ!設定、設定!』

『そういう君も、ママになってるよ・笑。私は《お客さん》いや、今夜は《お客様》でもいいかもぉ~』

『(仕方ないなぁ)では、お客さま…。もう酔ったんですか?!(困るなぁ)あれ?お客さま~?どちらへ??』

ママはグラスを片手に戻ってきた。

『ここは落ち着きます。可愛い…いや、失礼。ヒレの綺麗なマスターも居ますし、何より、静かな所が気に入っています』

もう、設定は曖昧になっているけど、まぁ、いいかぁ。ママが落ち着くなら、僕はそれでいい。静かなのは、僕が何も聞かないから…。だって、話したいことがあれば、いつもみたくママから言ってくれるでしょ?

ママはうっとりとした瞳で、僕の動きを追う。『綺麗~』と何度も言ってくれたけど、僕は少し寂しそうなママの目の方がずっと、儚げで美しいと思った。『でしょ?でしょ~?』って、すーぐ調子に乗るから、絶対に言わないけどね!秘密だよー・笑。

初めて会った時から、気になる…ママの視線のその先。

ねぇ、ママは何が見たいの?何を探してるの?

ここへ来て家族になって、毎日一緒に過ごしてるけど、まだ、まだ僕には分からないことばっかりだぁ。

『ママ…お客さま!もう、おしまいです。お店、閉めますよー』

『えー!モア…マスター。もう一杯飲んだら帰るから、いいでしょう?』

『いけません。娘ちゃーん、お願いしまーす

『はい、はーい。おしまいだよ。片づけて、部屋に戻るよぉ』

『楽しかったのになぁ。《モア・バル》ごっこ・笑。ところで、マスター、お会計は?』

『お代は結構です。キリッ!(よし!カッコよく決まった)』
『また、いつでもいらして下さいね。ただし、おかわりは1杯までが当店のルールとなっています』

『はーい。また来ます♡』

『(また来るのか…)ありがとうございましたぁ』

(カランカラン~←イメージ)

ふーう。カッコいいマスターって、疲れるんだねぇ。でも、たまーになら、この妙な遊びに付き合ってあげてもいいよ。ちょっとしてから、娘ちゃんがライトを消しに来てくれた。

人間って楽しそうだけど、大変そう…。みんなにも、ちょっとお疲れの夜に立ち寄れる場所、ちゃんとある??
ふわぁー。疲れたぁ。おやすみなさ~い。

ついに…禁断の扉《モア・バル》を開いてしまいました・笑。娘が水槽を照らす照明の色をカチャカチャと変えて(色合いが調整できます)楽しんでいた所、『ムーディーモアくん』と言ったことがきっかけで、この愉快なごっこ遊びを思い付きました。よく考えてみると、私はいつもモアを『可愛い~♡』と言っていますが、ベタは観賞魚なんですよね。そう!美しい魚なのです。(すっかり、忘れていました・笑)

皆さんも、想像してみて下さい。

ムーディーな照明、その光の中を優美に泳ぐベタの姿を…。いいですよね~♡適当に作ったハイボールも、まるで高級バーの味!(飲んだことないけど・笑)ロマンティックな夜でした。これは、病みつきになりそう~と思いますが、ロマンは時々だからキュンとするもの。それに、ほどほどにしないと《モア・カフェ》までも《出禁》になったら困りますからね…。カフェとバル、マスターは同一魚ですから・笑。

最近、すっきりしないお天気とアレコレとで、モヤっとした日が続いていましたが、こんな風に面白味を見つけて過ごしています。すると、いつの間にやら、心にかかった霧は何処へやら~。『馬鹿らしい…』とモヤモヤの方から出ていってくれたみたいです・笑。すっきりです。ありがとう、マスター❤

それでは、次回もどうぞお楽しみに。


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