差別があったというツイートを通して初めて見えたこと、感じたこと、考えたこと。
noteを開いていただきありがとうございます、
福村です。
約2週間前、帰国するタイミングで起こった差別に対してのツイートをしました。
自分が思っていたよりもはるかに影響力が大きくて、スペインや日本だけではなく、沢山の国の方々から温かいメッセージをいただきました。
本当にありがとうございます。
そして、記事にもなりました。
スペインでの記事では、このツイートの根本的な部分である「私が差別を受けたこと」や「差別はあってはならないという内容」などが載っていましたが、日本での記事の見出しは「私が日本に帰りたい」という私的な感情の部分がメインに書いてありました。
少しだけ説明させてください。
もちろん、ツイートの内容のスペイン語を直接的に翻訳すれば、「私はただ帰国したいだけ」と書きました。「Yo solo quiero regresar a Japón.」の部分です。
これは、差別があったから帰国を希望したのではなくて、帰国のために1日だけ滞在したマドリードで起こったことであり、「なぜ帰国のためにマドリードにいるだけなのに、出て行けと言われなければいけないのか」と悲しくなってそう書きました。
帰国はこの件の1週間前には決まっていたことです。
それを知らなかった方々にとっては、あのツイートだけを見ると、「帰国したいなら戻っておいで」という考えになりますよね。誤解を招いたことについては本当に申し訳ありませんでした。
このツイートの次の日には日本人である私の知り合いから達から個人的に沢山メッセージをもらって、いきなり何事かとびっくりしたのを覚えています。日本で記事として載ってからそれらを見た人たちが、大丈夫?と個人的に送ってくれたメッセージばかりでした。中には電話をかけてくれた友人・知人もいました。
私にとってスペインはとても素晴らしい国です。
でも、マドリードの人々はコロナウイルスによって疲れていた。
私が住んでいたオビエドという地域は、マドリードほど緊張していなかったのも事実です。だからこそ余計に、マドリードで起こったことが冷たい視線に見えたのかもしれません。結果論なので分かりませんが。
差別があったことは変わらないけど、それ以上にスペインという国の素晴らしい部分や良い人がたくさんいることを知っています。そこも変わりません。
スペインが嫌だから帰るのではない。
この国が嫌だということは思っていない。
差別があったことを書いただけ。
そして、オビエドで起こったことではなく、帰国のための移動で滞在しているマドリードで起こったこと。
それはきちんと、ケアをしてくれたチームを含め、スペインの女子サッカー協会の方にもしっかり伝えました。
そして、温かい言葉や励ましのメッセージを送っていただいた皆さんには感謝の気持ちを1日後に、チームのSNSを通して発信しました。
ツイート内容
「沢山のメッセージと抱擁を受け取りました。
私は一人ではないからとても嬉しかった。
私を幸せにしてくれてとても感謝しています。
そしてあなたたちを私の心の中に身につけます。」
映像の内容
「私は日本に行きます。オビエドとスペインのファンのサポートに感謝します。あなたたちは私の心の中にいます。私はここを去りますが、スペインが好きです。オビエドも同様に。なので私はここに戻りたいと思っています。でも今は、あなたたちの未来に沢山の幸運があることを私は待っています。また会いましょう。」
私はただ帰国のためにマドリードにいるだけなのに、、、
このように翻訳されるように書けばよかったのかなと、後になって思いますが、言葉って難しいようでシンプルですよね。
だって、スペインでは流暢に話せないこの自分のスペイン語レベルでもちゃんと本質を記事にしているのに、日本では私的な感情がメインになって、同情の気持ちに誘導させてしまうような記事になっている。
悲しかったのも事実です。
そのことに対して、温かい言葉や励ましのメッセージがすごく心に響いたのも事実です。
でもやっぱり、あのツイートを通して見てほしかったのは、差別があるという事実です。
本当は、帰国してからすぐにnoteにしたかったんですよ、自分の気持ちや想いを。
でも出来なかった。
帰国してから毎日毎日noteに書いては消して、書いては消しての繰り返しでした。
本当に自分はこんなことを発信していい立場なんだろうかということを考えすぎて、発信するからには差別のことを自分がもっと知ってから発信すべきなんじゃないかと思って、差別についての歴史や背景が書かれた本を読み漁ったり、わからないことはインターネットを使って沢山調べたりもしました。
でも、納得ができなかった。
書いたnoteを公開することができなくて、また真っ白に戻す。
本当に発信していいことなのか、しない方がいいのか、noteで言葉にするたびに不安で不安で仕方なかったんです。
友人にそのことについて話したら、「まとまらなくても1回だしてみなよ、その時思ったことが1番伝わるじゃん。」って言ってくれて。
「人の価値観ってそれぞれだから、捉え方も違うしね。受け入れてもらえた方がいいけど、そうじゃなくても理解はしてほしいよね。」って。
それを聞いて「あぁ、自分は差別があってはならないという一言を発信することに対して、受け入れてもらえなかったらどうしよう」って勝手に逃げていたんだなって気づきました。
そこには、自分の言葉に覚悟も信念もなかった。
ただ、他人の目を気にして発信していいのか悪いのかに捉われていて、何も考えていなかったからもやもやして納得できずに、書けなかったんだなと。
このハッシュタグでも口論されているみたいに、芸能人やスポーツ選手などの影響力のある人は政治に口出しするなという意見があったり、もう少し勉強してからものを言うべきだという意見があったりして話題になりましたが、これも影響力があるのはその人が積み重ねてきた実績であって、もちろん何も考えずに発信して誤解を招くようなことはできないですが、発信することに信念や覚悟をもって伝えているならいいのではないかと私は思います。なぜなら、一人の人間、一人の日本国民であるから。
有名であろうがなかろうが、発信することに関しては自由だよね。
私はその発信する権利の自由じゃなくて、発信したことをみんなに受け入れてほしいという勝手な欲がありました。
だからこそ自分の思いを素直に書けずに、不安な気持ちを差別について勉強することで抑えようとして、もやもやしてたんです。
だから、私は覚悟と信念をもってここに書きます。
このことがある前から、もちろん差別的な言葉を言われたり、そういうような行動をとられたことも実際はありました。
気にしないのが一番楽だと思っていたし、つっかかっても無駄だと思って何も考えずに過ごしていました。
でも本当は、差別はあってはいけないとそう思ってたんです。
差別されるのが嫌だったしとても悲しかった。
日本人としてのアイデンティティをへし折られた気持ちがして嫌だった。
そしてこれをほかの人に話したところで「差別があるのは事実だしそんなこといちいち気にするな」と「気にしているだけ無駄だ」と言われるのが嫌だった。
「信頼関係があるうえでの発言ならまだいいけど」っていう意見も本当は嫌なんです。
だってあってはいけないことだと思っているから。
マドリードで起こった時、私は一人でとても悲しい思いをしました。
自分自身の心が弱くなっていた時や今までのことが積み重なったりもして、やっぱり差別があるのは事実だから、それをスペインに発信したくてスペイン語で書きました。
日本語でも書けたと思うけど、実際書いていたのはスペイン語でした。
日本語はしっかりここで伝えます。
世界にはまだ差別がたくさんあります。
今回のコロナウイルスによって起こることも、それ以外にも歴史的な背景・要因があること。
人種的差別だけではなく、ジェンダーに関すること、年齢、宗教、人格などのたくさんの種類があること。
その数だけ、沢山の人の心が傷ついて、弱くなること。
それでも必死に生きていること。
傷つくこと以上に嬉しいメッセージや励ましの言葉をかけてもらえること。
そして傷ついた人は他の人がそうならないようにと今まで以上に強く優しくなれること。
沢山の抗議や活動、時代の流れによって世界が変化していること。
声をあげて初めて、世の中に伝わること。
そのことに対して、賛成・反対する人がいること、もしくは興味・関心のない人がいること。
この件を通して今までよりもたくさんのことに気づけました。
差別に対して「気にするな」という一言だけで終わらせて良いことではないと私はそう考えます。もちろんこの意見は私個人の意見なので、他にもたくさんの意見が生まれると思います。
そしたら私は、そのあなたの意見を聞いてみたい。
共感できることもできないことも、理解できることもそうじゃないことも。
生きている人の数だけ価値観があります。
だからもうすべての人に受け入れてもらいたいなんて思いません。
ただ、自分の想いに信念と覚悟をもって発信しようと決めました。
私は、いかなる差別な行為も認めません。
私たち、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等です。
そして私は、今まで以上に思いやりの気持ちを持ち、すべての人に対して強く優しい人間になります。
最後に、
伝えたかったことを一気に書いてしまったので、文章がまとまらず、読みづらくなってしまい申し訳ありません。このnoteを読んでもし何か意見があれば何でも聞くのでコメントを頂ければと思います。
最後まで読んでくださった皆さん本当にありがとうございました。
それでは。
#31 福村 香奈絵/KANAE FUKUMURA
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